普段 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

坊主をしている。

 

寺の仕事である。

 

「いつもなにをしているのですか」

 

よくこんな質問を受ける。

 

お客さんからも、知り合いからもきかれる。

 

「いつも」とはお経を読んでいないときのことらしい。

 

確かに、坊主となれば読経が連想されるだろう。

 

しかし、修行中でもなければ、終日お経を唱えることは稀だ。

 

普段は、お経を読んでいない時間の方が長い。

 

だから、なにをしているのか想像がつかないのだそうだ。

 

まずは掃除である。

 

お堂、客間、墓地、などを綺麗にしておく。

 

お堂には、仏さまがいらっしゃる。

 

私の勤める寺の仏さまは阿弥陀さまである。

 

本堂は、阿弥陀さまの御国である西方極楽浄土となる。

 

西方極楽浄土は完璧な世界である。

 

となれば、本堂はいつでも清浄に保たれていなければおかしい。

 

客間はお客さまの控え室である。

 

整頓しておくのは寺に限らない。

 

墓地は、御遺骨が埋葬されている。

 

掃き清めておくのはあたりまえである。

 

事務作業も多い。

 

寺では寺務と書くこともある。

 

例えば、行事案内の手紙を作成する。

 

次に、手紙を折り、封筒に入れて、郵便局でスタンプを押し、送付する。

 

帳簿の管理もする。

 

これが一番苦手である。

 

宗教や仏教のことは学校で習う。

 

しかし、財務も含めて運営実務は教わらない。

 

修行に簿記の時間はない。

 

寺に入ってから実地で学ぶしかない。

 

お客さまからの相談を整理することも少なくない。

 

「お墓のことでちょっと……」

 

世の中では様々なことある。

 

それぞれの事情を伺い決まりに従って説明していく。

 

お墓や儀式に関しては法律がある。

 

墓地埋葬法である。

 

一応のことは理解しているつもりである。

 

しかし、相談内容は多様である。

 

専門家に確認することは日常茶飯事だ。

 

お坊さんで、なおかつ弁護士をなさっている方もいる。

 

私などは坊主だけで手に余る。

 

世間にはとんでもない秀才がいたものである。

 

昨日は、パソコンの調子がおかしくなった。

 

この問題を解決するために、オペレーターに電話をした。

 

午前中を全て費やしてしまった。

 

「いつも」何をしているか。

 

だから、ようするに私は「バタバタ」しているのである。

 

 

お釈迦様のお言葉です。

 

『諸々の出家修行者やいろいろ言い立てる世俗人に辱められ、その不快なことばを多く聞いても、あらあらしいことばを以て答えてはならない。立派な人々は敵対的な返答をしないからである』

 

【岩波文庫 ブッダのことば 中村元先生訳P202】

 

ありがとうございました。