403.無理強い~やっぱり帰るのやめる!! | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→402.二人を遮る大きな扉~偉くなったもんだな この俺を門前払いしようなんて…
前話に引き続きシン目線です
 

 

長い口付けの間 ソ・ジテとチェ尚宮がどうしてたかなんて 俺達にはどうでも良かった
はず…
だというのに 名残惜しく唇を解放してやるなり 腕の中のチェギョンは
「ところでシンくん…婚約式 放り出して来ちゃったの?ミニョンさんは?」
…っとにお前は!!

「やれやれ 興醒めだな
キム・ミニョンはお前が戻るまで 他の女との婚姻を避けるためのカモフラージュだ」
「そんな!酷いよ! 彼女の事 また傷付けるの?!」
げ 両手で俺の胸ぐらを掴みやがった なんなんだよ
「心配ない 本人がその役を買って出たんだ 俺が強いたんじゃない」
「そ そうなの?…でも…それって…」
「なんだよ?」
「やっぱり…シンくんの事…」
っち…
いつでも どんなときも 他人への気遣いが優先なんだな… ああ お前はそういうヤツだったよ
「仕方ないだろう?いくら王族達に追いつめられても 俺はお前意外なんて考えられなかったんだ」
「………」
この俺に此処まで言わせておいて ミニョンの胸の内を思い複雑な表情で返答を躊躇うなんて やっぱりお前 馬鹿なんだな
「いいから 素直に喜んでおけ」
くしゃりと髪を撫でる
「う…うん//
でもあたし…戻れるの? 罪を認めたし…もう廃妃になっちゃったでしょう?」
「放火犯は掴まったから この腹の子が俺の子であれば 廃妃は取り消せる」
「本当?」
「ああ …その… 俺の子なんだろう?」
「はぁっ?! 怒るよ!」
 
どうだか…
「なら直ぐに戻ってくれ もうひと時もお前と離れて居たくないんだ」
黒い靄が胸に込み上げて再会の感動を穢す前に急いで この胸に抱き寄せた

「シンくん…//」
丸く膨らんだ腹が 俺の下腹部に当たると 急に蹴られたような感覚がして チェギョンと目を合わせる
「今…」
「うん…蹴ったね」
「解るのか?」
「アッパが解ったのかな?희망아~/ヒマナ~」
丸い腹を優しく撫でおろしながら 幸せそうに微笑むチェギョンが その笑顔のまま俺を見上げた
「희망(ヒマン/希望)だよ 胎名」
希望…それはつまり… 信じていいのか?
「………ふん やっぱりか」
俺の胸に込み上げる黒い靄なんか微塵も感じさせないよう 虚勢を張る
「え?!なんで?」
「帰りたかったんだろ?俺の傍に」
「むぅ~!なによエラそうに!」
「エラそうじゃなくて偉いんだ」
チェギョンの皺を寄せた鼻先をつまむ
「ぷ~んだ!宮中のしきたりなんか忘れて伸び伸び暮らしてたんだよ!
シンくんの事もす~っかり忘れてさ!
あ~ヤダヤダ 帰ったらまた あれはダメそれもダメ!って色々厳しく言われるんだろうな~
やっぱり帰るのやめる!!」
「ムォッ!?ヤ-!ノ…!/何っ!?おい!お前…!」
何てことを言うんだっ?!

「殿下 ご心配なさらずとも 夜毎泣いていらっしゃいました」
チェギョンの背後でチェ尚宮が…
彼女が自らこんな発言をするなんて…東宮殿では考えられない事だったが
宮を離れ ここでチェギョンと過ごした数ケ月間が そうさせるんだろうな…

「イ・シン 俺の事 忘れてないか?」
聞きたくも無い声も背後から 忘れられるものなら忘れたいのに… ッゴジョ/消えろ!
「まだ居たのか?」
ソ・ジテは舌打ちする
「言っとくけど チェギョンが此処で伸び伸び暮らしてたのは事実だぞ
さっさと迎えに来ればいいものを 夏休みがグダグダ冬まで伸びて このまま俺のモンにしようとホンキで思ってたのに… 俺 お前のこと絶対許さねーから!」
「ふん なんとでも言え」

「俺がお前を嫌いな理由は もっと根が深いんだ」
「ああ その話なら 本人から聞いた」
ポケットから 緑色のパスポートを取出し 開いて見せた ソ・ジヌという名の記されたページを
「えっ?!…ってお前まさか! ジヌになりすまして飛行機に乗ったのか?!」
 
ははっ まあそう驚くなよ

 

白い壁の大きな扉を入るとそこは チェギョンが好きだった新築とリフォームのご相談はなんとかって建築会社のコマーシャルに出てきたような 素朴で暖かな家だった

  342.ホテルのBAR~あたし 酔ったみたい 眠くなっちゃった 帰ろう?

白地に淡い茶色のマーブルの入った大理石の床と 白い壁 高い天井 吹き抜け

東宮殿のパビリオン程度しかないリビングとダイニングキッチン バスルームとユーティリティー クローゼット 二階三階に寝室が三つ有るだけのささやかな家は チェギョンが18年間暮らした実家よりも 新しく 広くて明るくはあるが 景福宮の東宮殿には遠く及ばない だが…

慎ましく穏やかな暮らしは 東宮殿での暮らしより チェギョンにとってあるいは…

 

此処で 半年間も暮らしたんだな…ソ・ジテと

もっと早く迎えに来れたなら…

東宮殿に戻れば また此処が恋しくなるのでは…?

ソ・ジテは 優しくしてくれたのか?나보다 더/ナボダト?/俺よりもずっと?

はっ…愚問だな

キッチンでチェ尚宮と二人 お茶を淹れるチェギョンの背中は 楽しそうだった

此処がチェギョンにとって安息の地だったことは 訊くまでもない

それでも俺は チェギョンを彼処へ 東宮殿へ連れ戻すんだ

無理強いしないなんて どの口で言った?ふん…嗤えるな

だが そう決めたからには もう二度と 俺から離れようだなんて 思い悩ませたりはしない

 

「じゃあジヌは今 お前の代わりを?」
「アイツ…俺の身代わりを申し出て此処へ送り出してくれたんだ なんなら帰って来なくてもいいってさ
まあ流石にそれはお前には務まらないって言ってやったさ はは…」
「俺が居ない間に…?」
「お前が思ってるほど深刻な問題じゃ無いってことさ まあ 軽く一悶着はあったが…」
ジヌが俺と間違われて拉致され 皇太后の指示で北に売られそうになったことは まだ伏せておこう
「結局のところ アイツの兄貴は只一人 お前なんだと」
「ふん 随分勝手なんだな そんなのはお前の都合のいい解釈だろ?
お前はジヌの分まで背負って皇太子として生かされてるんだ これからもそれは変わらない
どんな理由が有ったって お前が皇太子の位を降りるなんてことは 決して許される事では無いって事が 解ったか?」
「まあ…これまでは俺も迷いが有ったし 揺れていた でももうこの座を誰にも渡す気は無い」
俺は”この座を”と言いながら 丁度紅茶のカップを並べ終えて隣に座ったチェギョンの肩を抱き寄せて見せた
皇太子と シン・チェギョンの夫は 別々の席で有り得ないという意味を込めて
 
「ああそうじゃないと それでこそイ・シンだ 
それで
乾清宮の火事は誰の仕業だったんだ?
恵政殿皇太后の自作自演とも思えなくて…大方汚いヤツらが お前を失墜させる事に成功して 用済みになった恵政殿皇太后が 今度は自分たちの足枷になるって事を恐れてやったんじゃないかと…」
流石ソ・ジテ 王族会も 早い世代交代が望まれるな
俺は頷いて見せる

「自首したのは 恵政殿皇太后のスパイで俺のイギサをしていたペク・チュンハなのだが 俺の後を追って来て火の上がった乾清宮から皇太后を助け出したヤツが 犯人で有るはずがないことは明白だ
だがヤツは それでいいのだと譲らないんだ
これまで皇太子妃に数々の嫌がらせを… 足に重傷を負った事故や 卒業式の小麦粉事件にも関与している チェギョンの愛猫を死なせたのも自分だと告白を
だから皇太子妃の疑いを晴らすために 当然罪を被るし それで許されるとも思っていないと…
ただ 恵政殿皇太后は このまま義誠大君殿下の傍に居られるように 配慮して欲しいと」

「ペク・チュンハが…?」

 

 ユルが皇室の過去をジテに調べさせたと言ってたから… 知ってるのか

「ペク・チュンハは 恵政殿皇太后が皇太子妃だった頃 東宮殿に配属されたばかりの若いイギサだった
畏れ多くも皇太子妃を 恋慕っていたようだ 後を追って渡英しボディーガードまで… 更には ユルとともに帰国した程にな
 
真犯人は 恵政殿皇太后の元に出入りするペクイギサに恋慕した 乾清宮の若い女官なんだ…
準王族から序列を外れて皇太后付きの女官になった者がヤツに惚れて… 王族達に 嫉妬心を利用されそそのかされて 主の住まいに火を放ったんだ
だが真犯人を捕まえようものなら 芋づる式に皇太后や王族会の大御所達も逮捕されることになる
皇室も王族も崩壊しそうな状況で…自ら身代わりを引き受けたんだから 大した男だよ」
 
 
「怖い世界だよな ホント
いっそさっさとお前が皇帝になりゃいいんだよ
王族の爺さん達を黙らせられるのはお前しかいない」
ユルの言った通り ソ・ジテは疾うに俺に次期皇帝の資質有りと…認めてくれてたんだな
 
「ああ 俺も そう思うよ」
「うわ!それそれ
ユルがいつも言ってたお前のその眼…
まあとにかく チェギョンとお腹の子をしっかり守って 幸せにしてやれよな」
「お前に言われるまでもない」
大きな溜息を吐くジテ
 
これまで… 守ってくれてありがとな だが
「悪いが 是を以って私の妃を名前で呼ぶのは止めて貰おう」
「けっ」


その夜俺達は 久しぶりに一つのベッドに眠った
俺は右を向いてチェギョンを見つめているのに
「クンデ… シングン… イッチャナ… サシルン…」
チェギョンは仰向けのまま 俺の顔を見ずに宙に目を泳がせている
「なんだよ 言いにくい事なのか?」
「実はね 희망/ヒマンの事なんだけど…」
じれったくても口を挟まずに 続きを待ってみる
「아마 여자라고 말해진… 미안해/アマ ヨジャラゴマルヘッチン… ミアネ
女の子だろうって言われたの ごめんね?」
「ぅん?何故謝るんだ?俺は寧ろお前に良く似た女の子のほうが嬉しいが」
「え…いいの?だってお世継ぎが欲しいでしょう?」
「は?」
はぁ…またそれか…
やれやれ 気にするなといっても度台無理か
「おい まさかひとりしか産まないつもりなのか?」
「そんなわけ…ナイでしょ… 産んでいいんだったら…産むよ」
俺には叶わないとばかりにへの字口で渋々そう答えるチェギョン…
はは
俺はたまらなく嬉しくなってチェギョンを抱き寄せ 香りを吸い込む
 

「だけどね 実は ずっと前に… 双子の赤ちゃんの夢を見たの だから
もしかして双子なのかなって思ってたのに 一人なんだって なんでかな?」
双子だって?!それって…俺とジヌの事じゃ… なんでチェギョンがそんな夢を?!
「ずっと前って…いつ?」
 
 
今日もありがとうございますカムサハムニダ
 
チェギョンの夢は過去なのか未来なのか それとも…?
 
またなんか妙な誤解をしてるシンくんですが…
後悔させない決意は固いようなので チッキョボセヨ~
 

 
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