その4

 

■2023年11月23日_No.4

 

 

さて、色々とスッキリとしたところで

ここからのことを決める必要がある。

 

生まれて初めて陸の国境を目にするという

目的は達成された。

 

次にそれを越えて進むのか否か。。

 

 

 

とりあえずマックでカフェラテを飲みつつ検討。

小さめのサイズにしたはずだがデカい。

(結局腹を下す恐怖から半分くらい捨てた)

 

...Booking.comによれば壁の向こうのホテルは

結構空いている。

しかもアメリカのモーテルより

よほど立派なとこが5,000円~。

 

もし行くなら、と調べておいた、世界初

シーザーサラダ発祥のホテルも空いている。

 

...行っちまうか...?

国境からホテルまでは2キロほど。

 

歩きはたぶんナシだなぁ。

タクシーいるかなぁ。

そしてそのタクシーは大丈夫なのかなぁ。

 

外務省さんは行かないほうがいいって言ってる。

オレンジである。

まあ、さっきまではある意味不要不急どころか

きわめて緊急性のある状況だったが...。

 

10万人あたり殺人発生件数も

えらいことになっている。

 

ミーム化されてた時代のヨハネスブルグが

70~100なので、これはもう...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闖入

 

サンディエゴの宿はキャンセルした。

道行く人の感じを見て、露出度高いおねーさんだとか
子連れのお母さんだとかもいて、
この人らが五体満足で歩いてるなら

常在戦場の覚悟を持って臨めば

ギリギリ何とかなるだろと。

無謀なことは絶対やらないが、
自分としてできる最大限のことをやって
それでも死んだのであればそれはもう仕方がない。

 

さて。ゲートの先。

NO CAMERAの表示は見当たらなかったが、

よくわからん国で逮捕されるのも嫌なので

撮影は辞めておいた。

 

ゲートをくぐるとまず外国人とメキシコ人用の

レーンに分かれている。

結構な人通りがあったのだが、自分以外は

全員メキシコ人レーンへ。急に孤立感。

あー、みんな出稼ぎか用事かー。

第三国から物見遊山に来た人は混ざってないのね。

 

外国人用のレーンは強面のオフィサーが通路の

ど真ん中に立って待ち構えている。

(カウンターとかゲートじゃないのかよ...)

 

仁王立ちオフィサーにパスポートの提示を求められた。

 

「JAPAN?」

 

「YES」

 

「どこに行く?」

 

「ティフアナ市内だけ観光に。」

 

「いつ帰る?」

 

「明日には。」

 

パスポートを返され「行け」と

ハンドサインで入国許可。

 

ガバガバすぎる...。そんなんでいいのか。

 

何よりこれでは出入国記録自体が

どこにも存在していないことになる。

オフィシャル密入国...? いいのか...?

 

このままどこかにトンヅラしたら、

アメリカで消息不明になったことになりますね。

人一人世の中から消え去るのって簡単なんだなぁ。

 

その後は手荷物検査。

...順番逆じゃね?

 

カバンはスキャンされたが、ボディチェックは無し。

マトリックスみたいに服の下に

銃器ビッシリだったらどうすんだ。。

まあ、手荷物検査の列の脇で自動小銃構えた

兵士が警備してたので、ある意味安心か。

 

出口側ゲート。

ゲートから先は、生メヒコ。

 

アメリカとまた違いアジア系はほとんどおらず、

自分が若干浮いてる感じがする。

 

とにかく安全度?危険度?を計りかねるので

運よくゲート脇に止まっていたパトカーの前で

すぐさまタクシー物色。

国によっては警官が逆に危ないパターンもあるが、

この国はどうだろう。

まあ確率的にはよほど安全だろう。

タクシーはそこかしこにたくさん。

 

運賃の仕組みすらよく分からんが、

タクシー会社の車で営業しているタクシーなら

ボラれはしても脇道に入られて

射的の的とかどえらいトラブルはないだろう。

 

ひときわ多く同じカラーリングのタクシーが

列をなしていたので、大手ならよかろうと

その大丈夫そうなタクシーにそそくさと乗り込む。

 

ホテルシーザーズまでお願いしますんご。。

 

ちゃんと目的地に向かってくれるかきわめて不安で

GoogleMapsで監視してたが正しそうなルートを進んでいく。

 

中国車らしいセダンは結構快適。

 

宿まではたかが2kmなので数分でティフアナ市の中心部、

レボルシオン通りに入る。

 

パッと見、怖い感じはしないが

用心に越したことはないでしょう。

 

あっけなく無事ホテル前に到着。

タクシー料金は10ドルだった。

 

距離と物価水準を考えると

ボられている気はしないでもないが、

10ドルで首と手足が全部揃ってこの街で

目的地に着けたのだ。

感謝しようじゃないか。

 

今日泊まるホテル。

シーザーサラダ発祥の地、HOTEL CAESARS...

の向かいのHOTEL QUINTA

 

だって、値段がシーザーズと倍半分だったんだもの。。

基本ケチなのでサラダ食えれば部屋は

別に安いホテルでいいかなって...。

 

予約もきちんと通っていて無事にチェックイン。

 

悪くない部屋だ。

宿泊費7200円。アメリカのモーテルの半額。

電源プラグもアメリカと同じ(日本のが刺さる)

規格だった。

 

この、行った先で無事ホテルに入室したときの、

今晩の生存圏を無事確保できた感。結構好き。

 

事実上徹夜行動の消耗と朝食?の巨大ブリトーの

胃もたれで食欲はまるでなく、就寝といきたいが

ちょっと頑張ってシーザーサラダを齧ることにする。

 

なんせ中2日しかない旅行の1日目、

冷静に考えると移動しかしていない。

トイレ我慢以外のポジティブな思い出が欲しい。

 

シーザーサラダのお店は

道路を挟んで向かいのあちら。

 

さすがに道路渡るくらいの距離の外出はセーフだろ...。

明るいうちにね。

 

入店。テーブルに通して貰えた。

 

外国のレストランって一人客のことは

考慮されてないからこういう時にちょいと

不便を感じる。

気分の問題だけど。

 

 

おメニュー。

 

食欲ないがシーザーサラダはノルマだ。

ミニサイズの設定があるのでそれにした。

 

あと一品は迷ったが、

SOPA DE TORTILLAというのにした。

 

メキシカントルティーヤスープと

下に書いてあったので。

せっかくならご当地モノが食べたい。

するとメニュー名は英語でsoup of tortillaって

ことかいな。

 

非常~~~~~に紛らわしいのだが、

メキシコペソの通貨記号は$である。

ほんで、ティフアナ市は国境の街なので

米ドルが通用する。

 

ペソ持ってなくてもだいたい全部ドルで払える。

その価格はどっちだよっていう。

 

サラダ125$は米ドルなわけがなく、

むろんメキシコペソのこと(1mxn=8円程度)だ。

 

お通し(!?)

 

バゲットとパテ。

何というか世界中で食べたことのある、

安心感のある美味しさ。

 

そしてそれなりのランクのレストランだからか、

謎のオシャレキャンドル。

 

ガジガジつまみながら待っているとお待ちかね。

始原のシーザーサラダ。

 

 

草ー!!

草じゃねーか!!葉っぱ2枚!!

 

いや、これはミニサイズにしたから...

味見用にダウングレードされてるに違いない...。

 

Googleで調べてみたらそうでもなかった

フルサイズも草や...。

 

冷静に考えると、物は生み出されてからだんだんと

改良されてよくなっていくものだからね。

これはoriginal、始原のものが粗削りだろうと

致し方ないじゃないか。

 

肝心の味。

チーズがガツーンと効いてるのを

勝手に想像していたものの至ってマイルド。

むしろソースにナッツ感が強くて

香ばし系の旨味を感じる。

 

まあ普通に美味しい。

9000km遠出してまで来て

食べなくてはいいとは思うが。

 

 

スープ。

 

主役はトマトだと思うが結構な凝縮された

旨味というかダシ感がある。

野菜のほかには肉系の旨味も感じる。

 

何よりこのトルティーヤ、

出ているところはカリカリ、染みているところは

ジワっとしていて食感のアクセントがおもしろい。

これは帰国しても食べたい味だ。

少ししょっぱかったが予想外の味。

こういう想像もしていなかったものとの出会い。

大変結構。

 

 

食べ終わるともう真っ暗。

余計なお散歩は企てず、すたこらさっさと

道を渡ってホテルに戻る。

 

ちょっと誤算だったのが中心街すぎて

騒音がひどいこと。

 

ナイトクラブか何か知らんがドンツクドンツク

外まで大音量で音楽を垂れ流しており

深夜の変な時間に目が覚めてしまった。

疲れと時差ボケと騒音で眠りが浅い。

 

前情報だとメキシコとは対照的に

アメリカへの再入国の審査は数時間単位で

何百mも列で待たされるのが常らしい。

 

ティフアナを楽しもうにも

サンディエゴを楽しもうにも、

明日は早起きマストなのになーと思いながら、

無理やり二度寝した。

家を出てから24時間くらいか。

実に長い一日だった。

 

人口と統計から逆算するとこの国を出るまでに

近場で5人以上殺されるわけだが、

そのうち1人が自分でないことを切に願う。

 

 

その6