よく聞かれるのでお答えします・・・ | 山本安男 ~超速日誌~

山本安男 ~超速日誌~

音楽や日々の考え、体験などを綴ってゆければと思っております。

僕がたまにSNSにUPしている、レコーディング中の風景やデスクワークの合間に撮った写真を見られて

「レコーディングはアンプを鳴らしてるんですか?」

とか

「オーディオインターフェイスに直接アンプヘッドを繋げるんですか?」

という質問を結構受けます。







なのでお答えしましょう!


まず自宅レコーディングやヘッドフォンを使った練習時には、真空管アンプのMarshall JCM2000のヘッドを使用しています。





が、インターフェイスに直接繋いでいるわけではありません(とんでもないことになり兼ねないので・・・)



実はアンプヘッドとオーディオインターフェイスの間にあるものを介しています。



それは、キャビネットシミュレーター(スピーカーシミュレーター)という種類のデバイス” torpedo live”という製品です。







two notes というフランスのメーカーが作っており、日本ではそれほど知名度はないみたいなのですが、海外では多くのアーティストが重宝しているみたいです。

two notes公式ウェブサイト
http://www.two-notes.com/en/hardware/torpedo-live/

torpedo liveを使用したデモ
https://youtu.be/0nrpmUEku1s



昨今はAxeやKemperなどの超優秀なアンプシミュレーターがあるのでレコーディングに対する価値観も多様化しているかと思います。
しかし僕個人的には、せっかく使い慣れたMarshallの真空管アンプを持っているので、それを使ってレコーディング出来たらという想いが強い。

ただ、実際に実機のアンプ一式(プリアンプ、パワーアンプ、キャビネット)を使ってレコーディングするというのはとても大変です。


以前は、ギターアンプのボリュームを大きく出してキャビネットを鳴らし、それをマイクで拾って録音するという方法が一般的でした。そうしないと、僕らがCDやレコード、またはライブなどで聴いてきたあのサウンドにならないからです。

で、当然それを日本に住む我々の住宅環境でやるのはます無理・・・


100Wの真空管アンプを自宅でボリューム上げてぶっ放そうものなら、たちまち近隣住民の苦情の嵐に巻き込まれ、大家さんや不動産屋とのトラブルにも発展してしまいますね(汗)

ということは大きな音を出せる場所・・・レンタルスタジオやレコーディングスタジオでの作業となるわけです。


アンプ一式にギター、エフェクター、録音機材・・・
これらをスタジオに持ち込まねばなりません。
昔は僕もやってたんですけどね。録る機会が格段に多くなった現在、こんな大変な事毎回やりたくありません。

時間は限られているしコストも限られているんですよ。




でもね・・・でもやっぱり自分の本物のアンプを鳴らして納得いく音で録りたい!!っていう想いは強いんです。
それが出来ないと、フラストレーション溜まりまくりでもう嫌になってしまうんです。


そこで前述したキャビネットシミュレーターであるtorpedo liveが活躍するのです。



このデバイスは、僕らが実機のアンプでレコーディングする際に最大のネックとなる「キャビネットを鳴らす」「マイキングをする」という部分のみに全力を注いだもの。
手前に繋ぐエフェクターやヘッドアンプ(プリアンプ、パワーアンプ)は実機を使用し、最後の部分だけシミュレートしてくれるものなのです。


「な~んだ!結局シミュレーターじゃん!」と思う人もいると思うんだけど、いや~いやいや!舐めちゃいけないよ!

そこのみで勝負しているメーカーで(近々
プリアンプを出すとの情報もありますが)製品も決して安くはない価格のものなんです。

これでもしクソだったら誰も使わないし、そもそも僕がここで紹介しないです(僕の信用にかかわるんだから!)


みんなライン臭い音って好きじゃないと思うのね。少なくとも僕の周りに「ライン臭い音超好きですぅ!」って言ってる奴はいないです。
チリチリしていて細く、ピッキングの当たる音がカリカリピキピキうるさくて、なんだか平面的で奥行きに乏しくて、弾力がなくて・・・(上げればキリがない)


対して、このtorpedo liveを介しインターフェイスに接続して飛び出すサウンドは、とても立体的で弾力のあるリアルなサウンド!
「リアル」って言い方もアレかな?だってメインのヘッドアンプは本物使ってんですから(笑)

奥行きもあって、演奏によるニュアンスもそのまんま出してくれる感じです。

キャビネットにマイクを立てて理想的な環境で集音したサウンドがデスクの上で作れちゃう。

2年ほど前にこれを手に入れて以来、とにかくレコーディングが楽しくて仕方ありません。
ヘッドフォンを使えば、部屋の鳴りの影響を受けずアンプの機械的挙動がより鮮明に分かるし、エフェクターの各ツマミの効き方だってすごく分かりやすい。

とにかく優れたデバイスで使い道はアイディア次第でたくさん生みだすことが出来ると思います。



使い方は簡単。ヘッドアンプのスピーカーアウト(8Ω)からtorpedo liveのインプットに挿し、torpedo liveのアウトプットからオーディオインターフェイスのインプットに接続すればOK。

各機材インプットレベルやアウトプットレベルを調整し、torpedo live内の多数のキャビネットから好きなキャビネットを選んで、好きなマイクを選べば良い。

それからマイクとスピーカーの位置を調整し、必要ならばEQでサウンドメイクを行う。

それだけです。



加えて、僕はあまり使う機会がないのですが、プリアンプのみ実機を使用しパワーアンプ以降はシミュレーターで行きたいというシチュエーションのために、パワーアンプシミュレーターも用意されています。
色んなパワー管を選べ、またサチュレーションの度合い(パワードライブ)も設定出来ます。



torpedo liveの細かい設定がやりたければ、本体とPCをUSBケーブルで接続すればデスクトップ上でtorpedo liveを調整するソフトを使用することが出来るので、本体の小さなディスプレイで作業せずにすまみす。



対応は確か100Wのアンプまでだったと思います。その辺りの仕様や詳細は製品を扱うウェブサイトで一度確認されたら良いと思います。


http://www.electroharmonix.co.jp/twonotes/torpedolive.html

two notesは同様のシリーズが他にもいくつかあり、100W以上のアンプを扱えるものやPC内にインストールしてソフトとして使えるもの、またペダルエフェクターから直接挿さちゃうものなどが揃っています。

他の製品はよく知らないけど、いつかは試してみたいなと思ってます。


キャビネット・シミュレーター、現代ギターレコーディングの選択肢の一つとして頭に置いておくと良いでしょう!