【大分県・絶景】 三日月の夜に咲く、城下町の花火 ― 杵築の夏を描く | 写真家 jin-andoの徒然日記~写真に魅せられて

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【大分県・絶景】
三日月の夜に咲く、城下町の花火 ― 杵築の夏を描く

 三日月の夜に咲く、城下町の花火 ― 杵築の夏を描く

 三日月が、薄雲の向こうで静かに光っていました。 その細い弧は、まるで夜の海に浮かぶ白い舟のようで、 守江湾の水面に、かすかな銀の道を落としていました。

その夜、城下町・杵築は、いつもよりゆっくりと呼吸していた気がします。 武家屋敷の黒い屋根は湿り気を帯び、 坂道の石畳は、昼間の熱をそっと手放しながら、 花火を迎えるための静けさを整えていました。

 

 雲間を照らす光の花 ― 杵築市納涼花火大会

 20時。 海浜夢公園の沖で、最初の一輪がふわりと開きました。 雲は薄く、ところどころに滲むような影を落としていて、 花火の光はその影を透かしながら、 夜空に淡い色の層を重ねていきます。

三日月のそばで咲く花火は、どこか控えめで、 しかしその控えめさが、城下町の夜にとてもよく似合っていました。 音が遅れて胸に届くたび、 武家屋敷の塀がわずかに震え、 町全体がひとつの大きな楽器になったように感じられます。

守江湾の水面には、 花火の色がゆっくりと沈み、また浮かび、 雲の影と混ざり合いながら、 もうひとつの夜空をつくっていました。

 雲のある夜だからこそ生まれる“余韻”

  雲がある夜の花火は、輪郭が少し柔らかくなります。 その柔らかさは、まるで墨を含ませた筆で描いたようで、 光の滲みが、城下町の静けさにそっと寄り添います。

三日月は雲の切れ間からときどき顔を出し、 花火の明滅に合わせて、 まるで呼吸するように輝きを変えていました。

そのたびに、 「今夜の花火は、月と雲が仕上げた一枚の絵だ」 そんな思いが胸に浮かびました。

 

 

 

 城下町の影が、光を受け止める瞬間

 杵築城の天守は、遠くの高台で静かに佇み、 花火の光を受けて、 ほんの一瞬だけ白く浮かび上がります。

武家屋敷の長い塀は、 花火の色を帯びて淡く染まり、 その影が坂道に伸びていく様子は、 まるで江戸の夜が一度だけ蘇ったかのようでした。

花火大会というより、 “城下町が光に触れる夜”と呼びたくなるほど、 町と花火がひとつに溶け合っていました。

 

 花火が終わると、 雲はゆっくりと形を変えながら、 三日月の光を再び薄く包み込みました。

人々の足音が坂道を下っていくと、 町はまた静けさを取り戻し、 守江湾には、花火の名残がかすかに漂っていました。

その余韻は、 まるで手紙の最後に置かれた一行のように、 心の奥にそっと残り続けます。

 

  今日の一句

 

 

 

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