穏やかな光景 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

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「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

仕事の帰り道、森ヶ崎公園に寄った。

 

初めて行く公園だった。

 

(ここにも公園があるのか)

 

車のナビゲーションに記があるのに、今まで気がつかなかった。

 

潮風にあたりたくなると、たいていは城南島海浜公園に行く。

 

羽田空港の近くにある広い公園だ。

 

森ヶ崎公園は、より羽田空港に近かった。

 

公園は地上三階くらいの高さにある。

 

浄水場の真上にあるのだ。

 

広々としていた。

 

遊び場以外にも、サッカーグランド、テニスコートなどがあった。

 

海側には展望台があった。

 

(上がってみよう)

 

煙とナントカは高いところが……。

 

登れば、都合、五階くらいになる。

 

眺めはとてもよかった。

 

一月の冷たい潮風も心地よかった。

 

確かに海は見えたが、厳密には京浜運河かもしれない。

 

東方向には飛行場がみえた。

 

奥には旅客機が並んでいた。

 

手前には小型旅客機が駐機されていた。

 

(これがプライベート飛行機か)と感心した。

 

しかし、(僕には生まれ変わっても縁のない飛行機だよな)と確信する。

 

飛行機は苦手だから……。

 

ではなく、そんな豪華な暮らしは想像すらつかないのである。

 

南西方向には雪化粧された富士山が綺麗に見えた。

 

富嶽三十六景に「品川御殿山ノ不二」がある。

 

品川と羽田はそれほど離れていない。

 

(江戸時代だったらもっと趣があったのかもしれないな)

 

だから、おもわず想像してしまった。

 

もっとも、当時、森ヶ崎は海だったであろう。

 

公園の外に出てみると、川があった。

 

川の側には遊歩道があった。

 

人がすれ違えるくらいの小道だ。

 

「ニャー。ニャー」

 

しばらく歩くと急に猫の声がした。

 

しかし、周りを見渡すも姿が見えない。

 

気にせず先へ行こうとする。

 

「ニャー」

 

再び聞えてきた。

 

もう一度見まわす。

 

すると、道沿いに建つ家の軒の上で寝転んでいた。

 

「いいね~。日向ぼっこだね」

 

穏やかな日常だった。

 

都会の中で暮らしていると、どうしても息がつまってくる。

 

身心の緊張状態が続いてしまう。

 

海辺は気分が落ち着く。

 

穏やかな光景は気持ちを緩めてくれる。

 

城南島海浜公園とおなじように、森ヶ崎公園もとても素敵な場所だった。

 

 

お釈迦さまの御弟子さまのお言葉です。

 

『清く澄んだ水あり、ひろびろとした岩盤あり、黒面の猿と鹿がいて、水と苔で覆われている岩山は、わたしを楽しませる』

 

【岩波文庫 仏弟子の告白 中村元先生訳p41】

 

ありがとうございました。