【人生名言集】1586号 目次
1.今日の名言 知らなくてはならないこと
2.読後感想 『国盗物語』(17)
3.編集後記 遅ればせながら
◆◆◆◆◆◆◆
【今日の名言】
◆◆◆◆◆◆◆
「知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような
勇気のない人間になりたくない。」
(灰谷健次郎)
最も「知らなくてはならないこと」とは。
それは、この人生の行く先、目的地でしょう。
◆◆◆◆◆◆
【読後感想】
◆◆◆◆◆◆
『国盗物語』(その17・秀吉の働きぶり2)
国盗物語の後半、信長編で、際立っているのは、秀吉がいかに優秀
な部下であったか、という点です。信長の下で秀吉が、いったい何
を考え、いかに配慮し、己の任務に徹したか。
美濃攻略を例に、その働きの凄まじさが書かれます。
「秀吉の秘密工作は、すさまじい。
一例をあげると、こうだ。
美濃の本城である稲葉山城のことである。
『稲葉山城はさすがに故道三殿の居城だっただけに兵糧蔵の米が
おびただしゅうござる。あれならば二年、三年の籠城にも堪え
られましょう』
と竹中半兵衛がいったので、秀吉はなるほどと思い、半兵衛と一
策を講じて、それをなんとか分散させようとした。
そこで半兵衛を通じて、すでに織田方に内通を確約している美濃
三人衆を口説き、一策をさずけた。
美濃三人衆はさっそく稲葉山城に登城し、お屋形様である竜興に
説き、
『将来、織田軍は、多方面から美濃に侵略してまいりましょう。
兵や兵糧を、稲葉山城に集中しておいては国内各所での防戦が
できかねます。よろしく分散あそばすのが、得策かと存じます
る』
といった。
竜興は、愚物である。『ああそれも一理である』とその説を容れ、
ただちに城から兵糧米を運び出させ、守備兵も各地に分散した。
策は成功した。
秀吉はこの旨を信長に報告すると、
『猿、やったわ』
と膝をうち、いま一度念を押した。
『たしかに兵糧米は分散したか。人数も手薄になっておるか。間
違いはないな』
『間違いはござりませぬ。手前、稲葉山城下に諜者を放って、シ
カと相確かめましてござりまする。されば間違いはござりませ
ぬ』
信長は不確実な仕事をきらう。秀吉はその気質をよく知っている。
秀吉は退出した。
その翌日の未明である。信長は、美濃への前線指揮所である小牧
山城に、にわかに大軍をあつめた。
『美濃へ』
と、一声さけんで、鞭をあげた。」
◆◆◆◆◆◆
【編集後記】
◆◆◆◆◆◆
遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。
1月1日に日本に戻って来て、慌ただしく過ごし、今また成田空港
にいます。
再びサンパウロに向かいます。
31日に経由地のカナダ・トロントを経ち、到着したら日本は1日
の夕方でしたから、どこで新年を迎えたのか分かりません。
厳密に言えば日付変更線を越えた時ですね。
日本滞在中、いろいろな方からお話を伺い、またまたワクワク感が
増しています。
「あとは、やるか、やらないかだけ」
つくづく恵まれた人生だと思います。
ところで、この上の「読後感想」も、すでに黒田官兵衛の大河ドラ
マが始まってしまい、それを追いかける形になりそうですね。
官兵衛は、司馬作品では『播磨灘物語』でもっとも取り上げられて
いるのですが、『国盗物語』『新史太閤記』『関ヶ原』『城塞』の
戦国四部作でも、存分に存在感を示しています。
1.今日の名言 知らなくてはならないこと
2.読後感想 『国盗物語』(17)
3.編集後記 遅ればせながら
◆◆◆◆◆◆◆
【今日の名言】
◆◆◆◆◆◆◆
「知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような
勇気のない人間になりたくない。」
(灰谷健次郎)
最も「知らなくてはならないこと」とは。
それは、この人生の行く先、目的地でしょう。
◆◆◆◆◆◆
【読後感想】
◆◆◆◆◆◆
『国盗物語』(その17・秀吉の働きぶり2)
国盗物語の後半、信長編で、際立っているのは、秀吉がいかに優秀
な部下であったか、という点です。信長の下で秀吉が、いったい何
を考え、いかに配慮し、己の任務に徹したか。
美濃攻略を例に、その働きの凄まじさが書かれます。
「秀吉の秘密工作は、すさまじい。
一例をあげると、こうだ。
美濃の本城である稲葉山城のことである。
『稲葉山城はさすがに故道三殿の居城だっただけに兵糧蔵の米が
おびただしゅうござる。あれならば二年、三年の籠城にも堪え
られましょう』
と竹中半兵衛がいったので、秀吉はなるほどと思い、半兵衛と一
策を講じて、それをなんとか分散させようとした。
そこで半兵衛を通じて、すでに織田方に内通を確約している美濃
三人衆を口説き、一策をさずけた。
美濃三人衆はさっそく稲葉山城に登城し、お屋形様である竜興に
説き、
『将来、織田軍は、多方面から美濃に侵略してまいりましょう。
兵や兵糧を、稲葉山城に集中しておいては国内各所での防戦が
できかねます。よろしく分散あそばすのが、得策かと存じます
る』
といった。
竜興は、愚物である。『ああそれも一理である』とその説を容れ、
ただちに城から兵糧米を運び出させ、守備兵も各地に分散した。
策は成功した。
秀吉はこの旨を信長に報告すると、
『猿、やったわ』
と膝をうち、いま一度念を押した。
『たしかに兵糧米は分散したか。人数も手薄になっておるか。間
違いはないな』
『間違いはござりませぬ。手前、稲葉山城下に諜者を放って、シ
カと相確かめましてござりまする。されば間違いはござりませ
ぬ』
信長は不確実な仕事をきらう。秀吉はその気質をよく知っている。
秀吉は退出した。
その翌日の未明である。信長は、美濃への前線指揮所である小牧
山城に、にわかに大軍をあつめた。
『美濃へ』
と、一声さけんで、鞭をあげた。」
◆◆◆◆◆◆
【編集後記】
◆◆◆◆◆◆
遅ればせながら、本年もよろしくお願いいたします。
1月1日に日本に戻って来て、慌ただしく過ごし、今また成田空港
にいます。
再びサンパウロに向かいます。
31日に経由地のカナダ・トロントを経ち、到着したら日本は1日
の夕方でしたから、どこで新年を迎えたのか分かりません。
厳密に言えば日付変更線を越えた時ですね。
日本滞在中、いろいろな方からお話を伺い、またまたワクワク感が
増しています。
「あとは、やるか、やらないかだけ」
つくづく恵まれた人生だと思います。
ところで、この上の「読後感想」も、すでに黒田官兵衛の大河ドラ
マが始まってしまい、それを追いかける形になりそうですね。
官兵衛は、司馬作品では『播磨灘物語』でもっとも取り上げられて
いるのですが、『国盗物語』『新史太閤記』『関ヶ原』『城塞』の
戦国四部作でも、存分に存在感を示しています。