3歳頂上決戦・石川優駿を振り返る | 金沢競馬担当日記

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金沢競馬のレース実況を担当するアナウンサーが、金沢競馬に関するあれこれをつづります。

 

 

 

金沢競馬担当日記、今週は鈴木が担当します。

 

県営第5回金沢競馬の前半戦が6月9日(日)、11日(火)に行われました。

この開催はなんといっても、3歳の頂上決戦・石川優駿が注目のレース。

 

全国的なダート競馬の体系整備により、今年から石川ダービーから名を改め「第8回石川優駿」として行われました。

 

距離は変わらず2000m戦。

 

馬場状態「良」のコンディション。

 

今年の出走メンバーは以下の通り

 

 

【①ダヴァンティ】

 

 

 

 

【②ハリウッドスマイル】

 

 

 

 

【③ダブルアタック】

 

 

 

 

【④ドンリュウスター】

 

 

 

 

【⑤エイシンノヴァ】

 

 

 

 

【⑥ナミダノキス】

 

 

 

 

【⑦ロックシティボーイ】

 

 

 

 

【➇カレンアイバーソン】

 

 

 

 

【⑨リケアマロン】

 

 

 

 

【⑩グルタチオンシード】

 

 

 

 

【⑪エムティトップ】

 

 

 

 

【⑫ニキ】

 

 

 

頂上決戦に名を連ねたのは以上の12頭でした。

 

人気は北日本新聞杯優勝馬であるリケアマロン。

 

鞍上配置は西啓太騎手から吉原騎手にバトンタッチということになり、先週はハクサンアマゾネスで百万石賞4連覇を達成したこの陣営が、直前では1番人気に。

 

続いたのは、金沢移籍後3連勝。

トライアルでも快勝で、この舞台に駒を進めたナミダノキス。

 

単勝式のオッズではこの2頭が10倍を切り、注目を集めました。

 

 

 

レースを振り返ります。

 

まずは、テンに速いダヴァンティとハリウッドスマイルが先行策。

 

その後の3番手集団の一角にリケアマロンも取り付いて、好位から進めていきます。

 

ナミダノキスはスタートがあまり良くなく後方から。

他馬のマークも厳しく、後方のインに押し込められるような序盤となりました。

 

向正面に入り、レースは動きます。

 

動かしたのはリケアマロンと吉原騎手。

 

一気の仕掛けで、3コーナーでは早くも先頭に立ちます。

 

一方で、ナミダノキスは、リケアマロンが先頭に替わったタイミングでようやく外に進路を求めることができ、この進路取りに大分苦労している様子が伺えました。

 

しかし、ナミダノキスの強さはここからで、前が開けると外々を通りながらも4コーナーでリケアマロンとの差を2馬身というところまで詰めていきます。

 

最後の直線では完全にリケアマロンとナミダノキスの一騎打ち。

 

熾烈な追い比べ…栄光を掴んだのは内で粘るリケアマロンに外から1馬身、身体半分、そして外から並び、最後に差し切ったナミダノキスの方でした。

 

レース映像はコチラ

 

レース結果はコチラ

 

 

 

ナミダノキスが4連勝で見事金沢3歳の頂点に輝きました。

 

序盤から中盤にかけてダヴァンティが飛ばしていった影響もあると思いますが、レースタイムは石川優駿レコードの2:08.8をマーク。

 

2022年のスーパーバンタムが記録した2:10.2を大きく上回る時計となりました。

 

鞍上の柴田勇真騎手は、当レース初制覇で、重賞自体も2020年の金沢シンデレラカップをマナバレンシアで制して以来、通算では2勝目。

 

管理する金田一昌調教師は過去

 

ヴィーナスアロー

アルファーティハ

ロンギングルック

アイバンホー

 

で制しており、今回が5度目の3歳頂上決戦制覇となりました。

 

 

柴田騎手の優勝騎手インタビューの様子は文字よりも、ぜひ動画でご覧いただきたいと思います。

 

 

 

(7:55:28~頃より)

 

 

 

この激闘から2日後、改めてナミダノキスの手綱を取った柴田勇真騎手にトライアル勝利からどういった心境で当日を迎えたのかなど、お話を伺いました。

 

‐まずはトライアルの内容から振り返って

 

「1900m戦ということで、本番の2000mを意識して騎乗しました。

 

本音を言うともっとじっくりタメを作って乗りたかったんですが、少し早く動いてしまって。

 

落とせないレースでしたし、力でねじ伏せるようなレースになってしまいましたね」

 

 

‐石川優駿、本番も手綱を託されたタイミングとその時の心境は

 

「1週前くらいに当日着ていた馬主服を渡されたので、その時に本番も騎乗できるのかなと思いました。

 

ここまで連勝していますし、そこからすごいプレッシャーは感じていましたね」

 

 

‐中間の様子などは?

 

「トライアルが終わってから少し疲れが出てしまったので、まずはそれをケアをしつつ。

 

状態が上がるに連れて、追いきりでピリピリするような面があるので、石川優駿まではがっつり仕上げすぎないように、造りすぎないイメージの調整でトライアルまでは厩務員さんと進めてきました。

 

今回に関しては、厩務員さんの話では9割のデキにあるということで、結構ギリギリまで攻め込んだと思います」

 

 

‐当日の様子は

 

「結構イレ込んでいたんじゃないかなと思います。

 

本場馬入場を終えて、ゲート後ろで待っているときもあまり良い挙動を見せてはいなかったんですが、まだ許容範囲かなあという感じでもありました」

 

 

‐改めてレースについては

 

「ゲート出るところでゴソゴソ…っとしてしまって。

 

本当は吉原さんマークでいきたかったんですけど、思っていたよりも後ろからになりました。

 

向正面で外に出せたときに吉原さんが遥か前にいて内心『めっちゃ前おるやんけ!まずい、ちょっと射程圏外かも』と正直思いました(苦笑)

 

4コーナーで追いついてはいましたが、まだ分からないなと。

 

こっちも伸びているけど、向こうも止まっていないしで。

ただ、直線半ばで鞭を何度か入れた時にまた反応があって、最後の伸びは本当にすごかったです」

 

 

‐石川優駿レコードを更新、強い馬ですよね

 

「ポテンシャルは『何だコレは⁉』と思うほどで。

 

初めて追い切りに乗ったときはとぼけていたのか、フワーっとしていてズブい馬かも?という印象も、2本目で変化を感じました。

 

ハミの取り方やエンジンのかかり方がすごい馬で、驚きましたし、レースに行っても強い内容で連勝していくので、絶対に負けられないという思いがあってプレッシャーでした」

 

 

‐優勝して周りからの反響はいかがでしたか?

 

「すごかったです。他場の騎手や関係者の方々からも連絡を沢山もらえて嬉しかったです!」

 

 

と終始にこやかに語ってくださいました。

 

実はトライアル前にお話を伺った際には「ここを勝っても本番では乗れるかわからない」とお話ししていた柴田騎手。

 

石川優駿当日の手綱を託された時から、やはり大きなプレッシャーとの闘いがあったようですが、それを跳ね除けての優駿競走制覇となりました。

 

 

この取材の様子を近くで見守っていた栗原大河騎手に同期の優駿競走制覇について、どんな思いがありますか?と伺うと

 

 

「そうですね…なんていうのかな…」

 

 

としばらく間をおいてから

 

「勇真はすごかったと思います。

 

力はあっても、それを力通りに走らせて勝たせるというのは本当に難しいことじゃないですか。

 

キッチリという感じで最後かわしていましたからね。

 

人気を集めている時に対抗の馬が吉原さんだとやっぱりいつも以上にプレッシャーがかかりますし(苦笑)

 

(ダブルアタックに騎乗していて)自分がかわされてから、ナミダノキスは吉原さんのリケアマロンに迫る勢いが違って見えていたので『あ、これは勇真勝ったな』と思っていました。

 

本当は僕が4人目のダービージョッキーになりたかったんですけどね。

 

来年に向けて5人目となれるようまた頑張りたいと思います!

 

 

しっかり言葉を選びながら、同期の大仕事を心から讃えていました。

 

ナミダノキスはこの後は休養を挟んで、秋のサラブレッド大賞典を次の目標にするようです。

 

3歳頂上決戦らしく、力の入るレースになったことには間違いありませんが、実況としては力が入りすぎる余り、ゴール前で声が想像以上に上ずってしまい、お恥ずかしい限り。

 

改めてまた一つ一つのレースに対し真剣に向き合うことで、大レースでもその緊張感に飲まれないよう取り組んでいきたいと思います。

 

 

 

金沢競馬、次回開催は明日6月15日(土)、18日(火)の変則的な開催となります。

 

明日15日には、今年から1400m重賞となる日本海スプリントが行われます。

 

既に出走メンバーと枠も決まっています。

 

詳細は→コチラ

 

 

引き続き金沢競馬をお楽しみ下さい!