とり市老舗直営直會撰の塚原筍の若竹煮と筍ご飯 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

昼食をとろうとブラブラ寺町通りを歩いていたら、秋は松茸や丹波栗、冬はすぐき漬け、春は筍と、季節ごとに最上等品の野菜類を売るとり市老舗の前で足が止まった。
京都の筍、それも塚原の最高レベルの朝堀りのものしかとり市老舗では売っていない。
竹籠に入れられて数万円で恭しく筍が陳列されていた。
買って今すぐ食べたいが今回は調理システムのついていないホテルなので、茹でて食べることはできない。


仕方ないかと思って道を挟んで振り向くととり市直営の直會撰というお店があった。
ここで確か以前筍ご飯のおにぎりを買ったことがある。



そのおにぎりでも買って帰ろうかと思ってよく見たら…
何とここで食事ができるということがわかった。


恐る恐る店の方に声をかけ、店の中に入ってみると中は立派な日本料理店になっているではないか。


広い店内の中は、私一人だったが、カウンター席に座り、まずはお酒をいただく。
常きげんがあったのでそれをお願いした。


そして、お店の方に相談し、筍の若竹煮と筍ご飯セットを注文する。


立派な器の蓋を開けると


塚原の朝堀りの最上等の筍が素晴らしい出汁とともに炊かれていた。
栗のような食感と香りがたまらない。
こういうのを食べたかったのだ。


つけ合わせの副菜の中にも立派な塚原の筍が使われている。
漬物も極めて美味しい。
よく考えたらとり市は野菜専門店なので漬物も販売していたのだ。
その漬物の中で凄いものを見つけた。
昆布や山椒と一緒に筍が煮てあるのだ。
昆布も出がらしではなく生のものを煮ているので美味しいのだが、それと一緒に炊かれた筍はえもいわれぬ美味しさである。
こういう昆布の炊き方は、私が知っている限り京都のある名人の作る昆布山椒煮とほぼ同じである。
この味わいは出汁をとっていない最上等の昆布と最上等の醤油や山椒とともに炊かないと絶対にこういう味にはならない。
料亭レベルの店でもたまに出汁をとった後の昆布を使って昆布煮を出す店があるが本物を知らないのであろう。
京都の名人が作る昆布山椒煮は限定品で一般市場には出回らないが、とり市の昆布山椒煮は一般的に販売しているようである。


赤出汁の塩梅もまさに京都人好みで素晴らしい。


そして、最後に出された筍ご飯がまた感動的だった。
塚原の筍がゴロゴロと入っていて、まさに炊き立てだった。
こんなに美味しい筍ご飯は食べたことがない。


メニューをよく見ると焼き竹の子時価という文字が…


思わず今日の夜に食べられるかと聞き、気がついたら夜にコースを予約していたのだった。