京都下鴨本町にある和菓子処ほうせんの茶寮宝泉を訪れた。
門をくぐり、
敷地内に入ると、
玄関で靴を脱ぎ、屋敷の中に入る。
高級日本旅館のようなたたずまいで庭が美しい。
雪が程よく残っていて時折風花が舞い散る。
部屋に通され、
落ち着きながら和菓子を選ぶ。
掛軸も花も季節に合わせてしっかりと選ばれている。
初春の味わい花びら餅、京都の山の芋で作ったきんとん、白小豆のお汁粉、ほうせんの技の極み…蕨餅も勿論頼んだ。
最初に昆布茶が出され、抹茶が和菓子とともに供される。
最後は自家製の焙じ茶であった。
花びら餅は美しい。
きんとんは山の芋の香りが口の中に広がる素朴な味わいだった。
白小豆のお汁粉は豆の炊き方が品よく美味しい。
それでも白小豆は京都丹波大納言ではなく岡山備中のものだった。
できたての蕨餅は食べやすいように一口ずつ小分けになっている。
味に対する自信の表れか黄粉は添えられていない。
パーフェクトと言いきるには何かが足りないが、確かに凛とした味わいで美味しかった。
座敷から雪を纏った庭を愛でながら、食べる極上の和菓子は私を幸せな気持ちにさせてくれたのである。