※注意※
この話はフィクションです。
歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。
それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓
それから、さらに新田組の経営は苦しくなっていった。
同時に、新田家の生活も困窮していった。
朝氏はひかりに怒鳴り散らすことが多くなり、義貞と義助のおやつ・おかず戦争は激化した。
唯一変わらなかったのは、妻であり母であるひかりのみ。
彼女は、夫から何を言われても彼を労り続け、息子たちに自分の分の食べ物を分け与えた。
ある晩、義助はトイレに行きたくなって目を覚ました。
隣で寝ている義貞を起こさないように、静かに部屋を出る。
すると、暗い廊下の向こうに、一筋の光が見えた。
近づいて見れば、居間の襖の隙間から灯りが漏れている。
こんな時間に、一体誰だろう?
泥棒――それとも、おばけ?
不思議に思った義助は、おそるおそる襖を開けた。
「お母さん……?」
そこにいたのは、ひかりだった。
彼女は卓袱台の上に様々な部品を広げて、それを組み立てているようだった。
部品や完成品が入った段ボール箱が、卓袱台の周りを囲んでいる。
義助の声に、ひかりは作業の手を止めると、彼に歩み寄った。
「あら、起しちゃった? ごめんなさいね」
「ううん。トイレに行こうとしてたとこ」
「そう。明日も学校だから、早く寝るのよ。おやすみ」
ひかりは笑顔を浮かべると、義助の頭を優しく撫でた。
「おやすみなさい」
義助は欠伸を一つして、居間の襖を閉じた。
トイレで用を足すと、部屋に戻って自分の布団に潜り込む。
優しい母と明日のおやつのことを考えているうちに、いつしか彼は眠りについた。
数日後の夕方。
義助と義貞は、競うように我が家に帰ると、勢いよく玄関の戸を開けた。
「ただいま! お母さん、今日のおやつは何?」
「今晩の夕飯のおかずは?」
しかし、いつもなら笑顔で出迎えてくれるはずのひかりが、今日はいない。
それどころか、返事の一つもなかった。
兄弟は互いに顔を見合わせると、居間に向かう。
襖を開けて目に入ったのは、卓袱台の上に置かれた薄いカステラ2皿。
そして、
「……お母さんっ!?」
畳の上にうつ伏せになって倒れているひかりだった。
***
新田家の困窮と、内職をしてそれを支えるひかり。
ひかりは良妻賢母の大和撫子というイメージです。
ちなみに、家が狭いので、義助は義貞と同じ部屋で寝ています。
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