その日のもじよは突然宴会を催した客によって食べ物のメニューのほとんどがなくなっていた。
そうは言ってもその中をかいくぐって美味しいものを探し頼むのが楽しいのである。
案の定、凄い食べ物がまだ残っていた。
牛すじ煮込みと手作りコロッケである。
最後の一人前だけ残っていた牛すじ煮込みは肉がゴロゴロ入っていてさながらポトフの牛スネ肉のようである。
必要以上に塩を使いすぎていないため肉の旨みが素直に味わえる。
手作りコロッケは手で叩いて作ったと思われる粗めのマッシュポテトのど真ん中に美味しい挽き肉がたっぷり入っている。
手作り感溢れる美味しいコロッケであった。
鶏のせせりだけで作ったポン酢仕立てのサラダもさっぱりしていて美味しかった。
揚げだし豆腐もただものではなく口に運ぶと笑みがこぼれる。
最後に圧巻は長崎にお住まいの店主のおばあちゃんが作ったらっきょうである。
素朴なその味わいは今宵も私を泣かせるのであった。