京・嵐山 錦の桜宿膳料理 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

地元のセンスのいい方に教えていただいて、京都嵐山中の島の料亭錦を訪れた。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


数寄屋造りの建物内に入ると部屋まで仲居さんが案内してくれる。
私は一人ながら「らん」という部屋に通された。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


この部屋には趣きのあるテーブルと椅子が置かれていた。
感じのいいまさにプロのサービスという感じの仲居さんがお茶とメニューを持ってきてくれたあと自分の食べるコースを決めて係の女性に伝える。
程なく美しい身だしなみの女将が私のいる部屋に挨拶に見えた。
華やかで季節を愛でる雅な食事の始まりであった。


最初は揚げからし豆腐であった。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景

二つに割ると中に海苔でくるまれた小さな辛子が入っている。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


それを揚げ豆腐の下に敷かれている出汁醤油に溶いて食べる。
揚げ豆腐の表面はサクッとしていて食感がよく溶き辛子醤油がアクセントになっていて目が覚める思いだ。
次はお造りが届く。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


鯛のへぎ造りである。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


大根・キュウリけんや桜花山芋に包丁の冴えを見る。
お椀は白味噌仕立て桃花百合根である。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


私は正月ではなくても白味噌仕立ての雑煮には目がないが、石野らしき上等な白味噌の使い方が私好みで百合根の炊き方も私を泣かせる。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


桜宿御膳の可愛らしい箱が届けられる。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


上段酒肴は、鯛・海鱒アスパラ巻黄身酢添え、筍木の芽の味噌和え、ひちぎり白酒あん、黒豆、三度豆白和え、海老小袖寿司、菜の花である。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


筍そのものレベルもさることながら、筍木の芽の味噌和えの香り高いこと比類ない。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


それに京都のお雛祭りのお菓子にちなんだひちぎり、白酒あんの趣き深い味わいは誰しも忘れることがないであろう。
これは本物である。
桜宿膳下段炊き合わせは、穴子旨煮、長芋含ませ煮、絹さや、木の芽であった。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


実に木の芽が香り高く正に京都を実感させる。
穴子は関東と違ってはんなりとした味わいだった。
蒸し物は何と薯蕷蒸しであった。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


私はこういう蒸し物には目がない。
甘鯛・鰻・百合根・しめじが中に入っていて銀あんがかけてある。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


傍らには山葵・貝割菜・玉麩が添えられていた。
美味しさこの上なく感動的なお椀であった。
ご飯は錦名物もずく雑炊であった。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


生姜がしっかり効いていているが品がよく、お腹は一杯だがつるっと入ってしまう。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


香のものは一瞬ニシダヤのしば漬けかと思ったが微妙に味わいが違う。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


なめ茸とともに錦のオリジナルであろう。
水物は蕨餅であった。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景


黒っぽい本蕨餅ではなく、タイプとしては洛匠のような蕨餅ではあったが美味しくいただけた。
とにかくしたきり雀の舞台になりそうな数寄屋造りの建物なので化粧室で気をつけないと背の高い方はしこたま頭部を敷居にぶつけることになるので注意されたし。
それ以外は味もサービスも抜群だし、くつろげること間違いなしである。
個人的には嵐山吉兆よりも好感が持てた。
舌代はその何分かの一である。
私の注文ししたのはこれでも一番料理数の少ない野々宮というコースだったのだが全部で5000円しなかった。
かなりカリテ・プリの高い立派な京料理店であった。
料亭系の京料理がお好きな方はここに来られるといい。

その日は雪の降る平日の昼間だったので、たまたま運よくフリーで入れたが、桜や紅葉の季節などは予約がいっぱいでなかなか入れないだろう。

予約はして伺った方がいいと思う。


ジャン=ピエールの霧の中の原風景