超高解像度イヤフォン 『 ER-4S 』 | 山本安男 ~超速日誌~

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3月あたまに手に入れた、Etymotic Research社の高性能イヤフォンER-4S

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購入以来、かなりの頻度で様々なシチュエーションで使用しました。

外出時やオーディオルーム以外での視聴、レコーディングやミックスダウン、楽曲のコピー等・・・

一ヶ月近くみっちり使い込んでみて、今思う率直な感想は

ER-4Sありがとう!お前は凄すぎる!!!

ですな(笑)いや、マジで。

解像度がハンパないですよ、これ。

その辺のイヤフォンで聴いていると、楽曲に浸りたいのに特定の楽器の抜けが悪く聴こえにくかったり、メインヴォーカルが低音のモワモワ音に包まれてしまいクリアに聴こえなかったり。

その時点で、それらの音を楽曲の中で探し始めてしまい、楽曲そのものに浸るどころではなくなります。
しまいにゃ、楽しみながら聴くべき音楽を、いつの間にかストレスを感じながらイライラして聴いちゃうんです。

しかしこのER-4Sは、そんなストレスやイライラを一気に取り去ってくれました!
それどころか、今まで楽曲の中に埋もれて気付かなかった楽器の音やシンガーの息づかい、リヴァーブの余韻の最後の最後の最後まで聴こえてきます。
十数年聴き飽きるぐらい聴いてきた楽曲に新たな発見もありました。

とにかく音楽を聴く楽しみが10段階ぐらい上がりましたね(笑)
ER-4Sで色んな音楽を聴いては、それぞれの楽曲の魅力に感動する日々を送っています。

例えば、Norah Jonesの「Cold Cold Heart」。
まるで今ここで本人が歌ってるみたい! いや、というより頭の中にNorah自身がいて、そこであの歌声を聴かせてくれる感覚。本当に鮮度が高く生き生きとしています。
出だしから鳴っているウッドベースは、今まで聴き取れずスルーしていたゴーストノートが、実はたくさん入ってました。
ずっと同じパターンではなく、ゴーストが入ったり入らなかったり、入り方が違ったり。
意識して聴いているわけではなく、自然に聴こえてくるんです。


他には、Sarh Brightman。この人の楽曲はストリングスが盛大に鳴っていることが多く、これまでは時に聴き辛さを感じる場合もありました。
しかしER-4Sで聴くと、盛大に鳴っているストリングスの分離が素晴らしく、ダマにならず高域も低域もしっかり認識できます。と同時にきっちり一体感もある。

特にLIVEアルバムが素晴らしく、デカイ会場の反響に埋もれることなく楽曲が聴こえ、一方でLIVEとしての臨場感やウェット感もバッチリ伝わります。
もともと心を動かされるような楽曲達が、さらに自分の身体にしみ込んでくる感じす。


もちろんヘヴィでハードな音楽を聴くのにも最高!
Nickelbackのような非常に重心の低いサウンドが要の楽曲でも、その強調されている低音をしっかり捉え、ハッキリとした輪郭で聴かせてくれます。
「ER-4Sは低音が足りない」という意見もしばしば見かけますが、僕はまったくそう感じません。

非常に引き締まった密度の高い低音を聴かせてくれますよ。
2音下げチューニングによるギターやベースの低~い音も、しっかり音程を捉えることが出来ます。

確かにゴワーッと広がるような低音ではありませんが、僕にはそれは音源から生まれた低音とは思えません。
過去に「車にウーファーつけたんだ。ほら、凄くカッチョいい低音だろ?」と知人に自慢されたことがあるのですが、全く良い音だと思いませんでしたね。

モワモワ&ボワボワ低音ばっかりで何も聴こえないじゃん!!どこ聴いてカッコイイって言ってんだ!?
・・・って感じです(笑)
低音がデカけりゃイイ!・・・そんなわけがない。

まあ好みの問題もありますが、あきらかに作為的な低音が嫌いな自分にとって、ER-4Sの自然だがしっかり芯があって、それがどこにあるかを教えてくれるような低音がとても心地よいです。

Jimi HendrixのAll Along The Watchtowerを聴いた時もまた素晴らしい。
この曲、ドラムが左右に振りきられていてセンターがスッキリしているんですよね。
中間のギターソロでは左右にパンが振られながらサイケデリックな風合いをかもし出しているのですが、それがまたハッキリ分かって面白いのなんの!!


これを使い始めてもうすぐ一ヶ月ですが、このER-4S、耳を成長させてくれるイヤフォンだと感じました。
このイヤフォンでたかだか一ヶ月聴いただけで(と言っても、普通の人より高い集中力でのめり込んで聴いてたと思いますが)、各楽器の美味しい帯域や「どういうサウンドであればカッコよく美しいのか?」というのを理解する感覚が、以前よりも洗練されたと思います。

以前レコーディングした曲で、楽器数も多くミックスに手こずり放置していたものがあるのですが、それに一ヶ月ぶりに向き合ってみて、明らかに自分の音・音楽の捉え方が変化しているのに気付きました。
そりゃもう嬉しかった!!(笑)

どこを削ればよいのか、どうやって楽器の譲り合いをすればよいのか、何にどのエフェクトをかければイメージに近づけるのかが、以前より自然に分かるようになりました。

もちろんまだまだなんですが、ミックスに関して自分の中で越えられなかったひとつの壁を、ついに乗り越えたという感じです。

いや~面白いなぁ、こういうの。
もっとどんどんこいつで色んな音楽を聴いて、楽しみながら自分の音楽的な成長を目指したい。

というわけで、このER-4Sというイヤフォン、超オススメです!

まぁね、値段が20000円前後と、けっして安い買い物ではないわけですが、使ってみれば元を取ってなおあり余るだけの恩恵にあやかれると思います(^^)

ひとつ注意点として、このER-4Sは高解像度・低ノイズを目指したためにインピーダンスが100Ωと中々高い数値になっております。
なので、よくあるイヤフォンなどに比べると音量が小さい。
小さいと言っても、特に問題になる小ささではないと個人的に思います。

僕はiPhoneで使用することが多いですが、十分に音量は取れますよ。
これ以上の音量だと確実に耳を痛めるかと・・・

しかし、もしかしたら機器によっては音量不足なものもあるかも知れません。
そういう場合は、ポータブルアンプ(以下ポタアン)を同時に使用することをオススメします。

僕も近々ポタアンを購入しようと考えてます。
音量を稼ぐためではなく、iPhoneのDockからよりピュアな音声データを取り出して聴くためです。
いまはiPhoneの内蔵アンプを通ってますからね。
それでも十分に良いサウンドではありますが、以前Dockからポタアン経由でのサウンドを店頭で試聴したとこえろ、明らかにまた一段階上の音に変化したので。


いつでもどこでも音楽を聴ける時代・・・
それだけでも感謝するべきことですが、せっかくなら良い音で聴いて、もっともっと音楽を大好きになりましょ~!