複雑な原因が関連する側彎症(?)の整体治療 | 【大阪】 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院         JHSC整体治療室 = 整体コラム / 心のコラム

【大阪】 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院         JHSC整体治療室 = 整体コラム / 心のコラム

●ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院は「2年制整体学校」と「JHSC整体治療室」を運営しています。

複雑な原因が関連する側彎症(?)の整体治療
患者Nさん=33才-男性/自営業の症例
 
 
 
 
① Nさんの病歴・・・
患者Nさんは、数年前から「正面を向いているつもりでも左方向に顔-首が向いている(左回旋偏位)」事が気になっていたそうです。それは次第に悪化していき、最近では正面に顔を向けようと努力しても10秒ももたず、15-20秒後には顔―首が左側(約25度)に傾いてそうです。クライアントとの商談の際にも顔が左に向いてしまう事が顕著にあらわれるので、それが気になって商談にも集中できず、さらに首筋が常時張って痛いので「何とかしてほしい」との事で、今回の治療となりました。
 
 
 
② Nさんの診察
・レントゲン検査で骨の異常は無かったそうです。
・患者Nさんは「顔‐首」の左回旋偏位だけを気にしておられましたが、立位あるいは座位で体幹が(頚部とは逆方向の)右側に約25度、回旋偏位していました(☚Nさんは気づいていなかったようです)。つまり身体は右方向に、首-顔は左方向にと、それぞれ逆方向に回旋偏位していました。
・さらに顎関節症があり、顔面下半分が右側に向かって大幅に変位していました(☚顔が右側に大きく膨らんで見え、この事が、見かけ上頚部の左回旋をより大きく見せる効果がありました。)。
・今まで虫歯治療以外の歯科治療は受けた事が無いそうです。
・頚部の視診上、気管が左方向に変位していました。
・頚部-胸部聴診上、血管雑音や呼吸音の異常はありませんでした。心尖部は正常位置にありました。
・咽口頭の視診上、口蓋や舌の変異はありませんでした。
・ウエストラインは左右対称的で、立位で腰を屈曲させた際に肩甲骨の浮きや肋骨隆起はありませんでした。
・脊柱のフィクセーションは頸椎、胸椎、腰椎ともにありませんでした。
・腹部聴診上、血管雑音はありませんでした。グル音は適度に聴取されました。
・腹部触診上、表面平滑で腫瘤感や抵抗感はなく、打診上も肝脾腫はありませんでした。しかし、右鼠径部から右下腹部にかけて著明な緊張と圧痛がありました(右鼠径部に指が入って行かない=盲腸と骨盤の癒着?)。そして回盲部-腸間膜根から十二指腸空腸曲-トレイツ筋にかけても同様でした。さらに横隔膜から右胸骨右縁にかけても同様でした。
・内外の翼突筋と舌骨上-下筋群の緊張と圧痛がありました(特に左側)。頚部の10本以上の様々な筋肉群に著明な緊張と圧痛がありました。
・今まで、特段の疾病歴-外傷歴もなく、各種検査での異常を指摘差取れた事も無いそうです。
・排便は毎日ありますが、ほとんど軟便-下痢便だそうです。食欲は普通だそうですが、ほぼ毎日ビールをジョッキで10杯前後飲むそうです。腹痛などで困っている事は無いそうです。便はゆるい便が続いているそうです。
 
 
 
③ 治療目標と整体治療
  
⑴ 盲腸ヒダの緊張-骨盤との癒着を解放する
   ⑵ 回盲部-腸間膜根-トレイツ筋の緊張を解放する
   ⑶ 横隔膜筋膜と心膜-右縦隔胸膜の緊張(癒着?)を解放する
      上記⑴、⑵、⑶で体幹の右回旋変位を矯正する
   ⑷ 舌骨上・下筋群、内外の翼突筋群の緊張を緩和して頚部、気管、顎関節バランスを改善し、顔面の偏位を回復させ顔のシンメトリーを取り戻す
   ⑸ 頚部の10本以上の様々な筋肉群の緊張を緩和して前後左右のバランスを回復させ、頚部の左回旋偏位を矯正する
   ⑹ 頸部の前後左右にある筋肉群の癒着と緊張を解放し、頸椎の左回旋偏位を矯正する ☚13回目来院時より追加

・平滑筋テクニック
・腸骨はがしテクニ
・腸間膜根解放テクニック
・十二指腸空腸曲解法テクニック
・横隔膜解放テクニック
・心膜-縦隔胸膜解放テクニック
・推拿(圧法)
・頚部筋肉群癒着解放テクニック
 ☚13回目来院時より追加 
 
 
 
 
④ 経過と結果・・・
・最初の数回は頚部の矯正を後回しにして腹部への施術に集中し、まず体幹を真っ直ぐにする事にしました。すると4回目来院時には右側に回旋偏位していた体幹がほぼ正中に真っ直ぐ向くようになっていました。その結果、左回旋偏位をしていた頚部-顔面も正中方向に2/3程度まで改善していました。

・次は顔面(翼突筋群)と頚部前面(上下の舌骨筋群)への施術に集中しました。この治療も計4回施術しました。その結果、右側に大幅に偏位していた顔面下半分が左右対称的(シンメトリー)に8割ほど改善していました。顔面が大幅にシンメトリー状態になった結果、頚部の左回旋偏位が少し改善している様に見えました(☚実際には左回旋偏位の改善効果はゼロ)。

・その後、上記「⑸ 頚部の10本以上の様々な筋肉群の緊張を緩和-バランスを取る」治療をこれも4回続けましたが、左回旋偏位は全く改善せず、膠着状態が続きました。そこで改めて問診をすると、
「7-8年前に左右の耳と鼻からから黄色い耳漏と鼻漏が大量に出て、耳鼻科での投薬で1週間ほどで治癒した。しかしその半年後、右の上奥歯(?)が痛くなり、歯科医院を受診したが改善せず、さらに右こめかみが痛くなり出し、再度耳鼻科で受診すると副鼻腔炎との事で投薬を受け、これも1週間ほどで治癒した。」
と仰っていました(その後も、この数年の間でたまに鼻漏が出ていたそうです。また、ハミガキを徹底しても口臭が気になっていたそうです)。

・そこで、頚部の筋肉群の癒着を解放する整体治療を追加したところ(13回目来院時)、今まで難治性だった頚部の左回旋偏位が劇的に改善していました。Nさんも、「このやり方だと後頭部のつけ根の張り(痛み)が軽くなります」と仰っていました。

・16回目来院時、頚部の左回旋はほぼ完全に治癒し、顔-頚部-体幹は正面を向けられるようになっていました。
 
 
 
 
⑤  今回の症例の概説、、、
・側彎症の原因にも種々あり、多くは脊柱が関係していると思います。しかし今回のNさんの症例では、脊柱が関係している節は感じられませんでした。脊柱は側彎していましたが、しかしいわゆるフィクセーションが全く無く、またレントゲン検査で骨の形状の変化も全く無かったからです。
 

・そこで次に、この側彎に腹部臓器が関係しているのでは、と考えました。それは、Nさんに右鼠径部から右下腹部にかけて著明な緊張-圧痛があり、盲腸と骨盤の癒着が疑われた事です(☚大量飲酒が原因か?)。右下腹部には盲腸がありますが、盲腸は盲腸ヒダを通じて骨盤に付着していますから、盲腸に緊張があればその牽引力が盲腸ヒダを通じて右骨盤に引き付けられ、結果として腹部(体幹)が右方向に回旋する可能性があるのでは、と考えました。

・さらに、その牽引力が回盲部⇒腸間膜根⇒トレイツ筋⇒横隔膜右脚⇒横隔膜筋膜⇒心膜・右縦隔胸膜と伝わっていき、腹部と胸部が右方向に引っ張られているのでは、と考えました。従って、
   ⑴ 盲腸ヒダの緊張-骨盤との癒着を解放する
   ⑵ 回盲部-腸間膜根-トレイツ筋の緊張を解放する
   ⑶ 横隔膜筋膜と心膜-右縦隔胸膜の緊張(癒着?)を解放する

目的の施術が功を奏したのかもしれません。腹部だけの施術で頚部の左回旋偏位もかなり改善したのは、頚部の左回旋偏位の原因の半分が体幹の右回旋偏位に対する代償機序によるものだったために自然に回復したのでは、と推定しました。
 

・ただ、それでも頚部の左回旋偏位は2/3ほど残っていました。その原因としては、やはり左舌骨下筋群その他の頚部の筋肉群のアンバランスな緊張が主因では、と考えました。気管が左方向に変位していたのも、この事を裏付けているのかもしれません。それに、顔面下半分が右側に向かって大幅に偏位して顔が左右対称的(シンメトリー)で無くなっている事も、見かけ上の首の左回旋偏位を強調して見せていたと思われます。

・そこで、頚部の左回旋偏位を矯正し、顔を正面に向けられるように
⑷ 舌骨上・舌筋群、内外の翼突筋群の緊張を緩和して頚部、気管、顎関節バランスを改善する
⑸ 頚部の10本以上の様々な筋肉群の緊張を緩和して前後左右のバランスを回復させる

目的で
 ・推拿(圧法)
を、上記筋肉群に施術していきました。しかし、ここからが全くの膠着状態に陥りました。つまり、顔が左右対称的に改善した以外は、全く効果が出なかったのです。

・一般論でが、ある症状に対して治療を続けていて、それの効果が出ない場合、大きく以下の三つの可能性があります。
❶…治療テクニックが下手 (☚診断は間違っていない)
❷…治療テクニックは問題ないが(上手いが)、症状の原因が強すぎて、テクニックの効果発現に時間がかかる (☚これも診断は間違っていない)
➌…誤診。症状の原因が想定していたものと異なるので、当然その治療テクニックでは効果が出ない。
ですから、
❶の場合⇒上手なテクニックを施術する
❷の場合⇒もう少し同じテクニックを施術し続けて効果発現を待つ
➌の場合⇒再診察。その後、別診断を元にした、新たな別のテクニックで治療する
といった対応策が必要になります。

・この様に患者さんに効果が見られない場合、私たち治療家は「この❶~➌のどれに当てはまるのか、、、」を考えて対処しているのですが、(言い訳的ですが)実際にはこれを検討する過程は極めてシビアな状況で、いつも緊張する一瞬です。

・今回のNさんの症例では➌のケースだと思いました。ですから改めての問診が必要だったのです。すると、思いがけずに本症と関連がありそうな有力な既往歴を聴取する事が出来ました。それは
6-7年前の急性中耳炎、急性副鼻腔炎を思わせる病態の既往
でした。そしてそれは半年後に再発していた可能性も分かり、さらにそれが慢性化(慢性副鼻腔炎)して今に至っている事も分かりました。

・つまり、今回の頚部の左回旋偏位の仮説は以下の通りです。
ⅰ…(おそらく成長期に生じた)鼻中隔湾曲症が影響して急性中耳炎や急性副鼻腔炎に罹患した
ⅱ…この時に、中耳や副鼻腔で生じた大量の「膿」が頚部の多数の筋肉群の隙間(筋膜間)を下行していった
ⅲ…同様の事が半年後にも生じた (☚ⅱとⅲの間の半年間は慢性化していた可能性大)
ⅳ…吸収されなかった一部の「膿」が、頸椎を四方八方から支えて引っ張っている複数の色々な筋肉の筋膜間(隙間)に挟まって残存し、それが10本以上の筋肉-筋膜の癒着と緊張の原因になっていった(今に至るまで慢性化して、これが継続されている可能性大)。

ⅴ…それが原因で、次第に各筋肉が頸椎を支持-引っ張る強さに差が生じてアンバランスになり、頚部-顔を正面に向けられなくなって、頚部が左方向に引っ張られるようになっていった(左回旋偏位の成立)
 
 

・もし、上記の様な事が原因であれば、通常の緊張(コリ)を解放する整体テクニック(圧法など)では効果が出無いのは当たり前だったでしょう。筋肉(膜)と筋肉(膜)の間の癒着を専門的に開放する整体テクニック「頚部筋肉群癒着解放テクニック」が著効を示したことは、この仮説を裏付けているのかもしれません。
 
 

・とにかく、今回のNさんの側彎症例は、通常考えられるような「脊柱のサブラクセーション」的な事は一切なく、
   A…腹部臓器による体幹の右方向への引っ張り回旋偏位
   B…顔面の左右不対称による見かけ上の頚部の左回旋偏位
   C…頚部筋肉相互間の癒着-緊張のアンバランスからくる頚部左回旋偏位

と、上記A~Cの三つの原因が複雑に組み合わさって生じた、珍しいタイプの側彎症であったのでは、と思います。

 

 

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------

上記解説文で不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
それではお大事にしてください。 

 

● 機能性胃腸症 (胃もたれ・胃下垂・他) の総合案内はこちら

● JHSC整体院の総合治験例はこちら

 

 

● 治療のお問い合わせは下記まで

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

付属治療室

JHSC整体治療室

●診療時間 【予約制】
 ・午前診…10時~13時
 ・午後診…15時~18時

●診療日
 ・月曜日~金曜日
 (水曜日=午前診のみ)
 ・第2土曜日、第4土曜日=午前診のみ

●休診日
 ・第1土曜日、第3土曜日、日曜日、祝日

●治療費
 ・初 診 7,500円
 ・2回目以降  5,000円
●住所 大阪市都島区善源寺町1-5-43 アイムワンビル2F

      地下鉄谷町線都島駅 4番出口徒歩2分
●電話 06-6180-6880 

メールでのご相談・治療予約はこちら



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

● 本学院-入学のお問い合わせは下記まで

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

2年制整体学校

ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院


次の二つのコースからどちらかを選んで入学して頂けます。

1 本科2年課程 (一般の方が入学するコース)
2 プロコース (鍼灸師、理学療法士などのプロの方が入学かるコース)

 

●住所 大阪市都島区善源寺町1-5-43 アイムワンビル2F
      地下鉄谷町線都島駅 4番出口徒歩2分
●電話  06-6180-6880
●メールでのご相談資料請求体験入学…受付中


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

患者さんが通院される主な地域
大阪市、淀川区、東淀川区、西淀川区、大淀区、福島区、中央区、北区、旭区、都島区、此花区、大正区、東成区、城東区、住吉区、住之江区、平野区、守口市、門真市、寝屋川市、交野市、枚方市、東大阪市、大東市、八尾市、四条畷市、藤井寺市、柏原市、吹田市、豊中市、摂津市、茨木市、高槻市、箕面市、池田市、川西市、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市、堺市、岸和田市、和泉市、泉佐野市、奈良市、生駒市、京都市、
亀岡市,向日市、長岡京市、松山市、岐阜市、広島市、横浜市、東京都、和歌山市、名古屋市、北海道-札幌市、鹿児島市、島根県