子供の頃、親に連れられ行ったデパートのおもちゃ売り場でワクワクしながら積まれたプラモを買ってもらっていた。子供だてらに情報はゼロじゃない。タミヤかバンダイの二択。いや、ほとんどがバンダイのガンプラだった。タミヤのスケールモデルは子供には難しく、親にねだるには値段も高価だ。次の情報は箱絵のみ。ガンダムすらろくに観ていなかった私はモビルスーツのデザインで一つをピックアップしようとする。何時間でも迷える。しかし買い物を済ませた親は待ってくれない。その中から見た事のない指が鞭みたいになっているこのロボットにしよう!(現、調べによるとアッグガイ)そんな時間がプラモ作りという趣味の中で一番楽しい時間だった。
時は流れて私も大人になった。プラモを買うとなるとネットや雑誌の情報を駆使し、新製品はもちろん現在も入手可能か、良い製品であるのか入念にチェックして買うようにしている。それどころかネットショッピングでポチッと・・。それはそれで便利で間違いないのだが、あのワクワク感はどこかに消えてしまった。しかし、そんなワクワク感が蘇る場所がある。中古ホビーショップだ。そんな中、町の中古ホビーショップにはここ数年の出戻りモデラーが知らない物が沢山ある。お気に入りの店が何件かあって、定期的に徘徊している。模型業界には申し訳ないけれどそんなワクワク感が得られるのはもはや中古ホビーショップしかないのだ。
長い前置きはこれ位にして某中古ホビーショップでゲットしたのがこれ。
DRAGONのⅣ号戦車J型。値段も二千円ちょとと最近のDRAGONと比べると中古という事を差し引いても超お買い得。しかも見た事のない網で作られたシュルツェンが印象的。しかしそこには大きな罠が仕掛けられていた・・。箱はテープ止めされていたので帰宅後、箱を開けてパーツチェック。すると中に何やら黒いナイロン製の網状の物が。戦車なのにこれで磨いてください的な物なのか?デカールは黄変し、使えなさそう。まぁ、これは仕方がない。家に余りのデカールは沢山あるから大丈夫。DRAGONお約束のエッチングパーツは三枚・・。ガッ!網シュルツェンのエッチングパーツがない・・。頭の中が交錯する。返品しようか・・しかし中古品を返品してくださいと言うのは大人の所作としてはいかがなものか・・。!頭に浮かんだ黒いナイロン網。説明書を慌てて開くと網の絵にシュルツェンの型が・・。これをハサミで切ってください・・と。しかもエッチングの枠は上下にしか付いておらず例え取り付けたとしてものれんのように捲れる事は私にだって分かる・・。どうやら私はDRAGON=エッチングパーツが付いている=網シュルツェンもエッチングに決まっている・・と思ったようです。そしてこのキットの蓋を閉め、部屋のオブジェと化してしまうのでした。
それから半年以上触れる事無く放置していたのだが新しいキットを買う度、あれを何とかしなければ・・と。飛行機を何機か作り、そろそろ本業の戦車と思った頃、このブログを始める事にしたので思い切って製作開始!
と思ったら第二の罠が・・。ネット情報によると最近のDRAGON、Cyber-hobbyのⅣ号戦車は良いよ。との力強い声に背中を押されたのが製作を始めるきっかけになったのも事実。ふと箱を見ると・・。
コピーライトが1994年・・。年を取るとたかが23年前なんて・・と思うが動きの速い模型業界。完全に新版の物ではなさそう。しかし、もうくじけない。ある程度割り切って製作します。
とはいえ、慎重派の私。風呂場に中性洗剤とジフを入れジャブジャブと洗い剥離剤を落とします。タミヤの物は洗いませんが、一応94年DRAGONですから。懸案のパーツの合いも悪くない模様。柔らかいプラスチックを使用している為、少々の隙間は流し込み接着剤を隙間に流し、セロハンテープでがっちり固定で十分。しかしここいらで旧版の甘さがでてきます。組みやすい反面、操縦士ののぞき窓が開いていなかったり、砲身の接着面が僅かな凸のみといった具合。のぞき窓はのちにリューターで穴を開け、砲身は真鍮線を仕込んで強度をアップ。
懸案だった網シュルツェン。手持ちの真鍮製の物と、ステンレス製の物で製作。規格はSM-30というやつ。実際、手を動かしてみるとあっという間に出来ました。説明書には1/1のスケール切り取りガイド図があります。履帯は連結式、説明書には枚数の記入がありません。Ⅳ号戦車のイメージとして上部がだらしなく弛んだ感じで。上に載ったペン差しは嫌になって完成とした訳ではありません。地面との接地面を平にしたかったので重石代わりに乗せて乾燥を待ちます。シュルツェンを取り付ける支柱はエッチング製なのですが既に歪んでいます。苦労はまだ続きそうな予感・・。
ここで一つ新しい試みを。AFVの醍醐味として錆塗装とウェザリングがあります。それを塗装に前にテクスチャーをつけてしまおうという方法です。私はいったん塗装、墨入れを済ませて行っていたのですが、例に習って挑戦です。解きパテにパステル粉を混ぜて転輪の奥に筆で叩きつけていきます。もう少しやっても良かったのですが、やり過ぎ注意はプラモ作りの合言葉です。
その後、伸ばしランナーで溶接跡を付けたり六角ボルトを足したりしてディティールアップを施します。そしていよいよ塗装。メタルプライマーをエアーブラシで吹き、今回は細かいディティールを潰さないよう、サフレスにします。二枚目の写真、嫌になって燃やした訳ではありません。シェードのつもりが黒を吹きすぎました。この後ライトグレーで修正し、基本色のダークイエローを影色を残しつつ吹いていきます。ダークイエローはクレオスのMr.カラーだと黄色すぎるのでサンディブラウン+ホワイトを6:4位で調色し、ダークイエローで調整しています。この時、後のウォッシングを考えてちょっと明るい。白っぽいかな?位が丁度いいです。ここからが私の一番好きな工程、ドイツ軍の三色迷彩。まずはガイヤカラーのオリーブグリーンに調色したダークイエローを数滴混ぜたものを次のレッドブラウンを想定しながら吹いていきます。この時に色鉛筆などでガイドラインを書いていく方もいらっしゃいますが私はその時の気分です。プラモデルは型抜きの製品です。同じものを作っては面白くありません。例に習いつつも世界にひとつだけの物を作るのがプラモの面白いところ。次にガイヤカラーのレッドブラウン+調色ダークイエローを数滴。ダークイエローを足すのは経年劣化でやや、色あせた感じにする為。この状態だと100均のおもちゃ戦車のようですが次の工程、ウォッシングで模型になっていきます。私はプラモログさんのブログを見て以来、油彩で行っています。当初は難しそうだなぁ・・と思ってましたが実際やってみると簡単、効果抜群です。筆先で油彩をチョンチョンと乗せていき、油彩の溶剤、ぺトロールで伸ばしていきます。この時、細い筆で雨だれを意識しつつ、上から下へを繰り返します。この時、同時に明暗を意識して天面は白やコバルトブルーを多めに。下面、陰になる所は黒、イエローオーカーを多めに。錆の部分はブライトレッドやバーントシェンナを多めにすると塗装表現のサポート的役割もしてくれます。
次にOVMを筆で塗り分けていきます。良くなってきました。その後、車体と同じように油彩でウォッシングしていく訳ですが、予備履帯や滑り止め付の部分など、錆が浮いてきそうな所は油彩が乾燥する前にパステル粉を筆で擦りこんでいきます。そして6Bの鉛筆でドライブラシのようにあたりをつけていくと鉄の地金が出てしまっている感じが出せます。しかし、仕上げの艶消しコートすると金属感は失われるので、最後にもう一度鉛筆でコリコリしてあげます。
やや、工程が前後しますが足回りの塗装です。私は今までなるべく履帯や転輪をバラした状態で塗装して、組み上げてウェザリングしていたのですが、雑誌やブログでは全部組み上げて塗装している方がいらっしゃいます。そんな事が出来る訳ねぇ・・とその方法を取っていたのですが、今回のⅣ号は実験的にやってみる事にしました。まず筆で転輪のゴムの部分に筆でジャーマングレーを塗ってみると・・案の定、筆が入りません。通常ならマスキングしてエアブラシで吹いていくのでしょうが、マスキングがあまり好きではない私。もっと楽な方法がないものかと思案。そこで思いついたのがエナメルをエアブラシで吹き、溶剤で拭き取る作戦です。普通、エナメルはエアブラシで使用しない物なのですが、これ以上の筆塗り、マスキングよりは楽そうなので実践!二枚目の写真が吹いた所。また焦げた様になってしまいましたが・・。エナメル溶剤+綿棒で拭き取ったところ・・いい感じに塗装出来ました。こんなやり方をしている方がいるかどうか分かりませんが。発見です。しかも転輪に墨入れまで出来ています。ここで一旦、ラッカークリアを吹いてエナメルをコート。油彩でウォッシング、パステルでウェザリング。履帯は間に紙を挟み込んでエアブラシ+筆塗りとやはり手間は掛かりましたが、初めての組み上げ塗装。今後はこのやり方でいこうと思います。
案の定、網シュルツェンが上手くはまりません。上部の物干し竿のようなパイプとフェンダーに付けられた金具とで固定するのですがそれぞれガタガタなので片面三枚のシュルツェンもガタガタになってしまいます。しかも金具の凸に網を差し込むのですが、SM-30の網の目では穴が小さすぎ、差し込めないのです(これは私のせい)ここはある程度強度が必要な部分。思い切って凸を切り飛ばし、なるべく平になるようヤスリで接地面を成形し、瞬間接着剤を多めに塗布して固定しました。それでは接着剤の部分が汚いので付属のエッチング製の表側の留め金にウェーブの六角ボルトを購入して貼り付けてごまかしてやりました。この後、シュルツェンと車体の間に紙を挿み、迷彩塗装、油彩ウォッシングと・・。AFVは行ったり来たりの繰り返しが最後まで続きます。
車体本体の最終段階、チッピング入れ。出戻った頃、筆でチマチマと描いていたのですが、ちぎったスポンジに塗料を塗って押し当てると良い。とネット情報で見つけて以来、この方法を取ってます。筆で描くとどうしても同じパターンになってしまいます。この方法ならば筆で描けない細い線も偶発的に描けていいのです。ただし、これもやり過ぎ注意。使った塗料はタミヤの水性アクリルのジャーマングレイ。私なりのコツは触れるか触れない程度、軽~くタッチしながらスポンジの角度を変えながら施していく。でしょうか。
さあ、最後にフィギュアを乗せて完成です。しかしここもAFV模型にとって大事なところ。私的には最もな所です。戦車好きな男性ならばまだしも興味のかけらもない女性は戦車のディテールなんか見てやくれません。そんな女性が見るのはフィギュアです。実際、新橋のタミヤプラモデルファクトリーに行った時、金子辰也さんら、プロモデラーの見事なジオラマがいくつか飾られていて私は全体を見てスゲーなぁ・・でしたがカップル連れの女性の方ががすご~い。お人形さんに目まで描いてるぅ~♡とおっしゃっていました。フィギュア自体の塗装はまだ試行錯誤中ですがフィギュアの配置には気を使わなけらばなりません。積みプラはしない方なのですがフィギュアだけは沢山積んでであります。キット付属の物から定番のタミヤ、DRAGON、高価なレジンキットまで・・使えそうな物はとりあえず買っておきます。それなのにどれもしっくりこないというか・・。それでまたフラフラと秋葉原界隈を練り歩くのです。写真の様にいけそうなもの仮組をし、何度も配置しなおしていきますが決まった!と思ったら戦車長が二人だったりベストな立ち位置にボルトのモールドがあったり・・。これを繰り返すと何となく自然な配置が決まります。フィギュアは人間。自然な佇まいが一番しっくり決まります。
で・・完成!
結局使ったのはDRAGONのTIGERACES(NORMANDY)と定番、タミヤのドイツ戦車兵小休止セットの戦車長です。戦車長はDRAGONのヘッドに交換し、戦車兵の方はヘッドホンのコードをミシン糸で追加工作。タミヤの小休止セットは今まで5個は買っています。名作キットです。しかし使う物は決まっていて使わないフィギュアは5体残っています・・。あっ!ジョージ・ブッシュのあいつだ!と、心当たりある方多いんじゃないんでしょうか。
で、完成です。
しかし網シュルツェンには苦労させられました。完成した物を見ても一番先頭の鉄板の部分と二枚目の網の部分のサイズが合っていません。分かってはいたものの転輪の奥の泥や錆のテクスチャーは見えません。でも手は抜けません。趣味だから。そもそも網のシュルツェンってどれほどの効果があったのか?軽量化は間違いないと思いますが本来、敵の砲撃を防ぐ為のもののはず。まぁ・・考えても仕方がない。どなたかの参考になればと製作記を書いたつもりですが20年程遅かった・・。
最後にあのお方から一言。
ダッ・・そうです。







































