とっくに人生の半分は経過した。
どうにか生きてこられた。
後半はどうなるだろうか。
諸行無常とわかっていても心配である。
くわえて、その次のことも気になってきた。
極楽浄土でのすごしかただ。
極楽にいる菩薩さま方は、皆、大きな誓願をたてて修行をしている。
誓願とは、端的に言えば目標である。
観音さまは、衆生を大火、大水、夜叉から守ることなど多くの誓いを述べている。
勢至さまは、智慧の光を照らして地獄、餓鬼、畜生の世界から衆生を救うとしている。
薬王さまはあらゆる病を治すことであり、文殊さまは皆がよい行いができるよう援助することだ。
お地蔵さまも、普賢さまも、弥勒さまも、月光王さまも、日照王さまも、それぞれしかりである。
となると、私も衆生救済のための大きな誓願を準備しておく必要がある。
しかし、……。
中学二年のときのことだ。
所属していた軟式テニス部で、不意に部長となった。
それなのに、就任すると何故かチームを強くしたくなってきた。
弱小チームだったのだ。
そこで今までの練習方法を変えてみることにした。
これまでと同じでは変化が望めない。
ところが、それが三年生の気に障ったようだ。
理由は未だに不明だが、猛反発にあった。
同級生は加勢してくれた。
しかし、それでも改革は失敗した。
大学テニスサークル時代にもある。
団体戦の際、シングルスナンバーワンとして戦うことが何度かあった。
もちろん団体戦はチーム全体で戦うものだ。
したがって、メンバーに上下はない。
しかし、そうは言っても「ワン」は柱である。
どのチームも「ワン」には絶対に勝って欲しいのである。
もちろん、私が所属していたチームの歴代「ワン」は、皆、勝率八割以上だった。
ところが私の勝率はゼロだった。
「ワン」として臨んだときは一勝もできなかった。
これらの経験により、つまり、私は前面にたって大きなことを行う器がないことを悟った。
浄土では、誰もが挫折することなく仏道に邁進することができる。
観音さまや、勢至さまからは直々に教えをいただける。
お地蔵さまとは一緒に修行ができる。
とても心強い。
ただ、それでも大きな誓願は荷が重い。
そこで、考えてみた。
観音さまや勢至さまでも、多くの方を救う際には裏方が必要となるであろう。
そこで、偉大な菩薩さま方のサポートを懸命に行うのだ。
これなら私にだって出来る。
はずである……。
法然上人の御教えに以下のお言葉があります。
『地蔵菩薩をはじめとする諸々の菩薩を軽んじてはなりません。お浄土へ往生した後、覚りを目指すお仲間となる方々なのですから』
【法然上人の御法語2 浄土宗総合研究所編訳P347】
ありがとうございました。
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