著者 小田雅久仁
2022本屋大賞ノミネート作
表題作品の他、2作の短編を含みます
「そして月がふりかえる」
「月景石」
いずれも、ちょっとゾッとする、月に絡めたファンタジーです
最初、この本のタイトルを聞いた時
これって、高校の教科書に載っていた中島敦の「山月記」のオマージュかなと、ちらりと掠めました
(そういえば、現国の先生、虎みたいに巨漢だったなぁ)
「残月記」は、日本の近未来を描いたファンタジーです
こんな日本には住みたくないなと思うような日本ですw
エピソード的には、現実の日本の状況から想像に難くない気もしました
天変地異のどさくさに付け込んで、台頭を表す政党があり、その党首が独裁者となり、国を治めています
昂月病という不治の病があります
月の満ち欠けで、野生的になってしまう、狼男的な
でも、女性もかかりますけど
これは、コロナやハンセン病を思わせるものでした
差別や偏見が横行しています
患者をもてあそぶ、おぞましい為政者がいます
残酷で救いが無い国で、運命には抗えない民ら
でも、その中で、感染者同士のはかない恋愛模様も描かれて、それがかえって辛かったです
グロテスクなシーンが多くて、辟易しましたが
エンディングは、ファンタジー小説の醍醐味です
月の世界、死後の世界が、香りとともに、、、、
ちょっと私には手に負えない感じでした笑
こちらの本を読んで、小田さんという作家の月への思い入れを、とても強く感じました
「そして月がふりかえる」は、すんなりと受け入れやすい(笑)短編でした