地球上すべての人は、平和を望んでいると思われますが、今も地球上では、戦争が行われています。

 この悲惨なる戦争、人が欲望を起こし、満足することを知らぬところから起こっています。世の中の災いは、足ることを知らぬことによって増大します。物を得たいという飽くなき欲望は、大きな罪を作り出します。

 すべての人が足ることを知って満足すれば、不足を感じることなく、力をもって他の物を奪おうとする悲惨な戦争も減少することでしょう。

 

禍(わざわい)は足ることを知らざるより大なるはなく、咎は得んと欲するより大なるはなし。故に足ることを知りて之を足れば常に足る。―老子第46章老子 - Wikipedia

 君子は仁の実践をするのであるが、仁の道を行うには友人の協力が必要です。友人には、飲食の友人もあり、娯楽を共にする友人もありますが、共に助け合って君子たるに役立つ友人は、詩書礼楽を学ぼうとするものであると、孔子の弟子は言っています。

 

曾子曰く、君子は文を以て友を会し、友をもって仁を輔(たす)く。顔淵第12-24

 昨日、6月21日は二十四節気で「夏至」です。

北半球では、一年で昼が最も長く、夜は最も短いとき。

この日を過ぎると、本格的な夏が始まります。

 十二消息卦では「天風姤」です。

姤は邂逅の逅と同音異義で、約束しないのにばったり出会うこと。逅は道で出会うのに対して、姤は女が男に出会う、陰が陽に出会う字です。「乾」からにわかに陰がになります。

 陰が初めて生じて陽に遭う卦で、天の陽気と地の陰気が遭う。天地陰陽が相遭わなければ物は生まれない。天地が相遭うからあらゆる種類の物がことごとく明らかにそれぞれの姿を現してくるといいます。

『象伝』は、天の下に風が吹いている形。風は遍くゆきわたるもの。物これに遭わないものはないので姤となずけます。王者はこの卦にかたどって、遍く政令を施行し四方に告げます。

 この後、未の月の正節(小44天風姤暑)を経て、「大暑」となります。

  この世の中は強い者が弱い者の上に立ち、悪が栄えているように見えることもあるが、

それは一時的なことに過ぎない。

 老子は「天の網はとても大きく、網目は荒くて大きいように見えるけれども、

いかなることも、取り逃がすことはない。何事も漏らすことなく、やり遂げていく」と教えています。

 いっぱんに「疎にして漏らさず」と表現することが多いですが、同じ意味です。

 天の道、天の法則は、普遍的に行き渡っているので、悪はいずれ報いを受けることになります。

報いがないと思えるのは、まだその時が至っていないだけです。

「お天道様は見ている」ということで、いつか帳尻を合わせて下さいます。

 人は知らなくても、天だけは知ってくれている。幕末の開港論者である

佐久間象山は、次のように詩を吟じています。

「謗(そし)る者は汝の謗るに任す。嗤(わら)う者は汝の嗤うに任す。

 天公(天の神)本、我を知る、他人の知るを覓(もと)めず」

 

    天網は恢恢として、疎にして失わず。/・・・・第73章

 

老子「笑われて上等」ブロガーに刺さる名言 | ブルーログ

 昨日、5月21日は二十四節気の「小満」です。巳の月の中気。

 万物が次第に長じ、作物や生き物が育ち、天地に満ち始める頃。

山野の緑は一段と濃さを増し、麦の穂が無事生育したことに満足する意味とも。

 

 十二消息卦では「乾為天」です。陽気高調して、万物ほぼ満足の候。

この卦は、上も下も乾であり、最も純粋な陽、最高に創造的、活動的を象徴しており、卦辞に「乾は元(おお)いに亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり」とあります。

 自然に当てはめれば天の働きであり、人間では壮年期、事業ではフル操業の状態です。盛運ですが、それだけに責任は重く緊張も絶えません。しかも「物盛んなれば必ず衰う」で、頂点に達することは、衰退への一歩でもあり、慎重を要します。

『象伝』に「天行は健なり。君子もって、自彊息(や)まず」とあります。

 天の運行をみると、朝、東の空から太陽が昇り、夕方、西に沈んでいきます。毎日毎日休むことなく、一日に一周します。春夏秋冬の四季は、毎年毎年めぐってきます。天の歩みはこのように力強く健全です。君子はこの天にのっとって、自己をコントロールし、私欲に克ち、努力を続けなければならないと教えています。

 そうすれば自然に天の働きを身につけることができます。

 戦いは欲望から起こることが多い。

無欲を主張する老子には、戦争の非なることを主張する文が多くあります。

 

「最も立派な武器、鋭利な武器は最もめでたくない不祥の器であって、

造物主はこの武器を忌み嫌うのである。したがって徳のある君子は、

武器を用いる地位に身を置くことをしない。

兵器は不祥の器で、君子の用いる器ではない

 

 もしどうしても、やむを得ず武器を用いなければならぬとすれば、

あっさりと用いるのを最上とす。そしてたとい戦争に勝ったと言って、

その勝利を華やかに飾るようなこと、凱旋の祝賀パレードなどを

盛大行うのは、人を殺すことを楽しんでいるのである」

 

 原水爆、核爆弾、ミサイルなどと、人類を破滅に導く武器が

続々と製造され、実験も行われています。

老子は「これは人を殺すことを楽しむ者である」と表現しています。

   第三十一章

知性と節度を高める老子の格言5選 - こころの探検

 孔子が昭王に招かれて楚の国に赴くとき、陳蔡の地を経過しなければなりません。陳蔡の大夫は「孔子が楚の国に用いられるとなれば、我々の国は批判を受けることになり、我々の命さえあやうくなる。今のうちに孔子をやっつけねば」ということになりました。孔子64歳の時です。

 この間の苦労は言語に絶し、7日間糧食を断たれ、外に通じる道もなく、門人たちもみな病気になった。そういう中でも、孔子は礼楽の練習をして、その勢いが衰えませんでした。

 

陳にありて糧を絶つ。能く興(た)つることなし。子路愠(いか)り見(まみ)えて曰く、君子もまた窮すること有るか。子曰く、君子固(もと)より窮す。小人窮すればここに濫(らん)す。  衛霊公第15-1

 

子曰く、賜(し)や、女(なんじ)予(われ)をもって多く学びてこれを知るものとなすか。対(こた)えて曰く、然り。非なるか。曰く、予(われ)は一以て之を貫けり。   衛霊公第15-2

 今日、4月20日は「穀雨」です。旧暦3月節、辰の月の中気で、穀物の生育を助長する、春の柔らかな雨がしきりにふり、さまざまな穀物を潤して育みます。

 種まきに良い時期とされます。

 もともとは、冬にまいた麦類を育てる雨という意味でしたが、麦類に限らず、あらゆる作物にとって、大切な雨です。

 卯の花の咲くころで「うのはなくだし」ともいいます。

 

 十二消息卦では「沢天夬(たくてんかい)」です。

 陽が力強く伸びて陰をおし決(き)る形なのでは、もともと夬と名付ける。夬は、もとは弓を引くとき親指にはめる「ゆがけ」を示す。弦をパッと離すことから、決断の意味。

 この卦は君子(陽)の勢いが盛んで、わずかに残る小人(陰)を決(き)ろうとするとき。それにはまず、彼の罪を明らかにすることが重要で、事が事だけに猶危ういことがあり油断してはならない。武力に頼ってむやみに戦争をしかけるのは良くない。先ずわが身を正しくすべきで、無反省に相手を攻めるのは良くないとおしえています。

『象伝』に「沢が天の上に昇っている形から沢の堤がきれて下にあふれ注ぐ。君子はこの卦にかたどって禄(恩沢)を下々にまで施し与える。その時、恩を着せる態度は忌むべきことである」とおしえています。

 人が成長する過程は、山を作るのに似ています。学ぶのもそうです。どこまで行ってもきりのないもので、一歩一歩向上していきます。

 その過程で、色んな事情が生じ、決めたことをやめてしまうことがあるのも事実です。その時、社会が悪いからこうなった、環境が悪いからこうなったと、責任を他に転嫁しやすいのもじじつです。

 孔子は言います。「すべての決定は、自分の決めたことなんだよ」と。「山を作るのに似ている。一籠の土を運ぶのをやめてしまえば、それは自分が止めたということだ。地を均(なら)すのにも似ている。一籠の土を地にまいたならば、たった一籠といえども、それは自分の意志によって一歩進んだことなんだよ」と。

 

子曰く、譬(たと)えば山を為(つく)るが如し。未だ一簣(いっき)を為さずして止むは吾が止むなり。譬えば地を平らかにするが如し。一簣を覆(ふく)すと雖も、進むは吾が往(ゆ)くなり。…子罕第9ー19孔子の作った「儒教」が中国で成功した秘密 | 死の講義 ...

 投稿が少し遅くなりましたが、3月21日は「春分」でした。

旧暦2月節、卯の月の中気で、立春から始まった春の季節のちょうど真ん中。

昼と夜の時間が等しく、太陽は真東から昇り、真西に沈む。

 この日に前後3日をあわせた7日間が春の彼岸です。

 

 十二消息卦では「雷天大壮」です。4つの陽爻が壮(さか)んに成長しています。

陽すなわち君子が伸びる卦で、貞(ただ)しくて貞(ただ)しさを固守する事を条件とします。

『象伝』に「この卦は雷が天の上に激しく轟いており、君子は大きく壮(さか)んなことを行う。

 君子の壮(つよ)さは、人に勝つことではなく、自分に勝つこと。君子は雷の如き威厳と決断で自分に勝つことに努める。自分に勝つ道とは何か。克己復礼、礼の実践である」とおしえています。

 この雷天の画像時期、「克己復礼」「礼の実践」に努めたいと思います。