著者 平野啓一郎
◆この本の表紙の折り返しに記された文より
舞台は「自由死」が合法化された近未来の日本
AI/VRの最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、〈本心〉を探ろうとする
まったく知らなかった母のもう一つの顔
母が自分に隠していた衝撃の事実を知る
母子2人暮らしで生きてきた主人公朔也
母が不慮の事故で亡くなり、淋しい気持ちで暮らしています
VF(ヴァーチャルフィギュア)を制作してもらうことにします
ヘッドセットをすれば、生きているような母親とコミュニケーションができるというもの
しかしVFには心は無いということです
生前、母親は、自由死を選びたいと息子に打ち明けます
息子は、それを肯定できないでいる間に、母親は、事故で亡くなります
自分が出張中のことでした
息子は、母親の死に目に会えなかったのです
自由死 死に時を自分で考える
死ぬ一瞬前に、大切な人に看取られて亡くなる
~医師の言葉p79
国が切羽詰まった時代に
長生きをそのままナイーブに肯定できない
~朔也の思いp338
問題は、「生きるべきか、死ぬべきか」ではなく、「死ぬべきか、死なないべきか」の選択
主人公朔也の仕事はリアルアバター
誰か(依頼者)の代わりに、何かを実行すること
いかにも近未来的な職業です
とても興味深いものでした
また、小説内に出てくる「どっきり番組」の内容、そして、母親の好きな作家の「小説の内容」
どちらも、その内容自体がとても面白くて、これだけで別の本が上梓できそうw
一部、母の友人の語る「縁起」のくだりは、宇宙に関する哲学的な内容で、少しワタクシには分かり辛かったです
終盤、母親の本心のみならず、友人知人、自分の本心をも探っています
実に深い内容でした
さすが、平野啓一郎さん
才能あふれる作家さんです