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「喫煙率が下がっても肺がんが増えている→タバコは悪くない」は大間違い…多くの人が知らない喫煙のリスク


日本人において、もっとも死亡者数の多いがんは「肺がん」であることをご存じだろうか。内科医の名取宏さんは「肺がんのリスク因子でもっとも大きいのは喫煙。ところが、そのリスクの大きさは意外と知られていない」という。



喫煙者は4〜5倍も肺がんになりやすい

日本人の部位別がん死亡者数の第1位は、肺がんです。肺がんになりたくない、肺がんで死にたくないのであれば、肺がんの原因について正確な情報を知っておいたほうがいいと思います。

肺がんの原因はさまざまですが、もっとも有名なのは喫煙です。もちろん、タバコを吸わなくても肺がんになることはありますし、タバコを吸っていたからといって必ずしも肺がんになるわけではありません。でも、タバコを吸っていると、吸わない場合に比べて、肺がんになりやすくなることは確実です。喫煙の影響の大きさは肺がんのタイプ(組織型)によって異なりますが、日本人の場合、男性喫煙者は非喫煙者に比べて4〜5倍、女性喫煙者は約3倍も肺がんになりやすいのです。

2021年に発表された研究によれば、日本人男性集団において全肺がんの約60%は喫煙が原因です。喫煙が肺がんのリスク因子であることは、喫煙者と非喫煙者を比較した国内外のさまざまな研究で再現性がよく示されており、専門家の間で議論はありません。ところが、インターネット上では、なぜか喫煙と肺がんの関連を否定するデマが広まっています。

喫煙率が下がっても肺がんが増えた理由

喫煙と肺がんの関連を否定するデマの中で特に多いのが「喫煙率が下がっているのに肺がんが増えているので、タバコと肺がんの因果関係は疑わしい」というもの。こうしたデマに騙されないために知っておくべきポイントは、高齢化とタイムラグです。肺がん死亡者数や年齢調整をしていない粗死亡率が増加しているのは事実ですが、その主因は肺がんの罹患率も死亡率も高い高齢者の人口が増えているためです。

高齢化の影響を取り除いた「肺がんの年齢調整死亡率」を見ると、1990年代をピークに減少しています。日本人男性の喫煙率のピークが1960年代ですから、喫煙率が減少して約30年経って肺がん死亡率が減り始めたことになります。タバコの煙に含まれる有害物質が肺の細胞にダメージを与え、がん細胞が発生し、がん組織が大きくなって死亡に至るまでには、そのくらいの時間がかかるので計算は合います。


喫煙は、この他にも喉頭がんや舌がんなどのさまざまながん、心筋梗塞や脳血管障害や慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった病気の原因にもなります。健康のことだけを考えればタバコを吸わないのが最善です。とはいえ、人は健康のためだけに生きているのではありません。喫煙のリスクを正確に知った上で、タバコを吸うという自己決定権も尊重されるべきです。

受動喫煙」のリスクにも注意が必要

ただし、受動喫煙には注意が必要です。受動喫煙とは、タバコを吸わない人が他人のタバコの煙を吸い込むことによって健康被害を受けることを指します。さまざまなリスクを承知の上で喫煙することを選択する人がいてもいいのですが、喫煙しない他人に煙を吸わせてリスクを負わせてはいけません。

能動喫煙ほどではないですが、受動喫煙も肺がんのリスクを1.2~1.3倍ほど上げます。また、他のがんや心血管障害といった疾患のリスクも上げます。さらに受動喫煙は、1歳未満の赤ちゃんが突然亡くなる「乳幼児突然死症候群(SIDS)」のリスク増加と関連することがわかっています。なお、自分で吸うよりも受動喫煙のほうが害が大きいという説をときに聞きますが、誤りです。喫煙者自身も副流煙を吸っており、その影響を受けています。


受動喫煙の防止のため、現在の病院はほとんどが施設内禁煙です。個人的には、しっかり分煙できていれば病院に喫煙所があってもよいと考えます。たとえば、タバコを一服することが何よりの楽しみであった方ががんになり、闘病中は努力して禁煙を続けたものの治療の甲斐なく進行して終末期を迎えた場合に「最後に1本でいいからタバコを吸いたい」と希望されたら、その願いを叶えたいと思うのが人情ではないでしょうか。しかし、過去に不十分な分煙やマナーの悪い喫煙者が問題となっていたことを考えると、現状の全面禁煙もやむを得ないかもしれません。







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