今回は、同業者の話。
ある人物が、数年前に同じ盗聴発見業をするからと挨拶に来た。
盗聴発見業は場数を踏まなければ一人前にはならない。
特に、企業調査などの大きな仕事は、そう簡単に取れる物でもなく、調査方法も一般家庭とは違う。
そこで、大きな仕事が来た時には連れて行く事にした。
最初の頃は、低姿勢で仕事を覚えようと言う態度だったので、大きな仕事が入ったらそいつを連れて行った。
そいつは、実家の家業があまりうまく行っていないと言う事で、別収入を考えていたので、私の仲間の探偵を紹介して、探偵業も覚えさせ、組合も加盟させてやった。
そいつを連れて行った時にそいつに渡した金額も、日給5万円は払った。
そいつが段々おかしくなって来た。
仲間の探偵の態度も変わってきた。
その時点で、何が起きているかの想像は付いていたが、ある時また大きな仕事の話が来たので、そいつにもこえをかけてOKを貰ったのだが、前日にドタキャン。
次に、仕事を回そうと電話したら「5万なんて金額じゃ出来ません」・・・・何~!
それ以降、そいつに連絡する事をやめた。
その後、そいつを紹介した探偵社からの連絡も途絶えた。
概ねの予想は付いている。
こんな時は、何もしないのが一番だ。
そいつがどんな人物だったのかは、そいつが探偵業を覚える時に、そいつの尾行や張込みを見て判っていた。
「心の回折、分光と精神の分光 」で書いたように、人間は精神的に窮屈になった時に本性が出る。
尾行や張込みの際に、そいつの本性が出ているわけだ。
車での尾行の時には何台も後方に位置取り、決して近くには行かない。
張込みの時も、かなり離れて相手が見えない様な所で張り込む。
その為、一度も成功した事が無い。
つまり「臆病」な性格である。
また、尾行や張込みで距離を取って近付く事が出来ないと言う事は、相手が気付いているかもしれないと言う自分の心の裏返しだ。
それは、自分の心が作り出す妄想に支配されている事を意味し、「他人が自分をねたんでいると思い込んでいる」と言う症状の別の現われ方である。
「誇大的で自信に満ちた行動をとるがそれに見合うような成果を収めることは少ない」と言う症状にも合致している。
その時点で、こいつは「危険」だと判断して距離を取るようにした。
そいつとは3年間で10回も会っていない。
まあ最近一年は全く連絡も取らなかったので実質2年で10回以下だ。
その最中で「5万じゃ出来ません」と言って来たので、いよいよ発症したと判断した訳だ。
まあ基本的に「自己愛性人格障害」である。
自己愛性人格障害の症状からすれば、何が起きているのか容易に想像が付く。
「自分が目立つためや願いを叶えるために他人を利用するのは当然のことと考えている」
「事実を勝手に曲げ、自分に対する錯覚を必要とあらばうそをつくこともかまわない」
「自己中心的で周囲に対して思いやりに欠けた行動を正当化するために、もっともらしい理由を付けようとする」
「常に相手に対して自分を特別扱いするよう求める」
「他人が自分をねたんでいると思い込んでいる」
これらの事を行っているのだろう。
ただ、仲間の探偵社にそんな事を言っても理解出来ない世界だ。
そのうち異常性に気付き連絡が来るだろうと思い放って置いたら、時々電話はある物の、その件に関しては一年してから連絡が来た。
その時点で、医学書の症状の所をコピーして渡して説明した。
結局、その症状そのままの事をしていた。
あの手の病気の人の話は、実に都合よく構成されているので、下手に反論したりすればこちらが悪者になってしまう。
そんな事は何度も見てきているので、何もせず過ごすのが一番だ。
そして、そいつを切る事になった。
その時に、その探偵さんに予測をしておいた。
「必ず、低姿勢で擦り寄ってくるよ、それを反省したと思ったら大間違い、反省の姿勢を示しても許さず突き放してごらん、その時に必ず逆切れするから、その逆切れが彼の本性」
そして、たった今その探偵さんから電話があった。
「予想通りの電話が来て、切れまくっていた・・・」・・・・・やっぱり~!
まあ簡単にこいつの異常性を述べれば、「臆病」に尽きる。
常に背伸びをしているので、自分より知っている人がいる事は、自分が知らない事がばれる恐怖を抱く。
その為、自分より知っている人と決して同席しなかったり、自分より経験のある人と組まされると急用と称して一緒に仕事をしない。
それは、「尾行」や「張込み」の対象者にも起こり、ばれる事に異状な恐怖感を覚える。
つまり、全てのベクトルが同じ方向を向いている。
集団ストーカー―盗聴発見業者が見た真実 (晋遊舎ブラック新書 1)/古牧 和都