学園太平記 ~新田家の事情編 その4~ | 犬小屋チャンプルー

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犬己那池の、オリジナルの小話やイラストをもさもさ更新するブログ。
最近は、歴史創作(南北朝~戦国時代)がメインになっています。

※注意※

この話はフィクションです。

歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。






それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓






それから、さらに新田組の経営は苦しくなっていった。

同時に、新田家の生活も困窮していった。

朝氏はひかりに怒鳴り散らすことが多くなり、義貞と義助のおやつ・おかず戦争は激化した。

唯一変わらなかったのは、妻であり母であるひかりのみ。

彼女は、夫から何を言われても彼を労り続け、息子たちに自分の分の食べ物を分け与えた。


ある晩、義助はトイレに行きたくなって目を覚ました。

隣で寝ている義貞を起こさないように、静かに部屋を出る。

すると、暗い廊下の向こうに、一筋の光が見えた。

近づいて見れば、居間の襖の隙間から灯りが漏れている。

こんな時間に、一体誰だろう?

泥棒――それとも、おばけ?

不思議に思った義助は、おそるおそる襖を開けた。


「お母さん……?」


そこにいたのは、ひかりだった。

彼女は卓袱台の上に様々な部品を広げて、それを組み立てているようだった。

部品や完成品が入った段ボール箱が、卓袱台の周りを囲んでいる。

義助の声に、ひかりは作業の手を止めると、彼に歩み寄った。


「あら、起しちゃった? ごめんなさいね」


「ううん。トイレに行こうとしてたとこ」


「そう。明日も学校だから、早く寝るのよ。おやすみ」


ひかりは笑顔を浮かべると、義助の頭を優しく撫でた。


「おやすみなさい」


義助は欠伸を一つして、居間の襖を閉じた。

トイレで用を足すと、部屋に戻って自分の布団に潜り込む。

優しい母と明日のおやつのことを考えているうちに、いつしか彼は眠りについた。


数日後の夕方。

義助と義貞は、競うように我が家に帰ると、勢いよく玄関の戸を開けた。


「ただいま! お母さん、今日のおやつは何?」


「今晩の夕飯のおかずは?」


しかし、いつもなら笑顔で出迎えてくれるはずのひかりが、今日はいない。

それどころか、返事の一つもなかった。

兄弟は互いに顔を見合わせると、居間に向かう。

襖を開けて目に入ったのは、卓袱台の上に置かれた薄いカステラ2皿。

そして、


「……お母さんっ!?」


畳の上にうつ伏せになって倒れているひかりだった。


   ***


新田家の困窮と、内職をしてそれを支えるひかり

ひかりは良妻賢母の大和撫子というイメージです。

ちなみに、家が狭いので、義助義貞と同じ部屋で寝ています


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