Ovaltone  "MERKAVA "レポートPart 2! | 山本安男 ~超速日誌~

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前回のブログにUPいたしました、Ovaltoneの最新ブースター “MERKAVA” についてのレポートPART1、ご覧になってくれたでしょうか?





まだの方はぜひこちらからご覧下さい。
       ↓↓↓
Part1 Ovaltone 理想的な最強のブースター! "MERKAVA "



さて、前回は主に【GAIN】【LEVEL】【TONE】という3つのツマミの機能、効果、働き方などについて解説しました。

たった3つのツマミでも、その存在意義や挙動をしっかり理解しようとすればあれだけの情報量になるわけです。
無駄な機能など一つもなく、極限まで洗練されたペダルです。

そんなゲインコントロールのプロフェッショナル MERKAVA” ですが、今回はまだ解説していない【MODE】【EDGE】のうち、【MODE】のみに焦点を当ててお伝えしたいと思います。





この【MODE】という3点スイッチは、サウンドの全体的な歪み方を選べる機能をもっています。
OvaltoneのウェブサイトやMERKAVAの取り扱い説明書にも書いてあるとおり

スイッチを【左】に倒せば 「ヘッドルームが高く、倍音を強調したブーストが可能」
スイッチを【中央】では 「ヘッドルームが高く、より芯のある太いブーストが可能」
スイッチを【右】に倒せば 「ヘッドルームは低く、潰れた感じのブーストが可能」

といった働きを見せてくれます。
もっとシンプルで直感的な言葉に例えると

スイッチ【左】 芯がない
スイッチ【中央】 芯がある
スイッチ【右】 潰れる


といった具合です。

ではそれぞれについて説明いたします。



スイッチ【中央】



これはギターサウンドの “芯がある” または “芯を残す ” といった働きをするポジションで、【MODE】内では最もノーマルな存在です。

“芯”とは、ギターを弾いたとき・・特にピッキングした時に現れる「ゴツッ!」あるいは「コツッ!」「カツッ!」とした硬さのある音の部分です。
弾き応え」「弾いた音の実像感」と言い表すことも出来ます。
例えば極端に芯のないギターサウンドは、バンドアンサンブルの中でも音が抜けてこず存在感も薄くなってしまいます。

通常、ギターサウンドは歪ませれば歪ませるほど音の芯が柔らかくなってゆく傾向にあります (もちろんアンプのモデルなどによっては、芯を強く残す傾向にある製品もあります)。

”芯が柔らかくなる”という事は別に悪い事でもなんでもなく、適した柔らかさであればとてもスムーズで柔軟なサウンドを作ることが出来ます。
ただあまりにも柔らか過ぎると、先述したように存在感の薄いサウンドになってしまうのでご注意を。

このMERKAVA「すでに歪んだアンプサウンドをさらに歪ませる」ということを目的としたブースターなので、MERKAVAを使用していないアンプのみの歪みの段階で、すでに、ある程度芯が柔らかくなっているんですね。

なので、もし使用者が
「アンプのみで作った歪みの段階で、音の芯の感触はすでに丁度良い」
とか
「ここからさらにMERKAVAで歪ませたいが、これ以上柔らかくはしたくない」
と感じた場合に、この “スイッチ【中央】芯がある ” を選べば、ナチュラルに音の芯を保ってくれる働きをしてくれます。

この機能は特に【GAIN】と連動し絡み合っているようなので、【GAIN】の持つ“歪みと同時に太さを与える働き”と、このスイッチ【中央】“芯を保つ働き”を上手く組み合わせれば、芯の足りないサウンドを多少なりとも補うことは出来るかもしれません。

なんにせよ、このポジションの機能イメージは「ナチュラルにサウンドの芯を保つ」ということです。
MERKAVAを使い始める場合は、まずこのポジションからスタートする事をおすすめします。




スイッチ【左】



このポジションの方向性をわかり易く表記するために “芯がない” という極端な表現がなされていますが、本当に芯がゼロになってしまったブヨブヨの音になるわけではありません。

飽くまでサウンドの基本的な芯は残し、その上で倍音を強調して、柔らかさや弾力のあるサウンドに仕上がるようになっています。

この「倍音」という音の成分。
これをキチンとした言葉で物理的に説明するのは僕には不可能なので、飽くまでもギタリストの感覚として浮かぶ言葉で表現します。

それは例えば、音色、音の色気、豊かさ、キャラクター、色彩感、華やかさ、艶やかさ・・・などと表現出来るかも知れません。
倍音豊かな音と、そうでない音を実際に聴き比べてみれば、あるいは弾き比べてみればすぐに分かるでしょう。

バイオリンの豊かなで包み込むような音色と、時刻をお知らせする時報のとてもシンプルな音色を思い出してもらえると分かりやすいかもしれません。

当然、倍音が豊富に含まれているのはバイオリンの方です。

注意したいのは、倍音が多いから良い、悪いという考え方をしない事です。
倍音の少ないシンプルなサウンドが必要なシチュエーションだって多いにありますしね。

そんな倍音ですが、ギターにも特有の倍音成分が含まれています。
そしてそれは歪ませるごとに、独特な形で増加する傾向にあります。
倍音増加のされ方はアンプやエフェクターの機種によって色々と個性があるようです。

または演奏者のピッキングの仕方、フィンガリングの仕方、ギターのボディをどのように身体に当て、ギターのネックをどのように握るか、またギターを弾く人間の質量、筋肉は緩んでいるか緊張しているか、etc・・・
とにかくありとあらゆる要素で、倍音(それ以外の成分ももちろん)は変化してゆきます。


すみません、ちょっと脱線してしまいました(汗)


というわけでその倍音成分を強調したスイッチ【左】ポジションを選択してブーストした場合、「クワッ!」と食らいつくようなサウンドに変化します。

いわゆる“ バイティングサウンド ” です。 聴く方の価値観にもよりますが、ロックな音楽の上では、「とにかくカッチョいい音!!」なのです。

音の真ん中にドンと構える芯よりも、その周りをゴージャスに彩っている倍音成分を強調したサウンドなので、弾力があり食いつきが良く、派手で華やかなサウンドメイキングが可能です。

土台である芯を適度に柔らかく表現し、倍音成分を強調して華やかで色彩感のあるカッチョいいギターサウンドに仕上げる・・・

これがスイッチ【左】ポジションの働き・効果です。

とくにギターソロを弾く時、僕はこのポジションが大好きです!(笑)




スイッチ【右】



これは歪んだギターサウンドを“潰れた感じ” に演出するポジションです。

ここでまず、この記事の序盤にも登場した “ヘッドルーム ” というものについて説明します。

スイッチ【左】スイッチ【中央】は、ヘッドルームが高いと書きました。
それに対して、スイッチ【右】ヘッドルームが低い。

このヘッドルームというのは、あるもの(ある機器)がその性能の限界に達するまでの余裕という意味です。
ヘッドルーム・マージンと呼ぶこともあります。

ギターアンプの歪みというのは、本来クリーンであるはずのギターから出力された音が、アンプのボリュームを上げ過ぎた際にクリーンさを保つ性能(パワーアンプの性能)を超え、音が潰れ始めたものなのです。

それが大変クールなサウンドだったため積極的に使われるようになり、より効率的に歪みを生み出すための手法や、サウンドそのものの研究がなされ、音楽の中で活かされ使われながら発展してきました。
つまりこのMERKAVAも、音楽的な歪みをより効率的に得るための優れた機器です。


先述した【左】【中央】のポジションのヘッドルームが高いのは、もともとすでに歪んでいるアンプの音をこれ以上極端に潰したりはせず、原音の解像度を保つためです。


しかし、さらに潰れて少々グシャッとなった、圧縮感の強いカオスなサウンドもギターサウンドの魅力の一つ。

スイッチ【右】はあえてヘッドルームを低く設定し、歪んだギターサウンドを程よく圧縮させて、ちょっとだけファズっぽいニュアンスを得られるように働きます。

このポジションの効き具合は、一度アンプをクリーントーンにして確認してみると良いでしょう。
グスグスとダークに少しだけ歪んだ音になると思います。 これを歪んだ音に注ぎ込めば、潰れて混沌とした感のあるサウンドメイキングが可能になるわけです。

まあもちろん、そんな極端にぶっ潰れはしませんよ?
飽くまでも原音の質感は残された音楽的な潰れ方であり、コンプレッションが強めのドライブサウンドといった感じです。

もし極端に潰れたサウンドが欲しい時は、迷わずファズ専用機を使いましょう!(笑)





いや~、【MODE】の説明だけでとても長くなっちゃいましたねえ。

これを読まれている方々も、ちょっと疲れちゃいましたか?

少し休憩を入れましょう。

この記事に続くPart3で、【EDGE】について触れていくと共に、トータル的な使い方のアイディアなども提示出来ればと思っています。