お熱いのがお好き?

お熱いのがお好き?

元つかこうへい劇団、幸薄顔女優 木村夏子のBlogです!
人生、ポジティブに楽しく過ごしていても、幸が薄そうと言われてしまいますが・・・。
Blogでは、毎日の嬉しい!楽しい!大好き!を綴ります。

キャッチボールをしました。
ほんの少し身体を動かしただけなのに、心がすぅっと軽くなりました。

つかこうへい先生の本にもキャッチボール屋さんが登場します。
『井戸のある町』の続編『あるキャッチボール屋さんの悲劇』
とても面白くて大好きな本の一つです。
1球30円とかでボールを投げてもらってそれを受けるという仕事です。
1球1球投げられるたびに、
「ナイスボール」とか「お客さん昔、甲子園行ったでしょう。
「いい球投げますね」と誉めるのです。
誉められた方はなんだか嬉しくて、
「よし、明日も頑張って生きていこう」って気になるんです。
明日になれば、また会社で辛いことがあるかもしれない。

家庭で面白くないこともあるかもしれない。
でも、そのキャッチボールしている間は全てを忘れて楽しめる。
きっとお客さんはボールだけでなく、
心をキャッチボールしているのだと思います。
私はそんなキャッチボール屋のような女優になりたい。

本日の読書感想文





六人の嘘つきな大学生

朝倉秋成


あらすじ 

IT企業スピアリンクスの最終選考に残った6人の学生。最終選考はこのメンバーによるグループディスカッション。全員で内定を勝ち取ることを目標に彼らは最終選考の日までにお互いを知り、協力し合うのだった。しかし最終選考を間近に控えたある日、人事部から1通のメールが彼らの元に届く。内定者は1人のみ、グループディスカッションでその誰かを選ぶ。最終選考の日、彼らは話し合いの上、複数回の投票によって誰を選ぶかを決めることにする。序盤、部屋の隅に置かれた封筒を誰かが見つけたことで彼らの運命が大きく動き出すのだった。




​犯人は私たちが勝手に作り上げた虚像だった 


ー『六人の嘘つきな大学生』を読んで。

とにかく、ページをめくる手が止まらない。

読み進めるうちに頭の中に映像が浮かび、登場人物たちの声や表情が、まるで目の前で演じられているかのように鮮明に浮かんでくる。そんな圧倒的な映像美を感じる読書体験だった。


物語の起爆材となるのが1通の封筒だった。その封筒の中身は、最終選考に残った6人の過去を暴露する内容。しかも1人の人に宛てた封筒に入っているのは別の誰かの過去。


1. 「視野の狭さ」が作り出す「悪意」

物語の前半、封筒の中の嘘という、極めて視野の狭いスポットライトで彼らを見ていた。


前半の視点: 暴露された過去=悪い印象


後半の視点:真実(それぞれが抱える事情を第三者目線で)


一人の人間や事象を、たった一つの行動という点で判断するのではなく、人生という長い時間軸の面で捉え直すこと。その視野の広がりこそが、この物語における最大の救済だった。


真実を知ることは、足の裏にガラスが刺さるような痛みを伴う。「信じていた仲間が嘘つきで卑劣な人だった」と知る痛み。

しかし、最後まで歩き続けた(真実を知り尽くした)とき「人は嘘をつくけれど、それだけでその人のすべてが決まるわけではない」という、温かい光に満ちた世界に到達できる。


素足のまま人を愛おしく思う 


人って案外愛おしい存在なのだと。どんなものにも表面も裏面もあるのだと。月は地球にはきれいな面しか見せていないけれどクレーターでぼこぼこした面も存在する。見せている形も変更するが、どんな面があっても月の美しさは変わることがなく、月であることも変わらない。

今は誰かを愛することや必要とすることにもっともみじめな勇気を必要とする時代です。

が、私は誇りをもって人を愛おしく思える人間でいたい。



本日の読書感想文





暁星

湊かなえ


この物語を愛の話ととらえか親子の話ととらえるか 

あらすじ 


現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。

そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教に対する恨みが綴られていた。
また、式典に出席していた作家は、永瀬の事件を小説として描く。ノンフィクションとフィクション、ふたつの物語が合わさったとき見える景色とは⁉

 



グッときたポイント 



世界観について: 二部構成。一部では実際に起きた殺人事件となぜそこに至ったか、そこに至るまでの主人公の心情を時系列に沿って、過去を振り返る形式で進む。二部は、誰かが書いた小説の内容。2つの世界は交わるようで奇妙に捻じれが生じている。

展開について: 同じ事象の出来事でも目線が変わると全く異なる出来事のように感じられる。月が地球に向いている方向は常に同じだが、別の面も存在していることは確か。

 


夜明け前が一番暗いという。太陽が昇り朝がくるほんの少し前、東の空に輝くのが明けの明星、金星。本作は、「暁闇」と「金星」の二つから成り立つ。

「暁闇」は、(物語上の)実際に起きた事件として、逮捕された男の手記として。「金星」はある作家が書いた小説として。書籍の裏に書かれているあらすじを読んだとき、実際に起きたとある事件が脳裏をよぎり興味をそそれられたのだが、実際に読み進めていくと、新興宗教の闇部分にも深く触れてはいるが壮大な愛の物語だと思った。

もちろんイヤミスの女王の名にふさわしく、読了後モヤモヤ、モヤモヤされられたが。私は、わかりやすいハッピーエンドでスカっとした話が好きなのに、ここ最近読んだ本はどれももやーとする。もやーとする面白さがあり、ここからの話がききたいのに。ここからがいいところなのに。この続きを読みたいというところで終わる。

ご想像にお任せしますとでもいうのか。

コンビニで買ったシュークリームを半分こ。でも彼の半分こは大きさがふぞろい。病気がちの弟が好きなシュークリーム。弟には2つに割った大きい方を。

ラストの半分こ。幸せの半分こは大きい方を相手に。辛いことの半分こは大きい方を自分に。この半分こは胸にジーンとくる。

本を閉じた瞬間脳裏に広がった景色は群青色の空。遠くに白銀色のちいさな丸い光が見えた。



「ただ星を守りたかっただけ」
 


——本を閉じた瞬間、涙がほほをつたった。