学園太平記 (137) | 犬小屋チャンプルー

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犬己那池の、オリジナルの小話やイラストをもさもさ更新するブログ。
最近は、歴史創作(南北朝~戦国時代)がメインになっています。

※注意※

この話はフィクションです。

歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。






それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓






「和解――だと!?」


突然の申し出に、義助くんが息を呑む。

僕は頷いて、説明を続けた。


「うん。僕と義貞くんが敵対するようになったのは、後醍醐前校長の陰謀だったんだ。それが露見した今、僕たちが争いあう理由はない」


何より、大切な「友達」の弟を傷つけたくない。

だから――。


「でも、お前は兄さんを罠にはめたじゃないか! 言え! 兄さんは今、どこにいる?」


けれども、義助くんは僕の右手を払って、詰め寄ってきた。

やっぱり、一筋縄じゃいかないか。

僕はため息をついて右手を引っ込めると、静かに告げた。


「義貞くんは、死んだよ」


途端に、義助くんの目が、これ以上にないほどに見開かれる。


「――嘘だ」


蚊の鳴くような声で、弱々しく反論する義助くん。

だけど、僕は容赦しない。


「嘘じゃない。僕はハッキリ、この目で見たんだ」


この裏山の頂上から、土砂崩れに巻き込まれていった義貞くんの姿を。

もう4か月ほど経つけど、未だに覚えている。

なぜ彼を救うことができなかったのか、今でも後悔で胸が痛む。

知らず知らずのうちに、僕はポケットの中の白いハンカチを握りしめた。


「そんな……兄さん……っ」


でも、義助くんはそれ以上にショックを受けていた。

僕から事実を告げられて、よろよろと後ずさる。


「義助くん?」


それにしても、彼の様子がおかしい。

よく見ると、顔色が悪く、額から汗が噴き出ている。

もしかして、具合が悪いの?

僕が声をかけようとした瞬間、義助くんの体がぐらりと傾いた。

彼の背後は、昨年の土砂崩れで崖になっている。


「危ないっ!」


慌てて駆け寄ろうとするけれど、間に合わない。

そんな、義貞くんだけじゃなくて義助くんまで失うことになるなんて……。

僕が絶望した、そのとき。

青い疾風が吹いて、義助くんの体を抱きとめる。

彼の命を救ったのは――天狗だった。


   ***


尊氏義助の説得に失敗。

史実では、義助は伊予に下向後、しばらくして病死しています。

そしてついに、謎の新キャラ登場です!


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