肥満細胞腫について その1 | 僧帽弁閉鎖不全症のわんこ。ときどき検査技師のわたし。

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ミニチュアシュナウザーのJerry leeは9歳10ヶ月で虹の橋を渡りました。
僧帽弁閉鎖不全症の手術を受けるため頑張ったジェリーの闘病記録。
そして、飼い主は人間の心エコーとかとっちゃう検査技師なのでちょっとしたうんちく並べてます。

肥満細胞腫。

これについて調べたことをまとめてみます



まず。
肥満細胞と腫にわかれます。

腫は腫瘍の腫ですが、病名的には良性でも悪性でも使います。
「腫瘍」とは周囲の組織と違う特徴(盛り上がってる硬くなってるなど)があるもののことです。
なので、おできやポリープやイボも腫瘍です


肥満細胞とは

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ベックマンコールターサイトからお借りしました

肥満細胞は造血幹細胞由来で免疫を司る遊走細胞です。


???


わけわかんないですよね。




造血幹細胞とは赤血球とか白血球とかリンパ球を作り出す血液産生工場にあるすべての血球の元になるもののことです




免疫とは、皆さんご存知。
病原体(細菌、ウイルス)などから身を守るための手段で、アレルゲンに対して反応することでも有名です。
(アレルギー反応)


外からの悪者だけではなく、自分の体の中で生じたガン細胞などをやっつけたりする奴(NK細胞)もいます。
体を守るための防御システムの総称ともいえますね





遊走細胞とは、その名の通り自ら動き別の場所に移動可能な細胞です


免疫細胞は細菌などの敵に対して迎撃に向かわなければならないので、この遊走と呼ばれるどこにでも行ける機能が付いています。





つまり。
肥満細胞腫とは

免疫細胞の一つである肥満細胞がある場所で単独で異常増殖し腫瘤化したもの。

ということになります。


実はこの病名、人間にはないんですよね〜
同じ細胞は人間にもあるのに。



この病名を聞いた時点では、頭に浮かんだのが悪性リンパ腫でした。
たぶん、病名から察するに同じような病態では?と思ったんですね。

血管内を流れている細胞ではなくて、組織にいる免疫細胞が増殖し腫瘤を形成する。
このパターンなのでは?と。


ただ、
この遊走細胞が異常増殖するというのは厄介です。

だって、動けるんですから。
悪性細胞が自ら移動し、別の場所に行くことも可能になる。
つまり、周囲への浸潤や遠隔転移がしやすいということ。



私の予想はあながち間違ってはいなかったようで。
肥満細胞腫は再発や転移が多いのが特徴でした。
見た目以上に病気が進んでいることがある、とは
まさに遊走細胞であるが故なのでしょうね。


あと。
肥満細胞は免疫細胞であり炎症反応やアレルギー反応に関係しています。


細胞は核と細胞質で構成されていますが、
肥満細胞はこの細胞質に多量の化学伝達物質(ヒスタミンなど)を抱え込んでいます。



ヒスタミン
花粉症の方はよくご存知のはず。
粘膜を腫らしたり、かゆみが出たり、辛い症状の原因となるものです。
もちろん、ヒスタミンがないと正常な免疫活動は出来ないので悪者というわけではありません。

ただ、
肥満細胞が増え、それが何らかの刺激に会い(力を加える、感染をおこすなど)ヒスタミンなどを大量放出する。
そのことで身体全体、または腫瘍付近に影響を及ぼします。

肥満細胞腫が突然腫れたり、数日後にはまた消えたかのように小さくなったりするのはこのためですね。
ひどくなるとショック状態を引き起こすこともあるそうです。



肥満細胞自体は体の免疫を司る、白血球たちと同じ親を持つ兄弟のような細胞です。
その細胞の異常増殖。
それが肥満細胞腫の正体のようです。



ちょっと、難しい話ですみません

免疫細胞であるが故に普通のガンと同じようには理解してはいけないんですね。

次回は、
肥満細胞腫の検査とかについて、
お話しできればと思います






今日のエヴィ
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普通の生活ができていますが、
まだ、お風呂は入れられないかなぁ

もう少し、落ち着いたらね!


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先ほど気がついた前足のバリカン。

そっか。
点滴入れるのに剃ったのね


どーにも、カッコがつかないエヴィです!