一つ面白い実験がある。


まず被験者の指に、圧力をかけて痛みを感じ始める数値と耐え切れなくなる数値を測定する。

同じ被験者に、「拒絶感」を与えて、同じ様に指に圧力を掛けて測定すると、痛みを感じる始める圧力が高くなる。

つまり、拒絶感を感じると人は痛みに対して鈍感になる。


痛みに鈍感になると言う事は、他者の痛みに共感出来ないと言う事でもある。



この実験を前提に、話を進めて行こう。


話しかけながら、笑顔で育てる 1 で書いた様に、赤ちゃんと母親はコミュニケーションを取っている。


こんな実験もある。

母親が、赤ちゃんの目を見ながら笑って話しかけると、赤ちゃんは喜ぶ。

その話の途中で、母親が突然無表情になると、赤ちゃんは最初は笑ったり声を出したりして、母親とのコミュニケーションを続けようとするが、それでも母親が相手をしないと、不安げに泣き出したりする。

これは、赤ちゃんにとっては、母親からの一方的なコミュニケーションの「拒絶」になる。


また、母親が赤ちゃんに視線を合わせないで話をすると、赤ちゃんは注意を引こうととするが、それでも母親が視線を向けずに話を続けると、動揺して泣き出す。


赤ちゃんに、笑顔で楽しそうな口調で話し掛けた時と、笑顔で悲しそうな口調で話し掛けた時、悲しそうな顔で楽しそうな口調で話し掛けた時、悲しそうな顔で悲しそうな声で話し掛けた時の反応を調べる実験だ。

赤ちゃんが喜んだのは、笑顔で楽しそうに話し掛けた時だけである。

笑顔で悲しそうな口調で話し掛けた時は、最初は喜びの表情を示すが、すぐに戸惑いの表情に変る。

つまり、赤ちゃんは表情と声の両方から、相手の感情を理解していると言う事である。


また、赤ちゃんに、母親が話しかけるビデオを見せる実験も行なわれている。

普通の映像では反応するが、上下を逆にするとその映像が母親である事を理解出来ない。



こうした実験から、赤ちゃんとのコミュニケーションは、表情と声、そして視線と向きが重要で有る事が分かる。




さてここで、昔ながらの「おんぶ」に「だっこ」での育て方と、ベビーベッドや、ベビーゲージを使った育て方を比較してみよう。

「おんぶ」や「だっこ」をしながら家事をしていたら、急な来客や、電話の時でも赤ちゃんとの関係を途切れさせないで、相手をする事が出来る。

電話していても、目で相手をしながら、コミュニケーションを途切らせずに相手をする事が出来る。


おんぶでも、視線は使えないが、軽く叩いたりしてコミュニケーションを継続させる事が出来るが、ベビーベッドやベビーゲージを使用していたら、来客や電話の時に一方的な関係の途絶が起きる。


また、乳母車とベビーカーには大きな違いがある、

乳母車と、ベビーカーの一番の違いは、乳母車は母親と対面しているが、ベビーカーは対面していない物が多い。

乳母車は、赤ちゃんからは空と親の顔しか見えないが、対面式のベビーカーは周りの風景が見える。

大人でも、後ろ向きに歩いたりすれば不安を感じるように、赤ちゃんでも後ろ向きに進む事は好ましい事では無い。


育児に悩む人や、産後の鬱の人には、この要素が欠けている場合が多い。

しかめっ面での授乳、赤ちゃんがコミュニケーションを求めているのに怒ったり。

自分が可愛がりたい時だけ可愛がったり。

そんな事をしていれば赤ちゃんは不安や、欲求不満になり、夜泣きなどの原因にもなる。

そして親は夜泣きに悩まされて、笑顔がなくなって行く悪循環。


授乳期からベビーベッドやベビーカーで楽をせず、しっかりと相手をして赤ちゃんの心を満たしていれば、手も掛からず楽に育児が出来る。






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