ある雨の火曜日、私は急に思い立ってレッドバロンに向かった。
レッドバロンなら私が見たいと思っているヤマハセローや他のオフロードバイク。アドベンチャーバイク等も展示しているかもしれないと思ったからだ。
まずは国道11号線沿いのレッドバロン丸亀店。
さぁ、ここにはセローはあるんだろうか?
一階はハーレーなどのビッグアメリカン、SSなどが置いてある。
オフ車等は2階なのかな?
2階に上がる所に売約済みのコーナーがあって、ここにセローが一台あったのだが「売約済み、お手を触れないように」との注意書きが。
残念!
2階から更に中3階?にいくつかオフ車が置いてあったがセローはなかった。1台だけ足つきの良さそうなホンダのオフ車があったけど何だったかな?XR何とかって名前だったかな?
店員にも特に声をかけられなかったのでそのまま退散。
次にレッドバロン高松店に向かう。
ここでハタと気が付いたのだが、今日はバイクに乗るつもりでなかったため「厚底靴」を履いてきておらん。
それも私の靴の中でも底の薄い靴を履いてきてしまった。
これでは正確な比較はできない。
申し遅れたが、私はどんなに足つきのいいバイクに乗る際でも「ワイルドウイングの厚底シューズ」を履いて乗ることにしている。
足がつくバイクでも厚底シューズを履くことによって少しでも余裕が生まれるからだ。
「一旦家に帰って履き替えてこようか…」
でも面倒くさいし、そうしたところで目的のバイクが無ければ仕方がない。
まぁ、厚底シューズを履いてなくても大体のところはわかるでしょ。
ということでそのまま店に向かう。
レッドバロン高松香西店に到着!
さぁ、ここにはセローはあるのか?
ここに来るのは2年ぶりか?
まだ免許を取る前と言うか、教習が始まる前に来て気安い店員にレブル250に股がらせてもらって以来である。
結局ここで購入することはなかったが、ここは店員が結構話しかけてくる印象がある。
おっ!入り口から入ってすぐに見えるのは「スズキVストローム250」ではないか!
ジロジロ見ていると早速店員が話しかけてきた!
「何をお探しなんですか~?」
で、今の現状と私の希望と心配を伝えたところ…
「2階にセローがありますんで、あとで見てみましょうか」と言うではないか!
よし、ここでセローの足つきなどをチェックできるぞ!
まずはこの「Vスト250」だ!
店員に前に出してもらってまたがってみる。
「おおっ!、やっぱり結構高い!」
Vストロームのシート高は800㍉。
アドベンチャー系のバイクはほぼ800㍉より上だからこれに乗れなくては話にならない。
「起こせますか?」
う~ん…起こせないことはないが…やはり厚底靴を履いてくるべきだった!
多分厚底靴を履いてくれば何とかなるレベルだったと思う。
そして真打「ヤマハセロー」
2階に展示してあった車両を狭い所から引っ張り出してもらっていざ!実食!ではなく実跨り!
「うわっ!高っ!」
エッ?こんなに高いの?
跨ることはできてもとてもじゃないが真っすぐ起こせる気がしない。厚底靴を履いていればもうちょっとマシだったかもしれないけど…
「起こすのにはコツがあるんですよ、ハンドルを右に切って…」
イヤイヤ、そういう問題ではない。
これはもう無理無理ムリだべ~っ!
みんながセローなら乗れるよ、車重も軽いし女性でも乗ってるからって…。ユーチューバーの「あおちゃん」も乗ってるから何とかなるって思ってたのに~っ!
もう全然ダメじゃん!
届かないよ!
足着かないよ!
起こせないし、仮に動かせても立ちごけの嵐になるよ!これは!
「じゃあ、こっちはどうですか?」
「ホンダCRF250ラリーです!」
「カッコイイですね!でもCRFはもっとシート高が高かったんじゃないですか?」
「いや、セローとそんなに変わらなかったと思いますよ、じゃあ一度跨ってみてください」
って、全然無理じゃないか~っ!
帰って調べてみたらCRF250ラリーは885㍉もあるじゃんかよ!
足着くわけねーだろ!
すっかり打ちのめされたわ…
CRFはともかくセローも厳しい…。
厚底シューズを履いたところで数センチ高くなるだけだから根本的な解決になるわけではない。
いつもいつも平坦な道で足を着けるわけじゃなく、時には凹凸があったり、傾いた路面で停車せざるを得ないときもある。
特にオフ車では…。
そんな時あんな足つきでは危険だ。
45年以上前の記憶がよみがえる。
当時私は小学5年生。
当時からクラスで一番背が低かった。
入ったばかりのボーイスカウトでは自転車で動くことが多いため、自転車に乗れるのが入隊の条件であった。
私は自転車に乗れるようになったのが皆より遅くて4年生くらいだった。
やっと自転車に乗れるようになってボーイスカウトに入隊した私であったが、当時は子供用の自転車に乗っていてちょっと恥ずかしかったので、親にねだってその頃流行っていたフラッシャー付きの5段変速スポーツサイクルを買ってもらった。
当時の写真は残っていないが、こういう自転車だったと記憶している。
その自転車が何インチだったかは忘れたが、当時の私には全く足のつかないサイズであったが、そのうち背が伸びるだろうと大きめの自転車を買ったのだ。
だから停車する際は急いて自転車から飛び降りるか、道路脇の縁石に足をついて停まるしかなかった。
その記憶からか、今でもバイクを停めるとき無意識に路肩の縁石を探してしまう。
そして意気揚々と新しい自転車でボーイスカウトのサイクリングに出かけて行ったのだが、そこで地獄を見ることになる。
行先は多度津の鉄道公園だったか?
そこに行くまでに何度も何度もコケまくってせっかくの新しい自転車を傷だらけにしたばかりか、見かねた隊長が他の隊員を代わりに私の自転車を運転させ、私は車に乗せられて帰ることになったのだ。
何とも情けないみじめな経験だった。
その後、少しばかり背が伸びたおかげでその自転車に乗るのに苦労はしなくなったが、足がつかない恐怖は未だ私の脳裏に深く刻み込まれている。
改めて身長と股下を計ってみる。
身長156センチ。
股下70センチ。(700㍉)
これではシート高800㍉以上のバイクに安全に乗れるはずがない。
ダメだ、やはりシート高800㍉以上のオフ車に乗るのは無理だ!
ではそれ以下のオフ車はないのか?