414.オフレコ~抱えきれぬほど重過ぎる胸の重石が消えると信じていたのに… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前話→413.盗み聞き~マニャゲ(もしも)…妃宮さまに万一のことでもあればそなた 容赦せぬぞ!

前話に引き続きシン目線でどうぞ

 

 

皇太后の右の人差し指が 俺の左後方を指す

「チェ尚宮がただならぬ表情で私を睨んでおる

私なら黙って隠居する故 心配ないとそなたから言い聞かせるがいい

オソ/さあ 早く」
チェギョンを手で追い払い 俺にはそこに居ろと訴える視線
 

「シン… ここからはオフレコだ 二度は言わぬ」

走ってはいけないと何度言っても駆け足になるチェギョンの後ろ姿を見送る皇太后は… 少し足を引きずるその姿を どう感じているのだろうか

180.追二兎不得一兎~ユルが掌を返し… チェギョンも また…俺を置いて行くのか?

229.大関嶺 雪の花祭りⅢ~昨夜も痛かったんだろう?それであんな… どうして早く言わない?

表情では読み取れない

でも チェギョンから目を離さない… それとも離せないのか

「妃宮にも 明かすで無いぞ

話したくも無いのだが… そなただけは胸に留め置くべき事だ」

チェギョンがチェ尚宮に抱き付く瞬間… 眩しいものを見るように目を細める

 

「ソ・ファヨンという かつての皇太子妃は…

ミン・ユソンと… イ・スンレという恋敵に 嫉妬して居たのだ」

母上の名はともかく 府婦人までもが”恋敵”とは…

父上… いやまさか伯父上が…?

 

長い瞬きの間 言葉を 探していたのか 重い口を開く

「透明な水も ほんの一滴色を落とせば あっという間に濁るのと同じく

些細な仕草ひとつに疑念を抱けば 元通りには戻らぬ

私は 実に馬鹿馬鹿しい感情に囚われて濁らせた 大切な愛を

二度も手放してしまったのだ」

これほど聴けるとは 思っていなかった

 

「長き時を経ても癒えぬ傷は 全てを壊せば癒えると信じて疑わなかった
自分を失い息子の心を失い 他人の心の闇に付け入り 小さな傷をこじ開け

私が直接手を下さずとも壊れて行く皇太子夫妻を見れば 抱えきれぬほど重過ぎる胸の重石も消えると信じていたのに…

全てが誤解だったと知った時… より大きな闇に呑みこまれた

全ては 愛を信じる事が出来なかった私の過ちだ」

おそらくは これがこの人から聞ける 謝罪の言葉に最も近い言葉だろう

 

俺は ソ・ファヨンの告白を聞いているうちに ある人の顔が浮かんできた
今でこそ インとの交際を公言し フランスのロイヤルバレエスクールからでさえ狭き門のロイヤルバレエ団に入団し 活躍するミン・ヒョリンが 高校時代 俺に恋していると告白したあの小雪の舞う日の事…
インがあまりにも献身的に支えてくれるので 必死でバレリーナを目指す意思の強い女ミン・ヒョリンを演じたと 正直無理をしている 私が踊れなくなったらどうなるのだろうと言っていた…
愛されているのは踊っているからだと思い込んでいた…
インはただの一人の女として君を愛して居るから心配ないと言って聞かせたら
見違えるほど笑顔になったっけ…

 

周りの期待に応えようと必死だった

自分に似ていると感じたヒョリンに 似ているソ・ファヨン

このひとには そんな助言をくれる者が居なかったんだな

父上はきっとバレリーナでも女優でもなくても 彼女が好きだっただろう
そして伯父上も…
凛として美しく 芯の強い彼女には 自尊心が邪魔して不安をさらけ出す事が出来なかった

それが災いして 二度も 愛を失ったのだ
きっと自分を愛してくれと言えなかった為に…

 

「だが… 孝烈殿下の事故は 事故などでは無かった

退き下がったのは 孝誠殿下…陛下のためだったが 正しかったと思っては間違っていたと悔やむ事を行き来した 戻れもしないのに」

っ?!伯父上の薨御が事故では無い?!

「いつの世も 君主は奸臣に揺るがされ 事実はねじ曲げられ 闇に葬られ 史草には残らぬ

21世紀になっても変わらぬようだ」

孝烈皇太子殿下が 何者かによって御命を奪われたといのか?!

 

「ユルには 向かぬ

あれのいう通り そなたの方が遙かに適任だ

だが妃宮は どうであろうか… 私が言うまでもなかろう?」

ふん 図星を指されるのは嫌いなんだが…

 

「取り戻せて安堵しているようだが…敵は私などでは無い

妃宮には… もうそなたを置いて行くなと忠告したが 二度目は取り戻せぬぞ」

っち そうだろうよ…

 

「シン… そなた 妃宮に似て来たぞ」

は?

自らの顔の前で くるりと人差し指を回し 顎で俺を示す

げ… 全部顔に出ている というのか?

くすりと笑った皇太后が すっと顔を引き締める

 

「これは最初で最後の忠告だ

その愛が本物だと言うのなら 微塵も疑わせぬ事だ

些細な疑念も その都度拭い去れ」

 

御忠告 神妙に受け取っておこう

「명심하겠습니다/ミョンシム ハゲッスムニダ/肝に命じます」

 

俺の言葉に満足したとばかり”ふんっ”と鼻をならすと 彼女はもう茗禪堂を振り返ることなく 乾清宮へ帰って行く

 

チェギョンを先に帰して 俺にだけ語った罪深き嫉妬心 明かしたくも無かっただろうに

その愛さえ信じることが出来たなら…切なる思いから

もう 繰り返すなという俺への忠告

確かに これで全てが片付いたというには 敵は 外に山ほど居て…

俺自身の内にも居るってわけか

 

その翌朝 良く晴れた頬を切るような冷たい空気の中

白装束で ゆっくりと最敬礼(クンジョル)を終え 輿に乗り込み 控えめにお供と荷車を従え 皇太后が慶熙宮(キョンヒグン)に隠居した

どこまでも潔く 美しい去り際だった

涙を浮かべたのは寧ろ チェギョンの方だった

 

穏やかな一日を終え ベッドに横になるチェギョンに手を貸し 上掛けを掛け直し 灯りを落とす

隣に滑り込み 

「おやすみチェギョン」

チェギョンのうなじにキスをして そっとその腹に手を伸ばす

「おやすみヒマン」

「………」

微妙な間…またなんか悩んでるのか?

「あのね シンくん」

「うん?」

「その…言いにくんだけど 帝王切開になるかも」

「予定日を過ぎたからか?」

「二週間以上過ぎると 赤ちゃんに良くないんだ」

「予定日が18日だったから…大晦日かお正月なんだよね…どうしよ」

「どうするもこうするも 仕方ないダロ」

「普通に産みたいよ~ 早く出てきて~ って毎日声掛けてるのにな…」

「俺はどっちだって構わない 気にするな」

「あのね? シンくんからも 呼びかけてくれない?」

「はは それなら お前が気にするから口に出さないだけで 毎日言ってる

早く会いたいぞってな」

「そうなの?」

「信じないのか?」

上掛けを捲って 夜着の臍の辺りに唇を当てる

「ヒマナ~ サランヘ ッバリナワ~」

チェギョンの脇腹を擽る

「うふふ ありがと」

「なあチェギョン 触ってもいいか?」

「触ってるじゃん」

「違うよ」

そんなんじゃない ほんとに解らないのか?

「………」

解ってるんだな

「ダメか?」

「………」

「早く拒まないと 触るぞ」

「………」

裾から忍ばせた手のひらで 腹全体を撫でるように触れる

チェギョンも ヒマンも驚かせないように そっと そうっと

触れる事の出来なかった柔らかな丘へ向かって ゆっくりと進む

久しぶりに触れた柔らかな胸は俺の手の知っているサイズよりひとまわり大きく 張って 硬く重くなっていると感じた

出産を控えた母親の胸

表情は…?

緊張している

「怖がる事なんかない お前の嫌な事は絶対にしない」

本当はそんな自信なんてなかった 鼓動は早鐘を打ち 胸が苦しい

「怖がってなんか…ないよ?」

「わかった」

身を起こして そっと夜着を捲る

やっとお目に掛かれた愛おしいその腹に口付けては撫でる

胸は先端を避けて優しく そっとマッサージする

鎖骨や肩にもキスを 首筋にうなじに耳に

「っは…」

うっかり開いた唇を 慌てて両手で覆う

「大丈夫 ヒマンを驚かしたりしないから お前は感じる儘に」

「…うん」

瞼にも 唇にも小さな音を立ててキスを

「愛してる」

「うん あたしも…」

内腿に 脚に ひざの裏に 足首に つま先にも

「んっ あっ…」

湿った声に 喉の奥が締め付けられる

指先と唇から全身に 隅々まで 余すところなく愛を伝える

「シンくん… あたしを 愛してくれてありがとう」

臀部から腰 背中 腕 手のひらと手の甲 指の一本一本まで

「信じてくれて… んっ…」

ゆっくりと 時間をかけて たっぷりと

「諦めないで 連れ戻してくれて…」

こわっばっていた全身の力は抜け

なんとか俺を見上げる瞳は うっとりととろけ 潤んでいる

「あり…が…と…う…」

その言葉を声に変えたかと思った途端にすうすうと寝息を漏らす可愛い唇

ちゅっ

 

明日は ささやかなクリスマスパーティー チェギョンには内緒で 心配していた家族や友人を呼んである

喜ぶ顔が 目に浮かぶ

 

「戻ってくれてありがとう もう二度と 離さないからな」

安心して眠ったチェギョンの夜着を整えてやる

 

愛しい香りを吸い込み 包み込むように胸に抱く

もう少しも悲しませたくない

でももし 傷付けたら その都度 こうして愛を伝えて癒すよ

ちゅっ

あの日 左腕に居たあの女神に誓う

105.祭りの後の眠れぬ夜~女神に誓ったんだ ふん…

 

 

韓国今日もありがとうございますカムサハムニダ恋の矢

 

次回更新未定です→415.タイトル決まり次第リンク貼ります恋の矢

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