ヒアリング2 | 報道関係のブログ

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このような状況が法秩序の公正と言えるのでしょうか。これで社会規範は保たれるのでしょうか。やはり、人に迷惑をかけたら「償う」という法制度・社会規範が確立してこそ正義の実現に近づき、抑止効果も表れるのではないでしょうか。



そこで、損害賠償の命令又は判決が出て確定した場合には、国が代執行をして、以後加害者に国が求償権に基づき請求して賠償額を確保する制度を確立して頂きたいと訴えております。あくまでも加害者に償いを求めていくことであり、国家(国民)からの賠償を求めるという趣意ではありません。

そのような制度が確立されれば、被害者遺族は、刑事事件の判決とともに、民事の賠償命令・判決を得た段階で、法的な区切りがつけられるし、他方加害者に対しても「償い」の道筋を明確に示すことになります。



命令・判決の賠償額をどれだけ国が求償できるかは不確定ですが、国でさえ不確定な部分を被害者遺族に、命令・判決のみを示して実効性の担保が限りなく不可能な現況は、あまりにも苦しみの継続を与え、不公平と言えるのではないでしょうか。

国家機関による求償権ならば、資産調査による確保、遺産相続の押さえ、受刑者の作業賞与金等の対応など、長期的かつ継続的に求償可能と思われます。

自動車事故の業務上過失致死事件においては、自賠責法によって強制保険による補償及び任意保険制度の普及によって、限りなく賠償判決の実効性が保たれておりますが、償うべき責任のはるかに高い故意の殺人事件については、自賠責法に代わる法律はなく、また任意保険制度に代わる制度もなく、民事法の当事者主義の観点から、全てが被害者遺族の立証責任に課せられる状況にあります。



我が夫・我が妻、あるいは親、あるいは子供が、なんらの落ち度もないのに殺され、国は判決のみを示し、後は当事者主義ですからと突き放される現況にあります。遺族は同時に殺されたような苦しみを背負い、中には放火によって生活基盤さえ奪われるケースもあります。その原因を作ったのは加害者なのです。ですから加害者に対して責任をしっかりと取らせる制度を確立して頂きたいのです。



さらに、損害賠償判決に対する代執行制度を検討する段階においては、被告事件に対する検討と同時に、被疑事件についても踏み込んだ検討をお願いしたいと存じます。

未解決事件の中には、加害者の人定は不明なるも、証拠上はDNA及び指紋等により加害者が特定されている事件があります。米国ではDNAに人格権を与えて、強姦罪等時効停止の措置をとっているケースもあります。

証拠上DNA等により、加害者が特定されている事件については、DNA等に人格権を与え、民事法の消滅時効を踏まえ、20年を経た時期に、遺族の申し出を受け、損害賠償判決による代執行制度を適用することについて是非検討して頂きたいと存じます。

公訴時効が廃止になった今、明らかに加害者特定の証拠のある事件について、20年過ぎて加害者が逮捕された場合には、求償権に基づいて、民事面の「償い」もはたさせることができることとなります。



今回の法律では、損害賠償請求に関して刑事手続の成果を利用する附帯私訴の制度という画期的な法案となっており、また論議の過程で犯罪被害者給付金の支給額の上限を自賠責保険と同程度までに引き上げようという、犯罪被害給付金の制度の拡充についても前向きな方向で進んでいるように伺えます。

そのこと自体は被害者遺族の思いに寄り添った理念の現れと歓迎致しますが、被害者の立場、遺族の立場に追いやった加害者に対して、「償い」をしっかりと果たさせる法制度の確立を強く望みます。



 以上、「損害賠償請求に関し刑事手続きの成果を利用する制度」に関連して

  殺人事件の損害賠償判決に対する「代執行制度」の確立について

の意見を申し述べさせて頂きました。





4 国選弁護人付与の被告事件に対する被害者参加人のための国選弁護人制度の確立について




次いで、「4被害者参加制度」及び「7被害者参加人のための国選弁護制度における資力要件に関する検討」に関連して国選弁護人付与の被告事件に対する被害者参加人のための国選弁護人制度の確立について」意見を述べさせて頂きます。



今回の法改正により、被害者参加制度が盛り込まれ、「被害者等」として殺人事件被害者遺族自身、そして遺族から委託を受けた弁護士も刑事裁判に参加できることになりました。

刑事手続きにどれだけ関与すべきかについては、未解決事件遺族で大半が構成されている「宙の会」は、先ずは事件解決に向けた対策を願い、次いで同じような思いを持つ遺族を作り出さないための施策を希望するところに終始している段階で、逮捕後の刑事手続きまでの議論には至ってない状況にあります。



しかし、入口のところで加害者が検挙されれば、当然公判対策に入っていくわけですから、素直な思いで先ず願うことは、加害者に国選弁護人が付くならば、当然に被害者にも国選弁護人が付くべきと考えます。

殺人事件の被疑者・被告人には、憲法上も手続法においても、国選弁護人制度がしっかりと定められており、本人が請求しなくても弁護人がいないときや、弁護人がいても出頭しないときは、裁判長は職権で国選弁護人を付さなければならない、というように被告人の権利は守られているというより守ってあげているという手続きになっています。



他方、被害者はどうでしょうか。

憲法第373項で「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する」

さらに、刑事訴訟法第37条の2では「法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮に当たる事件について、被疑者に対して拘留状が発せられている場合で、被疑者が貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判官に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができる」、加えて第37条の4では「~精神上の障害その他の事由により弁護人の必要性を判断することが困難である疑いがある被疑者について、必要があると認めるときは、裁判官は、職権で国選弁護人を付すことができる」、

  というように定められております。

   この根底には、国家刑罰権の理論から、国が被害者に代わって被害者の権利を行使する基本構造になっていると理解しております。今回の被害者参加制度も、その基本的構造を維持しつつ、これに抵触しない範囲内で被害者参加人等の限定的な訴訟活動が認められていると解釈しております。



   国家理念そして法的基本構造を尊重しつつ、なおかつ、裁判員裁判制度の国民判断が大きく取り入れられている現況から、先程読み上げた被告人・被疑者の権利と同等の権利を、国家即ち検察官及び裁判官が代わって行使するところに、被害者遺族自身が権利を行使できるという施策を講じて頂きたいと願います。

   それは、被疑者・被告人に国選弁護人が付くならば、同時に被害者にも国選弁護人が付与される制度、さらに、殺人事件のような「必要的弁護事件」については、被害者が国選弁護人を請求できる制度を確立して頂きたいと願います。



   昨今のように死刑になるためには誰でもよかったとか、薬物により心神耗弱状態であったとか、そのような被告人にも国選弁護人が付き、かたや何の落ち度もない被害者側には、弁護人選任について資産の有無や公判参加等について、いくつかの制約があります。

   公判段階及び拘留段階において、被害者自身の存在が失われている中で、被害者の思いを代弁できる、遺族自身の言葉を伝えるためには、弁護人を通して加害者と同等に向き合える制度を確立して頂きたいと願います。