仕事で「かみのやま温泉」に行った。
人生四十年初、上杉謙信ゆかりの地、山形県である。
出発日早朝に天気予報を確認すると、山形は雪だった。
冬の雪国の厳しさは、それとなく知っていた。
新幹線の運行状況も確認したが、運休の情報はなかった。
しかし、仕事で行く以上、遅れるわけにはいかない。
だから念の為、予定よりも2時間前の列車に乗ることにした。
「百聞は一見にしかず」であった。
福島駅を出発すると、雪が降り始めた。
車窓から見える積雪量も段々と増えてくる。
しばらく走ると、景色の全てが真っ白となった。
渓流が見えたが、流れている様子がない。
ほとんど凍っているようだ。
ときおり見える家の屋根にも、1メートル近く雪が積もっている。
「冬の雪国は、こんなに雪が降るのか」と驚いた。
束の間、初めて見る雪国の風景に釘付になっていると、駅ではないところに列車が停車した。
大事ではないようであるが、「この先の踏切内で、車が立ち往生しているので」とアナウンスされた。
「まあ、これだけ雪が降っていれば、そういうこともあるよな」と、納得した。
そこで改めてコーヒーをたのみ、雪景色を堪能しながら待っていた。
電車は、模型を少々集める程度には好きである。
だから、このように列車内で過ごせるのも、悪くなかった。
列車は、三十分程で再出発した。
しかし、米沢駅を過ぎて間もなく、また不自然なところで停車した。
再び「この先の踏切内で、車が立ち往生している」と。
幸い命にかかわることでないようだ。
しかし、二度目となると「そんなに頻繁にあるのだろうか」と、さすがに心配になる。
ここでも、三十分程の停車だったので、仕事に支障はなかった。
それにしても、日本中に新幹線が整備される程の現代でも、この地の冬にはかなわないようである。
ましてや、電気もガスもない戦国時代の人々が、この環境を耐えていたのだと思うと、頭が下がる。
降車の際、地元の人らしき人々が居た。
皆、少しくらい列車が遅れても、やはり動じていないようだった。
お釈迦さまのお言葉に、以下の御教えがございます。
『「一切の形成されたものは無常である」(諸行無常)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそ人が清らかになる道である』
【岩波文庫 ブッダの真理のことば・感興のことば 中村元先生訳P49】
ありがとうございました。