新宿プロヴァンサルの復活 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

立ち飲みワインバーで日本一の売り上げをあげていた西武新宿駅近くのプロヴァンサルが連日満員にもかかわらず惜しまれながら閉店して数年経った。
この店はワインはもとよりフランスのエスプリが効いた本格的なビストロ料理がすこぶる美味しかった。
そんなプロヴァンサルが西口に居を移して営業していると聞きすぐさま訪れてみた。
店は路地裏の非常にわかりにくいところにある。
看板が出ているだけで全く目立たない。
これだと以前のように通りがかりの客はまず立ち寄るまい。


案の定土曜の夜のゴールデンタイムであるにもかかわらず店内はガラガラであった。
店はプロヴァンスでもシェフとして働いていた方が一人で切り盛りしている。
まずは、ヴァンムスーを注文する。


アミューズのラタトゥイユもいい味わいだ。


そして、お店で一番人気の白レバーの網焼きができあがった。
さながら秋田県比内町で食べた朝挽きの比内鶏金柑つきレバーのようである。
金柑はそのまま口の中に入れてパチッと食べなければいけない。
これは美味しい。


その日はとにかく食べたいものをどんどん注文し大いに食べた。
帰りにはたくさん食べますねと店主に言われてしまう。
スーパーフルーツトマトは確かにスーパーをつけるべきだろうという甘さのトマトでよくある硬い皮のフルーツトマトとは別物である。
昔フルーツトマトが世に出たばかりの浜松西農協のフルーツトマトを思い出した。


パテアンクルートは、流石にシェフのスペシャリテだけあって素晴らしいものだった。
普通の店で出てくるような作り置きの味も香りも飛んでいるようなお粗末な代物ではない。
無塩発酵バターをふんだんに使ったパイ生地は天にも上るような香りと味わいである。
中に入っているパテも普通ではない。
ここに来たら必ず頼むべき一皿だろう。



スープドポワソンは本格的でマルセイユで食べている錯覚に陥る。


ソーモンのパイ包みはこれまたシェフのパイ包みの技術がふんだんに味わえる。
先程のパテアンクルートとはまたパイの種類が違う。


夏蝦夷鹿とフレッシュポルチーニのロースト、リゾット添え、


このフレッシュポルチーニは何と千葉県館山産らしい。
随分高価らしいが、どうしても使いたくて採算度外視で購入したと聞いた。
確かにとてつもなく香り高い。
さっぱりと品のいい夏蝦夷鹿との相性も抜群だった。


最後にデセールを頼んだら、大きなティラミスが出てきた。
これも食べ応えがあるとともにすこぶる美味しい。


プロヴァンサルは以前にも増して料理に磨きがかかり、立ち飲みワインバーではなく、気軽に立ち寄れるフランス料理店に変身していたが、このままだとその良さを知られないまま閉店ということもありえないことではない。
旧プロヴァンスラバーもしくはフランスくさいフランス料理好きは是非とも訪れてこの店を応援してほしいと切に願うばかりだ。