”ある天文学者の恋文” | Echo de chouette

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横山仁子の徒然日記です。
音楽の話・日々の気持ちを気ままに綴っていきます。

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日本公開初日の22日にジュゼッペ・トルナトーレ監督 & 音楽  エンニオ・モリコーネの新作、 ”ある天文学者の恋文”を観ました。英語表記の”Correspondence”が日本語訳でこのタイトルになった事を知り、敢えてあらすじは読まずに出かけました。

映画の内容が楽しみだったのは当然ですが、それ以上に、87歳のモリコーネが生み出した曲を聴くのが楽しみでした。

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私がモリコーネの名前を心に留めたのは、26年前。NHKで放映した”ルーブル美術館”のテーマ曲を聴いた時でした。静かに、そして広がりのある愛に満ちたストリングスの響きに、とても心が惹かれました。名画に合わせた各曲は、絵画の色彩を決して邪魔する事なく、美術館の建物の様に一つ一つの絵を浮き立たせていました。

その後、モリコーネは、父が好きだった”荒野の用心棒”や”夕陽のガンマン”などの作曲もしていた事を知り、何となく聴いていたのだと気づきました。

多くの曲を作ってきたモリコーネ。これまでは、それらの音楽の素晴らしさに気持ちが入ってましたが、最近は、そこに新たな気持ちが加わりました。実は、父と同い年なのです。父は、思う様に動けなくなってしまいましたが、モリコーネが変わらずに新しい作品を生み出し、指揮者としてステージに立っている事は、父も同じ様にいてくれる気持ちがして、嬉しく思っています。だからこそ、今回の新作も本当に楽しみでした。

「天文学者の恋文」は、想像以上に深い作品でした。ミステリー仕掛けにして、織り込んだ幾つかのテーマを紐解いていきます。その細やかな描写の全てが上品に仕上げられていて、25年以上一緒に組んできた2人が創り上げた美しい世界に吸い込まれた2時間でした。モリコーネの音楽は、場面を盛り上げるのではなく、まるで自然界の音の様に映像に寄り添いながら流れ、2人の心情を浮き上がらせていました。

愛とは?宇宙とは?死とは?…答えを出さない物語は、私達に問いを投げかけるのみ。それぞれの心にそれぞれの答えを見つけ、目に見える愛と目に見えない愛に包まれたことでしょう。

私の心に浮かんだもの……そっとしまいます。素敵な作品に出会え、感謝いっぱい!

今夜は、久しぶりにルーブル美術館を聴いてみようと思います♫



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