立ち呑みフレンチ プロヴァンサル | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

新宿には奇跡のヴェネツィア式立ち呑みバール「イル・バーカロ」があるが、西武新宿駅寄りに喜ばしき立ち呑みフレンチもあるのだ。
その店の名をプロヴァンサルと言う。


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お店のショップカードには「本格フランス料理のシェフとソムリエのいる立ち呑みフレンチ」とあるようにおいてある気兼のないワインは安くて美味しく、料理もかなり本格的で嬉しくなる。
そして、なんちゃって立ち呑みではなく、椅子が一切ない本物の立ち呑みスタイルなのが小気味よい。
さて、入口に一番近いカウンターの前に座りではなく立ち、まずは美味しそうなアルゼンチンの白ワイン、フュージョン2010をグラスで一杯頼む。

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セパージュはシュナンブランとシャルドネである。
コクも香りもしっかりとしていてバランスもよく美味しかった。
こういうのが一杯390円なのは嬉しい。

アミューズ・ブッシュとして立派なプリプリの牡蠣とマテ貝が2つついてきたが、


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このワインには合わせなければいけない食べ物が黒板のメニューに書かれていた。
本日のお薦めイワシの焙り焼き300円である。
暫し待った後出てきたそのイワシはそれはそれは美味しそうであった。


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予想以上に一匹のサイズが大きく、それも三匹も皿に載ってくるとは想定外であった。
こういう誤算は嬉しいものである。
箸もカウンター下の一人用引き出しの中にあったが、ここまできたらどうせならナイフとフォークで食べたいものである。
焼きたてに半分はレモンをかけ頬張る。
美味しいではないか。
友人に借りたパリのアパルトマンで魚屋で買ったイワシを焼いていたらモウモウと煙が出て火事と間違えられた想い出が頭に蘇る。
そして、ポテトのグラタンと地鶏の白肝の焙り焼きを追加した。
ワインは赤ワインにシフトしていく。
赤ワインはラングドックのセリエ・デ・ドーファン・セレクションにした。
このワインのセパージュはメルローとシラーであったが、違和感は感じず美味しく飲めたのである。
この赤ワインも一杯390円なのだから立派な値つけである。
料理ができあがった。
ポテトのグラタンは香り高い。


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気取らず素朴な味わいでしみじみと美味しい。
地鶏の白肝の焙り焼きは白肝がキンカンつきでかなり新鮮である。


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秋田県の比内町で食べた朝びきの比内鳥の鶏モツを思い出す。
これは美味しい。
赤ワインを味わいながら静かに舌鼓をうっていると、背後からアコーディオンの演奏の音が聞こえ始めた。


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店のスタッフなのかボランティアの演奏者なのかはたまた流しのアコーディオン弾きなのか最初素性はよくわからなかったが、若い女性が微笑みながらアコーディオンでシャンソンを生演奏してくれるのである。
そして、一曲弾き終えると客が皆で拍手するのだ。
この雰囲気や演出はグランメゾンにはできないだろう。
たまたまいい時にあたったかもしれないが、これは聞いていて気持ちがよかったのである。
ちなみにお会計は全てで2500円程で済んだしまった。


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ここも東京が誇る名店であろう。