413.盗み聞き~マニャゲ(もしも)…妃宮さまに万一のことでもあればそなた 容赦せぬぞ! | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前話412.隠居~どうであろう?シン…今からでも考え直さぬか?

いつのまにかチェギョンの後ろに居たシンくん いったいいつからそこに?シン目線でどうぞ

 

 

キム・ミルが ペク尚宮を伴って来宮し チェギョンがその二人と共に 皇太后に会うため乾清宮(コンチョングン)へ出掛けて行ったと聞いて なぜ止めなかったのだと女官を叱責したが

それより何より…

「妃宮さまに… また何か有っては… はあ はあ…」

 お守りせねばと乾清宮へ向かいながら俺に電話したのだと いつになく焦ったように早口のチェ尚宮

おおかた 走ってでもいるのだろう 息が荒い

「わかった 私も向かう 貴女も少し落ち着くんだ」

 

皇太后は行き先を告げず散策に出ており チェギョン達は探しに行ったと言う 乾清宮の… 件(クダン)の若い女官に対し いつもの冷静さを手放しチェ尚宮はぶるぶると震えて居た

「マニャゲ(もしも)…妃宮さまに万一のことでもあればそなた 容赦せぬぞ!」

 

初めて見るチェ尚宮の取り乱す姿に 狼狽える女官… この者の起こした乾清宮放火事件で…

疑いを掛けられた俺の代わりに濡れ衣を着る苦渋の決断をしたチェギョンが マカオでどれ程哀しみ 寂しい日々を送っていたかを知っている彼女には 到底許せないのだろう

だが ずっと渦中に… 此処に居た俺は逆に 皇太后やこの女官が当時抱いていた濃い敵意は色褪せ…既に 抗う意が無い事を 肌で感じている

もう危険は無い

人一倍強い警戒心を備えたこの俺が 正確な理由も解らないのに なぜだかそう思えた

 

ジヌの誘拐の一件だが 何度考えてみても やはりユルと俺の嘘は見抜かれていた

なのに どうしてああもあっさりと ジヌの解放に応じたのか…

息子を気遣って?アニミョン幕引き? 潮時 引き際…

だが訳もなくそう簡単に引くはずもない

분명 뭔가 있었던게 틀림 없다/プンミョン ムォンガイッソッタンゲトゥリムオプタ/あきらかに何かが有ったに違い無い

…父上と?

…おそらくは

だってそうだろ?あの日の俺やユルの下手な芝居なんかに心揺らすような玉じゃない

それ以前に…その何かが有ったはず

そもそも 俺を拉致なんかしては 流石の皇太后も無事では居られまい

自分に操作の手が及ぶであろうことを承知の上で 最悪の終幕を準備して居たのではないだろうか

そこへ 拉致は失敗 ユルはまたしても俺と交渉に来て 下手な芝居…

長かった泥沼をあれで終わらせる事は既に決めていた

だからどんな結末でも構わなかったのでは?

この茶番劇で締めくくるのも 悪くない そう思えるような 何かが…

 

皇太后は 茗禪堂(ミョンソンダン)に違い無い

慶熙宮/キョンヒグンに隠居する事を余儀なくされた恵政殿皇太后が この景福宮を出て行く前に もう一度見て置きたい場所といえば そこしかないだろう

 

今思えばあの女(ヒト)はずっと 父上にというよりも あの場所に固執していた

あの場所に取り残された過去の自分…

皇太子に求婚されると 恋人が弟であるからと身を引き

入宮したものの…愛が信じられず…夫を失った若く幼い皇太子妃の自分が 亡霊のようにいつまでもそこを離れられずに居る

それをただ なんとかしてやりたくて… 滅茶苦茶だが 本人は必死だったんだろう

でもそれももう全部終わらせ隠居する

だからもう これ以上チェギョンの身に危険は及ばない

おそらくはそうだろうと思いつつも 説明のしようが無いし… 落ち着くことなど出来るはずもない様子のチェ尚宮に 急き立てられるように 曾て茗禪堂だった風貌を残さずチェギョンのアトリエへとなったその場所へ急ぐ

 

テラスの方から 話し声が聞こえる

ペク尚宮 その前に義誠大君妃金氏(ウィソンテグンヒキムシ/キム・ミル)その前にチェギョンが居た

その向こう側に こちらを向いて立つ皇太后ソ・ファヨンと 皇太子妃のチェギョンが会話する姿を 二人はただ見ていた

「…殿下…?」

「シッ」

後ろを振り返り チェ尚宮に 二人を連れて下がるように手振りだけで伝える

 

「ふっ そなたは本当に… 解っておらぬな」

チェ尚宮に連れられてそそくさと下がる大君妃と尚宮に代わって 皇太子の登場

だが顔色ひとつ変えない皇太后は

「もう二度とシンを置いて此処を出て行ってはならぬぞ」

はんっ 何を言うかと思えば

チェギョンはといえば 背中にまでその表情を露にする くっ

「ぷっ」

皇太后が ふいに吹き出す

沸々と込み上げる物を抑えようともせず 終いには くの時になって大笑いする皇太后には 俺も正直戸惑ったがチェギョンはもっと驚いただろう

反論を堪えて不満そうに表情を歪めるチェギョンの顔は 見えないのに 手に取るようだった

ブランコに座ったまま 身を揺らし笑いころげる皇太后を理解できずに取る行動はおそらく

BINGO!

救いを求めるようにこちらに居る筈の二人を振り返る

さっと身を隠して様子を窺う俺に気付かず 勝手に消えた二人の事で益々むくれていることだろう

ようやく笑いをかみ殺した皇太后が ブランコから立ち上がり テラスの手すりに凭れ背を向ける

「不満か?」

声色が急に低く変わる

甘かったのか?まだチェギョンを傷付けるような言葉が飛び出すのではと 俺もチェギョンも身構える

「不満であろうな おまえにそんな事を言う資格なんて無いと 正直に言えば良いではないか」

「不満なんて!無いといったら…嘘になります」

「ふむ…そうであろう」

「でも!守りたいものは守れたし 帰って来れたから! もう いいんです」

いつも自分は非力だと卑下していたチェギョン

外命婦の婦人や令嬢たちの前で大君妃キム・ミニョンとその背景を称賛する一方 自分の叔父キム・スヒョンを批難された観梅会の日 俺の望むピュアな女では居られないと泣いた

265.外命婦/梅見の茶会~全部 俺によこせ

イ・ソンが生まれた日 俺の子が欲しいと言った

皇太子妃として揺るぎ無い自信に繋がる俺の子が欲しいと言ったチェギョン

307.覚醒した欲望~きっと今よりもっと愛おしくなる 早く…そうなりたい 変か?変じゃないよな?

俺の子を宿し 俺と子供を守ろうとするチェギョンを

もう これ以上 一人にはしておけない

 

振り返った皇太后は チェギョンに手の届く所まで歩みを進める俺と目を合わす

「私が東宮殿の女主人で在った頃…

シンとヘミョンと共に東宮殿に遊びに来るそなたが… 私は好きになれなかった」

くそっ チェギョンが凹むような事を敢えて口にするなよ!

皇太后は またもくっくっくっと肩を揺らしている

「な 何がそんなにおかしいんですか!?」

「そなたの顔だ

皇太子妃に戻ったのだから あからさまに顔に出すのは控えねば」

チェギョンの表情が解りやすく変わるからなのか?

むくれるチェギョンに構わずまだ笑っている


「そなたはいつも 笑ったり泣いたり怒ったり拗ねたり お構いなしで」

「ええぇっ!あたし…子供の頃も皇太后さまに何かご無礼を?」
「ふん…記憶にないというよりも自覚がなかったのであろう
そなたはいつも無礼であった…
ヘミョンやユル…シンと違って そなたは…
遠慮や配慮の欠片もなく いつも自由に私の心へ踏み込んできて…本当に無礼であった」

チェギョンはおそらく 真っ青になって どう返したものか戸惑っている が…皇太后の表情は嫌悪など微塵もなく…寧ろ…楽しんでいる?

「そなたほど自由奔放な者は景福宮(此処)にはおらぬからな…
そなたは皆に可愛がられておった…
それが 私がそなたを嫌っておった理由だ…」

皇太后の言わんとする事がチェギョンにはまるで解らないようだが 俺には響いてきた…
俺にも心当たりが有る

否応なしに踏み込んできて… 内なる自分を引きずり出される事に戸惑い

知らぬ間に彼女に絆されペースを崩される事に 俺以上に 激しく抵抗していたのだろう

「ユルは母親に冷たいし キム・ミルは我が強すぎて良くない…」

チェギョン越しだった俺に ふいに 首を傾いで視線を移す

未だ俺の存在に気付かないチェギョンにも そこに俺が居ることを知らしめる為か?
「そなたの妃のような 素直でからかいがいのある娘や嫁ならばな…
どうであろう?シン…今からでも考え直さぬか?」
「なっ?!それは…」
はっ 嫁を取り換えるなど そんな馬鹿な事 有る筈が無いじゃないか!俺としたことが…つい…

笑われた…皇太后が俺をからかって笑っている
やられた…
「え?どうしたのシンくん?」
片手で顔を覆って俯く俺を覗き込むチェギョンは大真面目な顔をしていた
コイツは本当に疎い…
「お前は本当に馬鹿だな」
「えぇっ!?またそれなのぉ~(ToT)」
くっくっく
皇太后が喉を鳴らして笑った
この人は 俺に似ている…いや 俺がこの人に似ているのか?血縁でもないのにユルよりも俺のほうがよっぽどこの人に似てる気がする
きっと俺以上に 内なる自分を誰にも明かすことが出来ずあがいて居たんだ

その暗く深い沼から抜け出せない彼女に こちらが差し出した手を 掴んでくれた

こうして探りあうのをやめて腹をわって話せる日が来ると思えなかったのは何故なんだろう
実はこんなにも 身近に感じられる人だったなんてな…

 

皇太后の右の人差し指が 俺の左後方を指す

「チェ尚宮がただならぬ表情で私を睨んでおる

私なら黙って隠居する故 心配ないとそなたから言い聞かせるがいい

オソ/さあ 早く」
チェギョンを手で追い払い 俺にはそこに居ろと訴える視線

 

 

 

韓国今日もありがとうございますカムサハムニダ恋の矢

シンくんの盗み聞き 皇太后は知ってて二人をからかってたんですwww

7/30(月)→414.オフレコ~抱えきれぬほど重過ぎる胸の重石が消えると信じていたのに…

 

何処が訂正されたかは解る愛読者様 みあなむにだ

ちょんまるかむさはむにだ

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