自主管理の独自ルールは続くよどこまでも。 | 城北マンション管理士事務所

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当事務所は、首都圏の分譲マンションにおいて、皆様の大切な住居・資産であるマンションの維持保全計画をご提案し、快適な住環境を維持できるよう、管理組合様と一緒に取り組んで参ります。

先日、自主管理マンションの30代と思われる女性理事長から、こんな相談があった。


相談されたときの話は、以下のとおり。


30年超の中古マンションを購入し、引っ越してきた当日、突然、管理組合の理事長と名乗る70代の女性がやってきて、

「順番だから、次期の理事長をやってくださいね。」

と言われました。


その時は、分譲マンションを購入したのが初めてで、管理組合の仕組みも全く分らず、町会の役員程度にしか考えていなかったのです。



その後、翌月開催された通常総会で、一応、固辞したのですが、

「他の皆さんは、何回も役員やっているし、あなたは若いんだから、理事長をやらなきゃだめよ。」

と、結局、他の総会出席者に押し切られて理事長に就任してしまったようです。


総会の数週間後、

前理事長が自宅にやって来て、「消費税率がアップする前に、共用照明を全部LED照明に変えてね。」と、某業者の見積書を手渡されたそうです。


見積書は、明細が無く、一式で百数十万円と記載されていたので、「比較のために、他業者からの見積りは必要ないのですか?」と聞くと、

「昔から付き合ってる業者だから、大丈夫よ。早く工事しないと、電気代が勿体ないわよ。」

と、「相見積り」の提案は一蹴されてしまったとか。



同マンションの理事会は開催されず、今日まで、理事長が工事を含めた全ての管理業務を実施してきた「独自の伝統」があり、長期修繕計画も作成されておらず、工事は、理事長と一部のご意見番による話し合いのみで、昔から出入りしている特定の業者に依頼してきたようです。

相談者の女性理事長は、本意ならずも、一旦、理事長を引き受けた以上、ネットなどで分譲マンション管理について調べた結果、「このままでは、まずいのでは?」と、心配になって、ネットで知ったマンション管理士に相談する気持ちになったとのこと。


そもそも、理事長は、無報酬だからといって、社会奉仕を行うボランティアではありません。

報酬の有無に関係なく、「管理者」として、その業務には「善良なる管理者の注意義務」があるため、区分所有法に違反する行為については、ペナルティーが科せられることがあり、法で定められたルールに従わず、敷地及び共用部分等の管理責任を怠ったこと(区分所有法違反)に起因して発生した損害については、他の区分所有者から理事長に対し損害賠償を請求されることがあると説明し、マンション管理士の活用や、管理会社への委託について検討するようアドバイスしたのですが・・・・。古参の方々が認めてくれないだろう・・・と、ボソッと呟かれました。


  自主管理マンションでは、独自の無手勝流管理が長く続いた歴史を  

  是正するのは、至難の業なのかもしれませんね。

  文責:中村