抜苦与楽(ばっくよらく)
昔、足摺岬の遥か彼方(かなた)に「補陀落」(ふだらく)という観音様の浄土があると聞いた。
そんなある日、その聖なる地を目指して歩き遍路に出かけた。
その旅の途中、一匹のトンボと出会った。
歩いているときは、私の周りをぐるぐると旋回し、
休憩のときは、錫杖(しゃくじょう)の先に止まり一緒にひと休み。
また歩きはじめると、私の前に、そして、後ろに。
まるで、私を何か恐ろしいものから守ろうとしてくれているように感じた。
それが、何だかとても頼もしく心強く思えた。
しばらくずっと一緒に先を目指し歩いた。
やがて、お寺が遠くの方に見えはじめた。
すると、トンボは大空に向かって、天高く飛び去った。
「がんばってね、これからもずっと一緒だよ、いつも応援しているよ!」、そう聞こえた。
抜苦与楽(ばっくよらく)、観音様は「生きとし生けるもの」のすべてのために深い祈りを捧げる。
念彼観音力(ねんびかんのんりき)
念彼観音力(ねんびかんのんりき)
念彼観音力(ねんびかんのんりき)
また、会いに行こう、あの友に。
「生きとし生きるもの」、
『空海散歩』(そののち)小さな幸せの見つけた
その言葉の大切な意味を教えてくれたあの善友にまた会うために。
合掌 天宮光啓
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※ 「補陀落」(ふだらく)とは、サンスクリット語 Potalakaの音写。観世音菩薩の霊場、観音様が住んでいるとされる山。 チベットのポタラ宮や中国の普陀山などは観音信仰に基づき命名されたそうです。
※「念彼観音力」は「ねんび(bi)ーかんのんりき」や「ねんぴ(pi)ーかんのんりき」と宗派やお寺ごとに読み方に違いがあります。「仏前勤行次第」を参考にしています。