こんなしんちゃん、
見たことない。
しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司
シリーズ初となる3DCGアニメーションによる映画作品です
かつて、ノストラダムスの隣町に住んでいたヌスットラダマスが「20と23が並ぶ年に天から2つの光が降り、世界に混乱がもたらされる」という予言を残しました。
そして西暦2023年の夏、宇宙から白と黒の2つの光が地球に降り注ぎ、しんのすけに白い光が命中。
不思議なパワーがみなぎるしんのすけは、エスパーとして覚醒します。
さらに、もう一方の黒い光を浴びた男・非理谷充もまた、エスパーとなりました。
非理谷は、バイトは上手くいかず、推しのアイドルは結婚し、さらには暴行犯に間違われ警察に追われていまいます。
ティッシュ配りのバイト中にぶつかったサラリーマンからひどい悪態をつかれてしまうのですが、30歳になってバイト生活を続ける非理谷に対する明らかな侮辱も含まれていて、見ていてとても辛かったです。
非理谷は力を手に入れたことで今まで自分をバカにしてきた世の中に対して復讐を企てるんですね。
その過程で、しんのすけが通う幼稚園でよしなが先生や風間くんたちを人質に立てこもりを行い、テレビの中継で知ったしんのすけが助けに行きます。
そこから非理谷としんのすけの超能力バトルが繰り広げられるという内容です。
初の3D作品ということでしたがクオリティが高くて全く違和感ありませんでした。
今作はカンタムロボが出てきて壮大なバトルが繰り広げられるので、3Dによってキャラクターに立体感が出て迫力がありました。
そして、壮大なバトルだけで終わらないのが、クレヨンしんちゃんの映画シリーズです!
非理谷の生い立ちは一人っ子で両親が共働きなので、物心ついた時から夕飯は一人でレンジでチンをして食べるのが日常でした。
一人っ子だと兄弟がいないから話す相手もいないし、会話もない空間で一人寂しく遅くに帰ってくる両親をひたすら待つという孤独感が凄く良く伝わってきました。
僕自身、同じような環境で育ったのでなんだかグサッとくるものがあって一気に非理谷に感情移入してしまって。
たまたま非理谷は友達ができずに孤独のまま成長してしまって、自分をなかなか出せない性格になってしまって定職にもつけないのでしょう。
そんな彼にはいろいろ不満や不安を抱いてきたはずで、そういう負の感情が今回のように暴走してしまったのだと思うと他人事じゃないなと感じます。
セリフにもありました。
この国の未来はお先真っ暗だと。
社会保険制度の崩壊、少子高齢化、エネルギー資源などなど抱える問題は山積みで、そのツケは僕たちの子供や孫世代が背負っていくことになる。
ホントね、その通りなんですよね。
そんな希望が見えないこの国でどうやって生きて行けばいいのか。
そこに絶望を感じ自暴自棄になる人もいるでしょう。
すっごく言葉が刺さりました今回も。
でも、ヒロシはいうのです。
「がんばれ」って。
そして「そのがんばりは人のためにするんだ、そうすればみんなが幸せになれる」って。
しんちゃんも非理谷のために自分よりも体の大きな中学生かな?男の子たちに勇敢に立ち向かいました。
「充くんはオラの仲間だ、仲間をいじめるな」って。
しんちゃんはいつだってそうだけど、大人がなかなかできないことを平然とやってのける。それが凄いんですよね。
ヒロシの「がんばれ」って言葉も頑張ってる人に「がんばれ」って言うのは酷だということをよく耳にします。
確かにその通りなんだけれど、エールを送る意味での「頑張れ」ってやっぱりグッとくるよなぁってそう思えました。
非理谷だって性根は優しくていいやつなんです。
それが伝わったからこそ、しんちゃんと非理谷のやりとりには感動して泣けました。
※2023.8月 イオンシネマ大宮