中原中也 | ドイツ,ピアノ日和

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メルヘンと芸術の国ドイツから発信中、ミュウのブログにようこそ!

最近、中原中也の詩が好きな私。今日はお気に入りを2つご紹介。


春宵感慨


雨が、あがって、風が吹く。

 雲が、流れる、月かくす。

みなさん、今夜は春の宵。

 なまあったかい、風がふく。

なんだか、深い、溜息が、

 なんだかはるかな幻想が、

湧くけど、それは、掴めない。

誰にも、それは、語れない。

誰にも、それは、語れない

 ことだけれども、それこそが、

いのちだろうじゃないですか、

 けれども、それは、あかせない・・・・・・

かくて、人間ひとりびとり、

 心で感じて、顔見合わせれば、

にっこり笑うというほどの

 ことして、一生過ぎるんですねえ

雨が、あがって、風が吹く。

 雲が、流れる、月かくす。

みなさん、今夜は春の宵。

 なまあったかい、風がふく。




夏は青い空に・・・・

夏は青い空に、白い雲を浮かばせ、

 わが嘆きをうたう。

わが知らぬ、とおきとおきとおき深みにて

 青空は、白い雲を呼ぶ。

わが嘆き悲しみよ、こうべをあげよ。

 ー記憶も、去るにあらずや・・・・・・

沸き起こる歓喜のためには

 人の情けも、小さきものとみゆるにあらずや

ああ、神様、これがすべてでございます、

 尽くすなく尽くさるるなく、

心のままにうたえる心こそ

 これがすべてでございます!

空のもと林の中に、たゆけくも

 仰ざまに眼をつむり、

白き雲、汝が胸の上を流れもゆけば、

 はてもなき平和の、汝がものとなるにあらずや