【人生名言集】1578号 目次

1.今日の名言 本質は嫉妬
2.読後感想 『国盗物語』(8)
3.編集後記 名刺の広告


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【今日の名言】
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他人の不幸を喜び、幸福を苦々しく思う“嫉妬”の心には「愛より

もさらに多くの自己愛がある」とラ・ロシュフコーは言いました。

そのウラには自尊心があるからでしょう。


谷沢永一は

「人間性をとことん煮つめ煎じ詰めたら最後にどす黒い嫉妬の塊が

 残る。人間性の究極の本質は嫉妬である。

 人の世を動かしている根元は嫉妬である」

と書きました。


東大教授・山内昌之の『嫉妬の世界史』には、歴史を動かした数々

の嫉妬例があげられています。


有名な赤穂浪士も、赤穂藩藩主・浅野内匠頭と、吉良上野介の間に

渦巻く嫉妬が生んだ事件といえるわけで、そのような例は枚挙にい

とまがありません。


「“羨望”は遠く眺めながら地団太踏む思いに堪えているが、“嫉

 妬”は憎むべき人物を栄光の座から引き摺り降ろすために手段を

 選ばない。


 根がもっとも暗く卑しい情念に発しているのだから、あの手この

 手と陰湿きわまる奸計を弄する。


 嫉妬が究極的に企むところは合法的な人殺しである。

 情け容赦なく手加減せず途中で気をゆるめない。人を破滅させる

 ために計略を練るときの秘かなほくそ笑みは戦慄的な恭悦であろ

 う」

と、その恐ろしさが赤裸々に述べられています。

この心、どうすればよいのでしょうか。

(つづく)


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【読後感想】
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『国盗物語』(その8・道三と信長の対面3)

美濃と尾張の中間地で行われた、有名な、道三と信長の初対面が鮮

明に描かれます。


先に会見場所に着いた道三は、対面する前に信長を一目見ておきた

いという心から、民家に潜んで待ちますが、信長はその情報をすで

に掴んでいました。


「やがて信長がきた。


 (あっ)

 と、道三は格子に顔をこすりつけ、眼を見はり、声をのんだ。


 (なんだ、あれは)

 馬上の信長は、うわさどおり、髪を茶筅髷(※ちゃせんまげ)に

 むすび、はでな萌黄のひもでまげを巻きたて、衣服はなんと浴衣

 を着、その片袖をはずし、大小は横ざまにぶちこみ、鞘はのし付

 でそこはみごとだが、そのツカは、縄で巻いている。


 腰まわりにも縄をぐるぐると巻き、そこに瓢箪(※ひょうたん)

 やら袋やらを七つ八つぶらさげ、袴はこれも思いきったもので虎

 皮、豹皮を縫いまぜた半袴である。すそから、ながい足がにゅっ

 とむき出ている。

 狂人のいでたちだった。


 それよりも道三のどぎもをぬいたのは、信長の浴衣の背だった。

 背に、極彩色の大きな男根がえがかれているのである。

 『うっ』

 と、道空が笑いをこらえた。他の供の連中も、土間に顔をすりつ

 けるようにして笑いをこらえている。


 (なんという馬鹿だ)

 と道三はおもったが、気になるのはその馬鹿がひきいている軍隊

 だった。信秀のころとは、装備が一変していた。


 第一、足軽槍がぐんと長くなり、ことごとく三間柄で、ことごと

 く朱に塗られている。それが五百本。弓、鉄砲が五百挺。弓はい

 い。鉄砲である。この新兵器の数を、これほど多く装備している

 のは、天下ひろしといえどもこの馬鹿だけではないか。


 (いつ、あれほどそろえた)

 しらずしらず、道三の眼が燃えはじめた。鉄砲の生産量が、それ

 ほどでもないころである。その実用性を疑問に思っている武将も

 多い。そのとき、この馬鹿は、平然とこれだけの鉄砲をそろえて

 いるのである。


 (荏胡麻がほろび菜種の世になるのかな)

 と、ふと道三はそんなことをおもった。」

(つづく)


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【編集後記】
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必要があってネットで名刺印刷の業者をいくつか調べたところ、そ

の後、関係の無いサイトを見ていても名刺作成の広告が目立つよう

になりました。


ここまでしつこく表示されると嫌な印象を受けるので、私に対して

は逆効果になっています。

何ごとも、「頃合いを見る」のは、難しいのでしょうね。

(2/21分)