般若(智慧) | 天宮光啓塾 生かせいのち(生き方塾)

天宮光啓塾 生かせいのち(生き方塾)

IKIKATAJUKU(天宮光啓瞑想法)や、護摩祈祷、真言動画、高野山大師教会光寿支部の活動などを投稿しています。

高野山大師教会光寿支部では、支部会員さんも募集中です。

相互礼拝、相互供養、自利利他

生かせいのち

南無大師遍照金剛

合掌

皆さん、おはようございます。



だんだんと寒くなってきましたね。



ところで、今日は私のコメント欄に入れてくださった



AndyKenさんの「般若湯」(はんにゃとう)の言葉をキーワードに



お話を少しばかりしてみたいと思います。




ご存知の方々も多いと思いますが、



お酒のことを「般若湯」(はんにゃとう)と呼ぶこともあります。



これは、お酒を良薬としてもちい、



「智恵の源」という意味を持たせ「般若湯」と称しています。



つまり、「お酒を飲むこと自体が悪いのではなく、



お酒を飲むことによって他の過ちを犯すことが悪いのであり、



ゆえに、お酒を飲むこと自体何も咎めるものではない」



という解釈のようです。




そもそも、我々人類とお酒との歴史は非常に古く、



紀元前4000年~5000年ごろから



すでに、ワインやビールなどのようなお酒づくりがされてきたそうです。



また、蒸留技術の発達によってアルコール度数の高いお酒づくりが可能となりました。



ちなみに、ラテン語ではそうした高度な蒸留技術で作られたお酒のことをアクア・ビテ(Aquavitae)



『生命の水』と称し、「薬酒」(やくしゅ)として人々に親しまれています。




話は少し変わりますが、



我々、真言宗の僧侶が日々読誦する大切なお経のひとつに『理趣経』(りしゅきょう)なるものがあります。



『理趣経』(りしゅきょう)は、「金剛頂経」の第六会にあたる密教の経典です。


一般的に、『理趣経』という場合には不空(ふくう)が訳した



『大楽金剛不空真実三摩耶経」(たいらきんこうふこうしんじさんまやけい)



般若波羅蜜多理趣(はんにゃはらみたりしゅぼん)』(全1巻)をさします。



このお経の特徴を簡単に要約すると・・・



教主大日如来が他化自在天(たけじざいてん)という欲界(地獄から天上まで)において



あらゆるものが本質的に清浄(しょうじょう)であることを説いております。



つまり、私達の欲望をすべて否定するのではなく、



一切はあるがまま



本質的に清らか(自性清浄)であることを悟ることこそ、



何よりも大切ということです。



したがって、お経には「十七清浄句」(男女の交わりの清らかさ)が顕わされています。




人間の根源的な欲望である男女の性愛も、



本来のあるがままの姿として絶対的に肯定(大楽)することにより、、



究極の境地(悟り)へと到ることが出来るということです。




「他者の幸福を心から願う、深い慈悲のこころ」(大欲)も



すべては「欲望」、



ただし、小欲は個人的な欲であり、己に固執し過ぎると・・・



結果、自己を堕落せるもとに。



他方、大欲は個人を超越した集合的な欲として



清浄なる真実の智慧(般若)を得ることが出来るようになるものです。



よって、「欲」を「不浄」と一方的に決めつけて切り捨てるのではなく、



「欲」とどのように向きあい、それを昇華させていくのか・・・



まさに、それこそが求道の真の目的であり、



教主大日如来の「願」、「望」なのかも



・・・しれませんね。

合掌



密教行者