インドネシアが辿った苦悩 インドネシアに行く菅総理へ その3 | エルサレムの響き3

エルサレムの響き3

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保守派ですが、愛国心の押し付けに反対するため、小説を書いています。
note 大川光夫 で検索してください。「 愛国者学園物語 」という題名です。

「人間の大地」の物語は、次の「すべての民族の子」に続く。

夫であるミンケから無理やり離されたアンネリースは、オランダに向かうことを強制される。

だが、そのショックで、彼女は若い人生に終止符を打つことになった。

衝撃を受けるママとミンケたち。

 

 

やがてママは、自分たちの民族がいかに苦難に直面しているか、別の人物の話でも実感する。

ママの親族で、美少女だったスラティは激変した。

その訳を問いただすママ。

 

スラティは、本人の意思に反して、某オランダ人有力者と強制的に結婚させられる=ニャイにさせられることが決まった。

それに悲観した彼女は、ある伝染病・天然痘で壊滅した村に出かけた。

そして、有力者に接するが、彼は病に倒れて死んだ。

だが、スラティもその病気にかかり、顔に痕が残ってしまったわけだ。

 

「すべての民族の子」はまだ続く、、、。

 

 

シリーズ第3作にあたる「足跡(そくせき)」は、最初の2作から時間が流れた時代を舞台にしている。

青年だったミンケは中年になり、中国人の妻と暮らしていたが、不幸にも死別する。だが、新聞を発行し、プリブミの

利益団体を作るなど、その歩みは止まらない。

また、ママはある男性と再婚して、ついに幸せをつかんだ。

 

「足跡」はそのような、多民族社会やナショナリズム、指導者たちの生き様を、ミンケを通して見る作品に思えた。

劇的な物語という点では、最初の2作には少し劣るかなと私は感じた。98年に翻訳刊行され、800ページ近い大作だ。

 

 

そして4作目の「ガラスの家」は2008年に刊行された。

これは、植民地の秘密警察高官が主人公で、彼がミンケを監視するという筋書きになる。

ジャーナリストとして、ナショナリズムに関わるミンケは、政府にとって要注意人物だからだ。

 

本に挟まれていた小冊子によれば、これは、プラムディヤが生きたスハルト大統領たちの長期政権への批判とも考えられるそうだ。(スハルト政権は30年以上続き、)秘密警察と「特別工作班長」が存在し、情報活動や政治工作に従事していた。これを書いたのは、白石隆・政策研究大学院大学副学長(当時)。

 

私は情報機関や警察の活動に関心があるので、この「ガラスの家」は読むべき本なのだが、2020年の今になっても、少しだけ読んだに過ぎない。

 

大東文化大学の関連WEBページによると、

このプラムディヤ選集を翻訳、刊行した押川典昭(1948〜)は、この四部作の仕事により、2008年、読売文学賞を受賞した。彼は同学の教授、かつ、国際関係学部長を務め、2018年1月末に「最終講義」を行なったことが、同学のウェブページにある(のちに名誉教授)。それにはプラムディヤの写真もあり、押川の今後の目標には、彼の評伝の刊行もあるそうだ。実に楽しみだ。