池袋のカフェ・レストではなぜだかわからないが、なくなったはずのホテル西洋銀座のケーキをいまだに味わえる。
その日もいつものように銅製のマグカップにたっぷりの香り高いカフェ・グラッセを注いでもらい、
一緒にホテル西洋銀座のケーキを味わう。
味わうべきケーキを二つに絞るとしたら、個人的にはモンブランとクレーム・キャラメルを選択してしまう。
モンブランはショウゾウ・イナムラの稲村シェフがホテル西洋銀座に在籍していた頃からの愛すべきケーキである。
その独特のフォルムはほぼその当時のままであるのが嬉しい。
そして、誰しも幼少時にプリンをお腹いっぱい食べたいという衝動に駆られるものであるが、そんな時にはこれを食べればよいと思わせるような立派な体躯のクレーム・キャラメルである。
それもただボリュームがあるだけではなく本当にしっかりと美味しいのだ。
それもパリのビストロで出てきそうなクラシックなタイプのものである。
クレーム・キャラメル好きには垂涎の的となろう。
そのうちこのケーキは突然姿を消してしまうのではないかと恐れてしまうのは私だけではあるまい。
今味わえる刹那に喜びを感じながらこのケーキセットを楽しむのであった。