本物のきんとんを味わう | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

京菓子にきんとんという作り方の生菓子がある。
粒餡を糸状の白餡のそぼろで包みこんだものである。
白餡に季節ごとに天然の色をつけ練り込み紅葉や萌木等を表現していく。
本物のきんとんは白餡には普通丹波大納言の白小豆だけを使う。
いくら使っても小豆の晒し方や蜜の処理の仕方を丁寧に行わないとすっきりとした品のいい味わいにならない。
えぐさが残りスッーと餡が口の中で消えていかないし、えぐみが残る。
いわゆる田舎っぽい餡子の味わいとなる。
京都に究極のきんとんを作る和菓子店が二軒ある。
一軒は松屋常盤で、もう一軒は嘯月である。
今回松屋常盤は10月下旬まで予約で一杯で購入できなかったが、嘯月で朝一番の時間なら茶席用の注文が入っているので店に9時半に行けば分けてくれると聞き早速手に入れる。


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きんとんに旅をさせてはいけない。
勿論その日の早い時間にいただく。
いかにも嘯月らしい薄桃色のきんとんだった。


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雑味がなくバランスがいいきんとんですこぶる美味しい。
きんとんの他にも上生菓子をいただいた。
薯豫饅頭は品がよく薯豫が香り高いことこの上ない。


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もう一つの上生菓子はご覧になって何だかおわかりになるだろうか。
何とこれはおはぎだったのである。


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こんな清らかな味わいのするおはぎは初めてであった。
決して気取っているわけではなく洗練されていながら本質をしっかりと押さえているところが魅力的である。
この際、しのごの言わずに素直に嘯月のきんとんに魅了されようではないか。