※注意※
この話はフィクションです。
歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。
それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓
「和解――だと!?」
突然の申し出に、義助くんが息を呑む。
僕は頷いて、説明を続けた。
「うん。僕と義貞くんが敵対するようになったのは、後醍醐前校長の陰謀だったんだ。それが露見した今、僕たちが争いあう理由はない」
何より、大切な「友達」の弟を傷つけたくない。
だから――。
「でも、お前は兄さんを罠にはめたじゃないか! 言え! 兄さんは今、どこにいる?」
けれども、義助くんは僕の右手を払って、詰め寄ってきた。
やっぱり、一筋縄じゃいかないか。
僕はため息をついて右手を引っ込めると、静かに告げた。
「義貞くんは、死んだよ」
途端に、義助くんの目が、これ以上にないほどに見開かれる。
「――嘘だ」
蚊の鳴くような声で、弱々しく反論する義助くん。
だけど、僕は容赦しない。
「嘘じゃない。僕はハッキリ、この目で見たんだ」
この裏山の頂上から、土砂崩れに巻き込まれていった義貞くんの姿を。
もう4か月ほど経つけど、未だに覚えている。
なぜ彼を救うことができなかったのか、今でも後悔で胸が痛む。
知らず知らずのうちに、僕はポケットの中の白いハンカチを握りしめた。
「そんな……兄さん……っ」
でも、義助くんはそれ以上にショックを受けていた。
僕から事実を告げられて、よろよろと後ずさる。
「義助くん?」
それにしても、彼の様子がおかしい。
よく見ると、顔色が悪く、額から汗が噴き出ている。
もしかして、具合が悪いの?
僕が声をかけようとした瞬間、義助くんの体がぐらりと傾いた。
彼の背後は、昨年の土砂崩れで崖になっている。
「危ないっ!」
慌てて駆け寄ろうとするけれど、間に合わない。
そんな、義貞くんだけじゃなくて義助くんまで失うことになるなんて……。
僕が絶望した、そのとき。
青い疾風が吹いて、義助くんの体を抱きとめる。
彼の命を救ったのは――天狗だった。
***
尊氏、義助の説得に失敗。
史実では、義助は伊予に下向後、しばらくして病死しています。
そしてついに、謎の新キャラ登場です!
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