Trussardi alla Scala ミラノ | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

ファッション×フードのコラボに美味いものなし、の原則どおり、この店もロクなものではありません。ミラノへ行く方、絶対に近づいてはいけません。料理は凡庸程度で済みますが、サービスではひどい目に合う可能性があります。ミラノでは他にいい店がありますので、ここだけはやめておきましょう。
★半☆☆☆☆


ミラノ・スカラ座の横、ファッション界の老舗、というか過去の遺物となりつつあるトラサルディのレストランです。
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この店も、人の推薦で予約をしました。
が、わたくしはそもそも、「ベージュ東京」を筆頭に、ファッション界とコラボするレストランは、どうも信用が置けません。
その姿勢が、いかにもコマーシャル(商業主義的)なのです。

いや、全てのレストランが、何かの意味においてコマーシャルでなければならないのは言うまでもありませんが、それにしてもファッションと結びつく商業主義は、たいてい料理を犠牲にして儲けを生むことに走りがちなように思います。

さて、このトラサルディ・レストラン、ミシュラン2つ星とのことですが、その評価には全く値しません。
料理も、サービスも。

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アミューズは3種。
バターとアンチョビをのせたパン、オヒョウの皮をカリカリに揚げたものなど。

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ワインは奮発しました。
ブルーノ・ジャコーザのバローロ05です。
なのに、後でひどい目にあいました。

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料理はアラカルトで注文。
前菜は、白アスパラのローストとムース。
まずまずですが、どこででも食べられそうな料理です。

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これは牛のタルタル、カリカリポテトのせ、コリアンダー風味。
肉がフレッシュすぎて、旨みが乏しい。

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パスタは、生ハムと白いんげんを詰めたトルテリーニ、クリームソース。
これは、この日一番の出来でした。生ハムのエキスがしっかりしていて、ソースも濃厚。

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店員に強く勧められたミラノ風リゾット。
パルミジャーノの風味に深みがありますが、ベタな料理ですよね。

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生アンチョビの手打ち生スパゲッティーニ。
麺はかなりぼそぼそしていて、見た目以上に小麦感が楽しめる料理です。これはこれで悪くありません。

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メインは、これも店員が強く勧めたミラノ風カツレツ。
この店の人間は、「日本人観光客には、べたべたな料理を食わせておけばいいんだ」という安直な態度丸だしです。それは、これまでこの店に来た日本人たちがスポイルしてしまったせいなんでしょう。私も、おススメを断固拒否すればよかったのですが、ついつい「そこまで言うなら」と屈してしまったことを後悔しています。

このトラサルディ、さらに頭にきたことは、とにかくテーブル・ウォッチが全くなっていないのです。
というよりも、わざと無視している感すらあります。

具体的にいうと、ワインは全然注いでくれません。
一度目は、やんわりと「ワインがないと、食事がすすまないよ」と申し上げました。
2度目は、「長い間、空でしたよ」ときつめに注意。
3度目は、さすがに頭にきて、自分でボトルのあるところまで取りに行き、注ぎました。
これには、さすがに他の客も「おや?」という雰囲気になったせいで、責任者が飛んできました。
「三度目だ」と睨みつけると、「混んでいるから仕方がない」と開き直り。
「いや、あなたたちは、人種差別主義者だ。ムッソリーニの息子たちだ」とわたくしは言い放ちました。
おかげで、せっかくの2つ星ディナーは台無しです。

フランスでも、黄色いアジア人に対する蔑視というのは、よくあることです。
ただ、星の付いているようなレストランでは、せいぜい慇懃無礼のレベルですますもの。
テーブル・ウォッチをしないとか、ワインを注がないとか、具体的にクレームがつけられる行動に出るような愚は犯しません。その意味では、狡猾といえます。

このトラサルディは、ちょっとやりすぎました。
自分たちのブランドを過信しているのでしょう。何をやっても日本人はいくらでもやってくる、と。トラサルディを崇めているのだ、と。

責任者氏は、わたくしの「人種差別主義者」呼ばわりに気圧されたのでしょうか。
支払いの時には、ネコナデ声で「100ユーロ、ディスカウントします」などと言ってきました。
これが商業主義というやつです。
何でもカネで解決できると思っている傲岸不遜。
本来なら「フ○ック・ユー」というべきところですが、大人なわたくしは諭してやりました。
「ディナータイムはお金以上に大事なものですよ」

長々と書いてすみませんでした。
結論です。
ミラノへ行って「トラサルディ」で食べようかと迷っているあなた、絶対行ってはいけません。
後日書きますが、「Il luogo di Aimo e Nadia」の方がはるかに何倍もマシです。
どうか思いとどまってください。
せっかくのディナータイムを台無しにしないでくださいね。

ちなみにいうと、このようなクソの人種差別者に出会ったことは、この後一度もありませんでした。
むしろ、会う人会う人、みな親切でフレンドリー。
人種差別は、このレストランに限ったものかもしれません。
イタリアの名誉のために、付言しておきます。