【椅子が1つだけの美容室】
当時の自分には、
人生の一大決心で飛び込んだ渡英!
海外に身を置いての自分の新たな道……
ワクワク、ドキドキを胸に抱いていましたが、全てが何もわからない状態!
英語も大して話せなかったので、何だかわからな過ぎて笑っちゃったほどです
『こんなにもわからないものなのか…』という気持ちを持つと同時に、「こっちの言うこともわからないわけだから」と、逆に楽しんでやっていました。
言っていることがわからないと独り言のようにぼやいてみたり、わからないのはお互い様というような感覚 笑
とても毎日楽しく充実していましたが、渡英して2週間ほどで働く美容室を探し始めます
日本人の美容師が海外で働く場合、ほとんどが日系サロン、いわゆる“日本人が経営している美容室”で働くことが一般的です!
言葉が話せなかったり理解できなくても仕事ができるのと、休憩や休みなどもしっかり取れますし、
現地のサロンと比べると給料が1.5倍〜2倍ほどになるからです
普通に考えたら、自分にとって優遇されることが多ければ日系サロンで働きます
しかし、ぼくの中ではそんな選択肢はありませんでした!
なぜなら、海外で日系サロンで働くことは日本で働いているのと同じで意味が無いからです。
言葉がわからなくても、なんとか現地のサロンで募集しているところはないか、辞書を片手に探し、ラッキーなことに見つけることが出来て電話!
でも、電話して問い合わせるにしても、こっちの言うことを理解してくれたり、通じるのかもわかりません
相手の言っていることが理解出来るかもわからないですが、『もう電話してみるしかない!』
緊張感マックスで電話して耳を研ぎ澄ましながらかけてみると、こっちの言っていることは何とか通じて、相手の言っていることもなんとかわかり、面接してもらえることになりました
面接当日も緊張しながら伺い、思ったよりもフランクな感じでホッとしましたが、今度は試験です!
モデルを連れてきてサロンで技術チェックをすることに。
なんとかモデルを探し、試験日当日は『受からないと次はない!』という絶対に合格する覚悟で臨み、手が震えそうになるのをなんとかバレないように抑え、モデルを仕上げました!
美容師の試験の時よりも緊張したのを今でも覚えています
あとで合否の連絡を頂けることになっていましたが、それまで気が気じゃありません
『ダメだったか…』『でもやれるだけのことはやった!大丈夫』
そんな思いを抱えながら数日後、無事に合格となり、次の日から働いていました
仕事的な流れは日本でも海外でも大体は同じで、すぐに対応できるようにはなっていましたが、問題は言葉です
毎日、毎日、スタッフとお客様、オーナーとお客様が話しているのを働きながら必死で聞いて覚え、自分でも使ってみたりといった感じでやっていたら少しずつですが慣れていき、
ある程度話せるようになるのは意外とそこまで時間はかかりませんでした
それから1年くらいすると、それなりにお客様とのコミュニケーションも取れるようになり、お客様と普通に話せるようになりますが
慣れてくればくるほど他の美容室のことが気になり始めます
『現地のサロンは経験出来たからせっかくだから日系サロンも経験してみたい』
そんな思いが溢れて、休みの日を使って他の美容室の面接を受けにいくように。
手当たり次第に探し、それなりに良さそうな所に行きましたが、そりが合わなそうだったり、行ってみて『なんか違うな』と感じたり、
実際に行ってみて話を聞いてみると、色々と感じることがあります
最終的に有名店出身の方がやっているところで面接、試験に合格をして働くことになりますが、
そこでもたくさんの色々なことがあったので今回は省きますが、たとえ有名店出身だとしても必ず上手い技術、凄い技術を持っているわけでは無いことを再確認出来たことがそこで働いて得た自分の大きな収穫でした
そして、勤務先の美容室とは関係なく、ご縁があってウエディングなどの仕事を頂けたのも自分にとってとても大きな財産です。
美容師として25年!
ここでは書ききれないほどの経験をしてきました
充実していたことだけでなく、苦しいこと、辛いこと、面倒に感じてしまうこと
時には自分に負けそうになったり、自分に甘えたりしてしまいそうになることもたくさんありました
でも、ぼくの中での【反骨精神】
『自分は他の美容師とは違う!』『自分には誰にも真似できないものがある!』
その想いがあったからこそ、続けてこれたように思います!
そして“自分が目指していた美容師像!”
誰かに憧れて、誰かを追いかけるのではなく、
自分の目指す美容師を目指し、自分の道を信じて進み続けて今があります
最近では、
『アライさんじゃないと困っちゃう』『もう他には行けない』『安心して任せられる』『技術、センスがズバ抜けてる』『荒井さんの出来る技術の幅は凄い』
それは、ぼくが20年以上前に思い描いていた美容師像でした
美容師として圧倒的な技術力を持ち、お客様から絶対的な信頼感を頂き、安心感を感じて頂ける
当時の自分には、その時自分に足りないものがなんなのかわからなく悪戦苦闘、メンタルまで奮闘していましたが、
色々なことをやり続けて約20年の歳月を得て、自分の目指していた美容師像にはそれだけの【圧倒的な経験】が足りなかったことが今ならわかります
自分の道を信じて、人とは違う路線で努力し続けてきて良かったと思います。
続けることが美徳ではないし、続けることは凄いことではないと思いますが、
続けることでの苦悩というのは続けた人にしかわからないし、
『自分に向いているのか?』『自分に合っているのか?』
それが自分ではわからないし、親や兄弟、他人にさえわからないからこそ続けることって難しいことのようにも思います
“自分が好きなこと” 自分が望んでいること” “自分がやりたいこと”
本当に自分がしていることが心底そう思えてるのかさえわからないから尚更ですよね
でもぼくには、
絶対に揺るがない、全てを壊すくらいの強い反骨心を胸に根拠の無い自信だけはありました!
それが今になって、【根拠のある自信】に変えることが出来て良かったと思います
自分の人生としては本当にやってきて良かったとしみじみ感じます………。
ただもう1つ、
人生の賭けに出たい想いを抱いています……