生徒のご家族がとても嬉しそうにしている。
「Veselé Velikonoce❗️」
何度も口にしては、イースターをお祝いしている。日本の文化に置き換えたら何にあたるのだろう?…と考えながら、心底ハッピーを表現している様子にときめいた。
こういう感覚、確かに私の体にも内蔵しているけれど、ちょっと休止している気がした。
いつものコーヒー焙煎店へ行く。
降り出した雨が止んで、みんなが傘を閉じて歩き出した。雨が上がったのだなぁ。…と、私も傘を閉じる。
踏切のところまで来ると、あらっ?
確かに頭上に水滴が落ちてくる。
おやっ?ここだけ雨が降っている。
遠い記憶が蘇る。
夏の日のアスファルトが太陽に照って銀色に光るその先で、まるで製図のペンで正確に引かれた様に空からラインがくっきり引かれ、そのあちら側が雨水で蒸気を上げながらびしょ濡れ。
雨の世界と晴れの世界の線引きを発見して、叫びたいほどときめいた。…遠い記憶。
選んだコーヒー豆を挽いてもらい、マスターと雨の話になった。
「子どもの頃って、いつも面白いことを考えていましたよね。雨が降っているところと雨が降ってないところがあるなら、雨の降ってないところを選んで進んでいったら、雨にあたらず動けるんじゃないかって真剣に考えてましたから。」
…「本当に。あの童心はどこに行っちゃったのでしょうね。でも、マスター。そこの踏切りに行ってみてください。そこだけ雨の世界がありますよ。」
たわいもない会話が、休止していたときめきをツンと突いた。
頭で考えてばかりいるんじゃなーい?
童心忘れるべからず。
ときめき、忘れたくないなぁ。
スローなジャズをバックに、Veselé Velikonoceのチョコを舌の上で溶かしながら、そんなことを考えています。
2022.4.16