ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

フィレンツェと言えば。ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナであろう。
ただし、日本で現地と同じように焼いてくれるお店はほとんどない。



新宿トラットリア・イル・レオーネでは、そのビステッカを提供してくれるという。



日本で美味しいビステッカを食べさせてくれたのは、トゥリオの猪狩シェフくらいだろうか。

焼き方だけでなく国産和牛の赤身の肉にもこだわってくれる。

それならば1kg以上のビステッカだけで軽く30,000円近くはするのは当然となる。

このお店はコース料理でビステッカを含めたコースで1人9,000円とのことだったので、トゥリオと比べると焼き方の技術云々の前にたぶん肉質が違うのだろうなあと覚悟はしていた。



店内に入って2階のテーブル席に通される。

私に対しては特に問題のあるサービスはあまりなかったが、他の客にはやや物言いに気遣いの足りないところがあった。

悪気は無くこの店のカメリエーレの性格なんだろう。

最初に前菜の盛り合わせとスプマンテが出された。

これはコースについているのだ。

前菜のラインナップは真新しかったり、地方料理にこだわったりしたものはなかったが、葉っぱもの以外は概して美味しかった。



スプマンテは確かにコースについているサービスなのだが、まだ口をつけていないこの量はいかがなものだろう。

スプマンテをお代わりしたらこれが出てくるのではないかと思うとスプマンテは別注文で頼めなかったのである。



フォカッチャはオリーブオイルをつけて食べる。

トスカーナでは、トスカーナ地方で作られた相当いいオリーブオイルをつけて食べさせるが、日本ではそういうわけにもいかないのだろう。

飲み物のお代わりは聞いてきたが、パンがなくなってもパンのお代わりについては一度も尋ねられなかったのだ。

後で確かめたら、イタリアならチップ代わりに請求されるのはわかるが、この店では日本なのにコースを頼んでもパン代として1人500円のコペルトを取っていたのだった。

アラカルトならわかるが、コースでパン代を別に取るのは日本では珍しいし、違和感はある。



数口でなくなってしまうスプマンテの後は、バラディンを同時に2種類注文した。

赤ワインをグラスで頼もうとしたのだが、私がトスカーナで好きなカイアロッサのペルゴライアの話をしたら置いてないし、そういう高級なワイン、もっというとトスカーナのものはグラスワインには当然ありませんと言われた。

これで完全にワインを飲む気がなくなった。

エトゥルスキならワインペアリングで平気でペルゴライアは開けてくれるし、ペルゴライアは知る人ぞ知るいい造り手の赤ワインだが決してスーパー高級ワインではない。

ワインについてカメリエーレの知識とサービス方針がよく分かった。



さて、ビステッカが焼き上がった。

薪火でしっかり焼いてあった。

焼き方や味つけはいい。



ただやはり肉が予想通りアンガス牛と思われる肉で一部筋があって飛び切り新鮮でないホルモンのように噛みきれない部分があった。

これが普通のビステッカの肉質というのなら猪狩シェフのを食べてみればいい。



焼き野菜は普通に美味しい。



ビステッカの後は、パスタが出る。

それもオイルソースのペペロンチーノかトマトソースのポモドーロかのどちらかが選べるだけだ。

量は希望の量を注文できる。

できあがったパスタは熱々で昔のカピトリーノのようでその部分は好感が持てた。

トマトソースが自慢のようだったが、個人的には普通だと思う。



どちらかと言うとペペロンチーノの方が私の好みか。



後で知ったが、コースはここまでしか含まれていなかった。

はっきりと説明がなされず、ドルチェは食べられますかと聞いてきたのでお腹の空き具合はどうかという意味だと思いお願いしますと答えたのだが、ドルチェは1人1,500円の別料金となっていたのである。



ドルチェは、スモモのジェラートとティラミスだった。コーヒーも含まれていたようだが、1,500円である。



マキアートはできますかと尋ねたら、別料金となりますと言われたので、益々システムがわからない。



料理の味は悪くなかったのだが、何かモヤモヤした気分になったのだ。

こういう体験をすると青山のエトゥルスキや須田さんのサービスが恋しくなる。