右胸から右の肩-頚部-腕-背中と顔面の引っ張られる感覚、こわばっている感覚(ジストニア?) | 【大阪】 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院         JHSC整体治療室 = 整体コラム / 心のコラム

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右胸から右の肩-頚部-腕-背中と顔面の引っ張られる感覚、
こわばっている感覚(ジストニア?)と
同部の痛みの整体治療
患者Nさん=41才-女性-主婦/会社員の症例
 
 
 
 
① Nさんの病歴・・・
患者Nさんは、25才の時に卵巣嚢腫の手術を受けてから、続発する色々な疾患-手術ミスなどで何度も開腹手術-長期入院を繰り返してきました。挙句の果ては5-6年前には胆石症にも見舞われました。それ以来、「右胸から右の肩-頚部-腕-背中と顔面の引っ張られ感、こわばっている感覚」といった、奇妙な症状が一日中続いているそうです。感覚だけでなく、実際に身体が左方向に向かって、かってに動くそうです。また、上記と同じ広範囲の部位に痛みもあるそうです(☚特に右肩甲骨付近と右肘内側が一番強いそうです)。整形外科だけでも10件以上受診しているそうで、その他に内科、鍼灸、接骨院、整体、マッサージ、漢方、アロマ、カイロプラクテイック、オステオバシー、心理療法など、どこに行ってもその原因は分からなかったそうです。ある大学病院では「ジストニアではないか?!(下記-注1参照)」と言われましたが、しかしその原因はよく分からず、上記の様に何をやっても無駄でしたので、最近では精神科に行くように勧められているそうです。結局、それ以降は何処に行くことも出来ず、放置状態だったそうです。
 
 
 
② Nさんの診察
・Nさんの症状は理解しにくいですが、簡単に言うと「右肩が左前下方に何かで引っ張られている感触(実際に引っ張られて回旋する)」だそうです。例えば、椅子に座り机に正対して両手でパソコン操作をしていると、1分も経たないうちに体幹が左方向に30度近く引っ張られて回旋し、元の正中位に意識的に戻しても、すぐに同様の事の繰り返しになるそうです。左手で右腕を引っ張っていないと、身体を正中位に保てないそうです。何が引っ張っているのか、本人にも全く分からないそうです。
・Nさんは、16年前に左右とも卵巣嚢腫の手術をされています。その際、手術ミスで膀胱と小腸の一部を切除してしまい、開腹手術の後もしばらく入院していたそうです。
・退院後もしばしばイレウスで入退院を繰り返していたそうです。
・12年前に前置胎盤の為に帝王切開をしています。その際、小腸に壊死部がある事が分かり、同部分の切除術もされています。
・最近の定期検診で、下腹部臓器に癒着している部位がかなり広がっていて、特に左右卵巣付近がひどいそうです。
・不正性器出血はないそうです。オリモノに特段の異常(☚悪臭・血性・膿性など)はないそうです。
・食欲は普通で排便は毎日あるそうです。ほとんど軟便で、血便などは無いそうです。腹痛もほとんど無いそうです。微熱などの全身所見もありませんでした。
・頭顔面や足に浮腫はありませんでした。怒張三兆もありませんでした。
・血圧は上が90mmHgで、下は60 mmHgだそうです。血液検査で異常を指摘されたことは一度も無いそうです。
・右鎖骨上窩に著明な緊張と圧痛がありました。
・頭顔面や上肢あるいは下肢に浮腫みはありませんでした。
・空咳は常時あるそうですが、痰や呼吸困難は無いそうです。
・胸部聴診上、特段の所見はありませんでした。
・右胸骨右縁(R1~7)に著明な硬化と圧痛がありました。
・腹部聴診上、グル音は弱く聴取出来ました。血管雑音は聴取出来ませんでした。
・腹部打診上、全般的に鼓音を聴取出来ました。
・腹部触診上、平坦-軟でやや膨隆気味ですが、腫瘤感や抵抗感はありませんでした。肝脾腫もありませんでした。しかし、腹部全般的に消化管平滑筋の緊張感-柔軟感(トーヌス)は無い状態でした。胆嚢底は右季肋部の下で少し膨張して感触で触診できました。表面は緊張しやや凹凸がありました。
・心肺系の既往歴はありませんでした。 
・治療効果の進展が停滞していたので、8診目来院時に改めて問診すると、「私も先生から聞かれるまで忘れていましたが、今から12年前の出産時、前置胎盤の為に帝王切開をした後に小腸壊死を来したので6か月間入院しました。その時に自力で飲食する事が不可能であったため、PTEG(ピーデク=経皮経食道胃管挿入術)」といった『右顎のすぐ下の首から心臓のすぐ上まで管を入れて食道に流動食を入れ、鼻から溜まった消化液-他を吸引する管を鼻から出す』処置を半年間くらいしていました。」と仰っていました。
 

 
③ 治療目標と整体治療

   ⑴ 回盲部-腸間膜根-右横隔膜脚-横隔膜筋膜の癒着-緊張を解放する
   ⑵ 子宮/膀胱-正中濟ヒダ-肝円索-横隔膜筋膜の癒着-緊張を解放する
   ⑶ 横隔膜筋膜-心膜or右縦郭胸膜の緊張を解放する
   ⑷ 胆嚢-腹膜の緊張を解放する
   ⑸ 頚部筋肉群の緊張を解放する
   ⑹ 頸筋膜の癒着-緊張を解放する (☚8診目より追加)
   ⑺ 上腕筋膜、腋窩筋膜、胸筋筋膜、広背筋筋膜などの癒着(?)-緊張を解放する (☚9診目より追加)

・平滑筋テクニック
・回盲部解放テクニック
・腸間膜根解放テクニック
・子宮底テクニック
・正中濟ヒダ-肝円索解放テクニック
・横隔膜解放テクニック
・縦隔胸膜解放テクニック
・胆嚢解放テクニック
・頚部筋肉群の推拿(圧法)
・頸筋膜解放テクニック
 
(☚8診目より追加)
・上腕筋膜解放テクニック (☚9診目より追加)
 
 
 
 
④ 経過と結果・・・
・初診から3診目まで、治療直後にはこの奇妙な「右肩が左前下方に何かで引っ張られている感触」は、ほぼ解消しているようでした。しかし帰宅時には元通りの状態に戻るそうです。そしてこの状況は6診目までに少しの改善傾向はあるものの、一進一退的な状態で推移していました。

・そこでこの一進一退的状態を打破するために、8診目来院時から「頸筋膜解放テクニック」を追加導入すると、「こんなにスッキリとしたのは何年ぶりです」と仰り、予想を上回る効果が現れました。

・9診目来院時、前回の予想を上回る効果は、翌日の午前中には元に戻っていたそうです。そこで今回は他の整体テクニックよりも「頸筋膜解放テクニック」に追加して右の「上腕筋膜解放テクニック」を追加-重点的に施術したところ、前回を上回る効果が出て、「身体を真っ直ぐに維持できて、痛みも全くありません。こんな感触は今までの治療では一度も無く、初めてです。」と大変喜んでおられました。

・11診目来院時、「(前回は)ほぼ1日持ちましたが、今回は2日くらい楽でした。」と仰っていました。

・15診目来院時には、ほほこの奇妙な症状は解消して安定していましたので、とりあえず治療を終了し、様子を見てもらう事にしました。
 
 
 
⑤  今回の症例の概説、、、
・今回のNさんの一件奇妙な愁訴=「右胸から右の肩-頚部-腕-背中と顔面の引っ張られ感、こわばっている感覚」と「同部の広範な痛み」の原因と治療ですが、当初は当院としてはそれ程難しくないのでは、と高を括っていました。それはこの様なケースの治験例は少なくなく、今までそれなりに対応して好結果を得てきたからです。ここで、改めてその原因と推定したものを以下に記すと、
 
  ⑴ 回盲部-腸間膜根-右横隔膜脚-横隔膜筋膜の癒着-緊張を解放する
   ⑵ 子宮/膀胱-正中濟ヒダ-肝円索-横隔膜筋膜の癒着-緊張を解放する
   ⑶ 横隔膜筋膜-心膜or右縦郭胸膜の緊張を解放する
   ⑷ 胆嚢-腹膜の緊張を解放する
   ⑸ 頚部筋肉群の緊張を解放する

と、なります。つまり、Nさんの体幹が左方向に引っ張られるのは、上記⑴から⑸の組織の緊張が連続する事で生じているのでは、と考えられます。そしてその緊張による刺激が痛みの原因になっているのでは、と推定しました。
 
 
 
 


 
 
 
従って、その治療法は以下の通りです。
   ・平滑筋テクニック
   ・回盲部解放テクニック
   ・腸間膜根解放テクニック
   ・子宮底テクニック
   ・正中濟ヒダ-肝円索解放テクニック
   ・横隔膜解放テクニック
   ・縦隔胸膜解放テクニック
   ・胆嚢解放テクニック
   ・頚部筋肉群の推拿(圧法)

・先述の通り、当初はこれらの治療計画で次第に改善していくもの、と考えていましたし、今までのよく似たケースではこれで上手くいっていました。しかし、今回に限ってはその予想通りに進みませんでした。各回の治療直後にはそれなりにこの奇妙な症状が改善しているのですが、しかし帰宅する頃には元に戻っているからです。そんな事が続くたびに「これは何かおかしいぞ、、、他に何かあるな?!」と思い始めました。

・そこでこの一進一退的な状態を打破するために、8診目来院時に改めて「首の右側から胸にかけて、外傷などの経験が無かったですか?」といった問診-確認しました。すると患者Nさん自身も全く忘れていた事実が分かりました。それは上記②「Nさんの診察」の最後段で記した様に、
『右顎のすぐ下の首から心臓のすぐ上まで管を入れて食道に流動食を入れ、鼻から溜まった消化液-他を吸引する管を鼻から出す (PTEG=ピーデク=経皮経食道胃管挿入術) 』
といった処置を半年間もしていた、という事実です。これは、整体手技の一部を変更-追加しなければならない、重要な事実です。つまりこの事実は、
❶…右前頸部から右胸郭にかけての細長い範囲に極めて重篤な損傷-癒着-瘢痕などの後遺症が存在する可能性、
を、示唆しています。
 
・半年間も筋肉(膜)や食道、気管、胸膜などの間に管を挿管していれば、物理的・化学的に刺激されて炎症や潰瘍・出血などの損傷が生じるのは当然です。それらの損傷は、いずれはある程度治癒しますが、しかしそこには色々な臓器同士の癒着や瘢痕などの後遺症が生じているはずです。つまりこの部位が、今回の奇妙な症状の最大の震源地だと思われます。
そしてこの震源地から、
❷…上肢や背中-胸の筋膜に広がっている可能性
➌…横隔膜筋膜を通じて胆石を有する胆嚢腹膜に連鎖している可能性、、、さらにそこから横隔膜筋膜-右横隔膜脚-腸間膜根-回盲部のルートへ、、、さらに肝炎策、正中臍ヒダ、子宮/膀胱-正中濟ヒダのルートへと、その癒着の連鎖は波及して、この奇妙な症状が完成している可能性、が、大いにあると思われます。
 
 

 
・そこで8診目より
   ⑹ 頸筋膜の癒着-緊張を解放する (☚8診目より追加)
   ⑺ 上腕筋膜、胸筋筋膜、広背筋筋膜などの癒着(?)-緊張を解放する (☚9診目より追加)
の目的で、
   ・頸筋膜解放テクニック (☚8診目より追加)
   ・上腕筋膜解放テクニック (☚9診目より追加)
を、施術する事になりました。これらの整体テクニックは、筋膜の緊張を解放するテクニックではなく、筋膜の癒着を剥がす専用のテクニックだからです。この整体テクニックの効果は極めて絶大でした。それ以降、患者Nさんのこの奇妙な症状は、見る見るうちに改善していったからです。

・結果論ですが、NさんがPTEG=ピーデク=経皮経食道胃管挿入術)をしていた、という事実を最初から知っていれば、当然初診から「頸筋膜解放テクニック」、「上腕筋膜解放テクニック」の両テクニックを施術していました。しかし、今回はその事実を知る為の問診-努力をしていなかった、、、これは私の重大な診察ミス、だと言えます。もし、最初から知っていれば、Nさんはもっと早くに改善していたでしょうから、、、。この事を思うと、25才から41才になるこの16年間、地獄の苦しみを耐え抜いてこられたNさんに、大変申し訳ない気持ちで一杯になります。

・先述しましたが、「当初は当院としてはそれ程難しくないのでは、と高を括っていた」、この姿勢が確認を怠った姿勢につながったのでは、と思います。私は今年(平成30年)で整体師歴39年になりますから「ベテラン」と言っていい経験があります。しかし、その経験だけでは診療できないのだ、油断大敵、常に患者を「見て、観て、診て」原因をトコトン追及する姿勢、これが大事なのだ、と改めて痛感した症例になりました。
『かみさまは ゆだんしたころ しけんする』
 
 

注1) ジストニア
筋肉の緊張を調節する大脳基底核の機能障害により、身体の一部あるいは複数の筋肉が不随意に収縮し、全身または身体の一部にねじれ・硬直・痙攣(けいれん)などが生じる不随意運動障害。原因が不明の原発性ジストニア、脳血管障害などの後遺症として起こる続発性ジストニアなどがある。
 
 
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