仕事の帰り道、森ヶ崎公園に寄った。
初めて行く公園だった。
(ここにも公園があるのか)
車のナビゲーションに記があるのに、今まで気がつかなかった。
潮風にあたりたくなると、たいていは城南島海浜公園に行く。
羽田空港の近くにある広い公園だ。
森ヶ崎公園は、より羽田空港に近かった。
公園は地上三階くらいの高さにある。
浄水場の真上にあるのだ。
広々としていた。
遊び場以外にも、サッカーグランド、テニスコートなどがあった。
海側には展望台があった。
(上がってみよう)
煙とナントカは高いところが……。
登れば、都合、五階くらいになる。
眺めはとてもよかった。
一月の冷たい潮風も心地よかった。
確かに海は見えたが、厳密には京浜運河かもしれない。
東方向には飛行場がみえた。
奥には旅客機が並んでいた。
手前には小型旅客機が駐機されていた。
(これがプライベート飛行機か)と感心した。
しかし、(僕には生まれ変わっても縁のない飛行機だよな)と確信する。
飛行機は苦手だから……。
ではなく、そんな豪華な暮らしは想像すらつかないのである。
南西方向には雪化粧された富士山が綺麗に見えた。
富嶽三十六景に「品川御殿山ノ不二」がある。
品川と羽田はそれほど離れていない。
(江戸時代だったらもっと趣があったのかもしれないな)
だから、おもわず想像してしまった。
もっとも、当時、森ヶ崎は海だったであろう。
公園の外に出てみると、川があった。
川の側には遊歩道があった。
人がすれ違えるくらいの小道だ。
「ニャー。ニャー」
しばらく歩くと急に猫の声がした。
しかし、周りを見渡すも姿が見えない。
気にせず先へ行こうとする。
「ニャー」
再び聞えてきた。
もう一度見まわす。
すると、道沿いに建つ家の軒の上で寝転んでいた。
「いいね~。日向ぼっこだね」
穏やかな日常だった。
都会の中で暮らしていると、どうしても息がつまってくる。
身心の緊張状態が続いてしまう。
海辺は気分が落ち着く。
穏やかな光景は気持ちを緩めてくれる。
城南島海浜公園とおなじように、森ヶ崎公園もとても素敵な場所だった。
お釈迦さまの御弟子さまのお言葉です。
『清く澄んだ水あり、ひろびろとした岩盤あり、黒面の猿と鹿がいて、水と苔で覆われている岩山は、わたしを楽しませる』
【岩波文庫 仏弟子の告白 中村元先生訳p41】
ありがとうございました。