PAUL McCARTNEY  「OFF THE GROUND」       1993
 
 90年代初めのワールド・ツアー時の面子がよほど気に入ったのか、
その時のメンバーを中心にレコーディングされたようです。
それも極力オーヴァーダブを廃し、スタジオ・ライヴ的な録音です。
 
 
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 例によってどれもキャッチーでストレートなポールらしいサウンド、
その中でも異色なのはやっぱりコステロとの共作「Mistress And Maid」、
この3拍子のタイム感、好きですねぇ。
3拍子と言えばこれもコステロとの共作「The Lovers That Never Were」、
後半リズムが重くなり、コーラスとの掛け合いがカッコいい。
 
 もひとつ好きなのはマイナー調の「I Owe It All To You」で、
ハーモニーとドブロの音色がちょっと侘しさを感じさせ、なかなかええよ。
 
 でもやっぱりビートルズ時代からロックンロールよりも
どちらかって言うと「美メロ」にポールの魅力を感じてたワタシは
「Golden Earth Girl」のようなしっとり感が好きですねぇ
ジョージ・マーティンのオーケストレーションによる「C'mon People」の
スケール感も流石ですよね。
 
 
 今日、次男夫婦に男児が誕生しました。
無事出産を終え、みんな心から喜んでいます。
月末にでも長男一家を従え、見に行く予定です。
「今日は祝い酒だぁぁぁぁ!!!」
と、何かにつけて飲んでるワタシでした。(笑)
MILES DAVIS  「MILES IN THE SKY」       1968
 
 「黄金のクィンテット」を率いつつ、サウンドは少しずつエレクトリックへ...。
 
 
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 ロック・ビートだし、ハービーはエレピだし、
おまけにジョージ・ベンスンも1曲だけギターでお付き合い。
その「Paraphernalia」でのベンスンは特に特筆すべきものはありません。
マイルス初のギター導入がベンスンだったのは
後に起用するマクラフリンなどを考えると、ちょっと意外でしたが。
 
 ハービーのエレピ、ロンのエレベに呼応するようにトニーがロック・ビートを刻む
「Stuff」、マイルス&ショーターの延々と続くユニゾンがイカシてる。
その後のマイルスのソロは強烈だし、ショーターも冴えてる。
ジャジーな要素がだんだんと希薄になって行く中で
マイルスとショーターはしっかりジャズしてますよ。
対するロック・ビートを刻むリズム隊とのコントラストが産み出す
「古くて新しい」といった感覚はまさにこの時代ならでは、と言えるでしょう。
 
 もひとつ、「Country Son」のマイルスのハイノートと
叩きまくるトニー、過渡期の魅力がいっぱい詰まってて、
こりゃハンパじゃないっすよ!
 よく「無人島へ持って行くアルバム」とかっていう例えがありますが、
「電気も通ってない無人島で、どうやってレコード聴くんだよぉ!」的な
非現実的な発想ではなく、誰もがいづれ訪れる死期に際して
「棺おけに入れて欲しいアルバム」・・・これも棺おけと共に燃やされてしまう、
「あの世に持って行くアルバム」・・・持って行くというだけの満足感でしかなく、
実際、あの世で聴けるわけでなし。
それでは「葬儀で流して欲しいアルバム」とか
「死期が近づいた時に枕元で聴きたいアルバム」とか、
いろんなこじつけを考えますが、
ここは素直に「あの世へ持って行くアルバム」ということで...。(笑)
 
 なお、アルバム・タイトルの前の番号は好きな順番とか、優先順位とかは関係なく、
ランダムに載せて行きたいと思います。
 
 
SONNY CLARK  「COOL STRUTTIN'」       1958
 
 日本人好みのブルーズといえば、この「クースト」や「モーニン」などが
挙げられるでしょう。いろんなミュージシャンが取り上げてますが、
ワタシは下の写真の3枚が特にお気に入りです。
 
 
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① SONNY CLARK 「SONNY CLARK」     1958
 
 日本のジャズ・ファンに特に好かれているアルバムでしょう。
もちろん私も大好きです。
ソニーのシングル・トーンのピアノは判りやすいし、
5人のグルーヴがこのブルーズを完璧なものへと形作ってます。
ダウンビート誌では星2.5だったそうで、なぜか日本ですごく評価された作品です。
この時ソニーは弱冠26歳! 31歳で生涯を閉じたソニーは
我々ジャズ・ファンの記憶に永遠に残ることでしょう。
 
 ソニー・クラーク (p)
 アート・ファーマー (tp)
 ジャッキー・マクリーン (as)
 ポール・チェンバース (b)
 フィリー・ジョー・ジョーンズ (ds)

 
② BENNIE GREEN 「BENNIE GREEN」     1960
 
 「もう一つのクール・ストラッティン」と言われているアルバムです。
 ベニー・グリーンのリーダー作にソニー・クラークが参加したもので、
ここでの「クール・ストラッティン」は少しテンポが速めで、
トランペットがなくトロンボーンとテナーの2管であることにも注目です。
オリジナルよりも若干スマートに聴こえます。
華やかさは無いものの落ち着いた雰囲気のバンド・サウンドです。
もちろんソニーのシングル・トーンは健在です。
 
 ベニー・グリーン (tb)
 ソニー・クラーク (p)
 ジミー・フォレスト (ts)
 ジョージ・タッカー (b)
 アル・ドリアーズ (ds)
 ジョー・ゴーガス (conga)

 
③ ART FARMER & FRANK MORGAN 
「CENTRAL AVENUE REUNION」     1989 
 
 こちらはかつてLAのセントラル・アヴェニューのクラブで活躍していた連中の
40年ぶりの再会セッションでライヴ・レコーディングです。
「当事者」のアート・ファーマーが中心です。
 テーマのあと、ルー・レビーのピアノに続きファーマーのソロが始まります。
ミュート・プレイが冴えてます。
 
 アート・ファーマー (tp,flh)
 フランク・モーガン (as)
 ルー・レビー (p)
 エリック・フォン・エスン (b)
 アルバート・ヒース (ds)

 上記の3枚には「クースト」の他に「ブルー・マイナー」も
共通して取り上げられていますので、
興味のある方は是非聴き比べてみてください。
 
 
 さて、次回の「あの世へ持って行くアルバム」は
ジョン・ハイズマン率いるテンペストを予定しています。
さていつになるやら...(笑)

STEPHEN STILLS 
「MANASSAS PIECES」
1971-1973
 
 マナサスが残した作品は、2枚組(LP)の「MANASSAS」
「DOWN THE ROAD」の2種のみ。それらのアウト・テイクを集めたアルバム。
 
 
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 そもそもマナサスとは、スティルスの2ndソロをリリース後、
ツアー・メンバーに加え、フライング・ブリトゥ・ブラザーズのクリス・ヒルマンを
呼び寄せたことから始まります。ヒルマンが連れてきたアル・パーキンスも
ペダル・スティール・プレイヤーとして参加することになりました。
マナサス自体はR&B、ブルーズ、カントリーなど、スティルスのルーツを
総てさらけだしたユニットでした。
そんな彼らのアウト・テイクはバンドが10曲、ブルーグラスが4曲、
スティルスの弾き語りソロが1曲、という内容です。
厳密に言うと、アウトテイクと、音合わせの時のウォームアップ・チューンです。
 
 ジョー・ウォルシュのスライドとスティルスのワウ・ギターが絡み合う「Lies」、
ボニー・レイットのコーラスとアル・パーキンスのカントリー風味のペダルが
前面に出た好演です。
 
 ラテン・フレイヴァーのインスト「Tan Sola Y Triste」は歌詞を付け
マナサスの2ndに「Pensamiento」というタイトルで収録されてます。
ブルーズやR&B、ラテンといった曲は元々スティルスの得意とするところですが、
ブリトゥズのメンバーを従えたブルーグラス風の曲はまさに新境地と言えるでしょう。
(というか、クリス・ヒルマンが主導権を握ってるのですが)
特にバイロン・バーラインのフィドルとヒルマンのマンドリンをフィーチャーした
インストの「Panhandle Rag」を始めとする4曲のブルーグラスは聴きモノです。
 
 相も変わらず RHINOは いい仕事をしてくれてます。
奥田民生 「FAILBOX」     1997
 
 「失敗箱」→「ゴミ箱」?
 
 
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 NY録音で、ワディ・ワクテルやスティーヴ・ジョーダンらが参加してる...。
「Millen Box」のロックンロール感はスカッとしますね。
でも何と言っても「野ばら」が最高!
 
 たった6曲のミニ・アルバムだけど、
民生クンの世界が6通りの角度から覗え、
なかなか満腹感のある作品でした。
とてもゴミ箱に捨てれるようなアルバムではありませんよ
玉置浩二 「あこがれ」     1993
 
 このヒトの魅力はやっぱりバラードでしょうか。
そんな玉置クンのバラード集です。
 
 
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 弦を中心に、ピアノ、シンセなどで紡がれ、ドラムレスの構成。
ドラマティックなバラードではなく、優しく囁かれたバラードです。
自身のネガティヴな部分をさらけ出した曲が多く、
当時のプライベートな私生活を反映してるのでしょうか?
 
 「終わらない夏」~「アリア」~「コール」と続くあたりは、
恋愛感情なんかはもうとっくの昔の思い出になってしまったワタシにも
どこかじ~んとくるものがありますね。(笑)
RAIN TREE CROW  「RAIN TREE CROW」      1991
 
 1982年に解散したジャパンのメンバーによる再結成アルバム。
ただしジャパンとは名乗らず、RAIN TREE CROWというユニット名で発表。
メンバーはディヴィッド・シルヴィアン、スティヴ・ジャンセン、
ミック・カーン、リチャード・バルビエリの4人です。
 
 
 
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 ワタシにはジャパンというバンドすら馴染みが薄く(ヴィジュアル系だと思ってた)、
おまけにディヴィッド・シルヴィアンをディヴィッド・ヨハンセンと
混同してた始末...お粗末でした、トホホ...。
 
 ヴァージンやメンバーにはジャパン再結成だったけど、
ディヴィッドにはジャパンではなかった、ということ。
即興作曲という手法を用いて作られた本作、
実弟のスティーヴ・ジャンセンが仲裁に入ったものの
ディヴィッドvsメンバーの溝は深まるばかり、1枚のみで空中分裂。
 
 いっそのこと、インスト・アルバムにしちゃえばよかったのに、
と思っちゃうくらい。実際、アフリカン・ドラムぽいリズムなんか面白いのに。
安全地帯 「出逢い」     2002
 
 『あなたはまだ覚えていますか。あなたはもう出逢いましたか。』
 
 
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 2002年に復活した安全地帯、10年ぶりのシングルです。
収録曲は「出逢い」と「野蛮人でいい」そして「出逢い」のカラオケ・ヴァージョン。
 
 「出逢い」は、安全地帯というよりも、ソロ玉置のバラードですね。
これは玉置ファンにはたまりませんねぇ。女性は黙っちゃいませんよ。
対する「野蛮人でいい」はバンド・サウンドで、星勝氏のアレンジが光ります。
 
 幼少カップルのジャケもいいし、
「覚えていますか いまでもあの歌を」という郷愁を誘うような歌詞、
どうですか!!
GRATEFUL DEAD 
「WORKINGMAN'S DEAD」 
1970
 
 「サイケなデッド」というイメージを払拭したアルバム。
 
 
 
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 一説によれば、CS&Nのコーラス・ワークに惚れ込み、
自分たちもカントリー・テイストのアルバムを作ろう!と思ったとか。
結果的に、デッドのアルバムの中でも最も取っつき易い作品に仕上がりました。
 
 なんせ、1曲目の「Uncle John's Band」、アコギのイントロが聴こえた時にゃ、
ビックリ仰天!コーラスをフィーチャーした逸品でした。
カントリー・フレイヴァーの「High Time」「Dire Wolf」あたりは
本作の意図に沿ったものだし、
名曲「Casey Jones」や、緩めの「Black Peter」なんてのも最高!
 
 ワタシ的にはデッドのアルバムの中でも5指に入る作品です。
CARMEN MAKI
「CARMEN MAKI & SALAMANDRE」 
2003
 
 OZ解散後、LAFF、5X、MOSESなど、メンバーをとっかえひっかえ、
2001年に結成した新ユニット「サラマンドラ」。
 
 
 
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 70年代の「生OZ」を体験してる世代としては、あのドラマチックなサウンドを
期待しても叶わない、ということは重々承知のはずなのですが...。
 
 ベースとドラムスだけで唄い出す「Trick Star」、
途中から加わるエレクトリック・ヴァイオリンが印象的です。
すでに50歳を超えていますから、OZ時代の面影を望むべくもなく、
歳を重ねるに連れ、大人の雰囲気を醸し出すマキさん。
 
 スタンダードの「Over The Rainbow」なんかは、
途中まで「ワン・コード?」と思わせる展開。
鬼怒無月のリフもイカシてるし、ソロもハズシ・フレーズでカッコいい。